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ドラマ『税金で買った本』が照らし出す、図書館職員の非正規雇用や、資料の「除籍」

2026.10.14

#MOVIE

©NHK 
©NHK 

もうすぐ夜ドラ『税金で買った本』(NHK総合)が全32話を終える。

ヤンキー高校生・石平紀一(奥平大兼)の図書館を巡る旅は、彼の幼少期からの愛読書『放浪する青』の著者「十六夜かなき」の謎を解き明かしながら、ついに探していた父との再会まで行き着いた。

石平と同級生・灰坂坑太(新原泰佑)との関係の行方も気になる本作の後半について、ドラマ・映画とジャンルを横断して執筆するライター、そして書店員でもある藤原奈緒がレビューする。

※本記事にはドラマの内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。

主人公と共に図書館を巡る旅も終盤に

主人公・石平紀一(奥平大兼)が父(平山浩行)を追った先には…… / ©NHK  
主人公・石平紀一(奥平大兼)が父(平山浩行)を追った先には…… / ©NHK  

ドラマ『税金で買った本』がいよいよ最終週である。本作前半を振り返った記事でも書いた通り、これまで視聴者は、図書館でのアルバイトを始めた主人公・石平紀一(奥平大兼)と共に「図書館を巡る旅」をしてきた。第18話では地下にある書庫に足を運び、「選書会議」から「除籍」に至るまでの図書館の大切な流れや、同じ図書館職員でも、担当部署のみならず、正規職員か非正規職員かによって待遇が違うことなどを学んだ。図書館で働く人々の裏事情も知ったところで、旅もそろそろ終盤である。さらには、石平が、小説家「十六夜かなき」の本を読むことを通して歩んできた「父親探し」の旅の先には、父(平山浩行)の姿が見えてきた。

「切り捨てる」のではなく「どう活かすか」。図書館を通して、誰も取り残さない社会を描く

書庫入れと除籍を担当している松浦英理(入山法子)との出会い / ©NHK 
書庫入れと除籍を担当している松浦英理(入山法子)との出会い / ©NHK 

本作の前半が描いたのがヤンキー高校生・石平の図書館との出会いと彼自身の成長だったなら、後半である第5週以降が描くのは、石平自身が周囲を動かしていく姿だ。また第5週は、書庫入れと除籍を担当している松浦英理(入山法子)と石平の出会いを通して、本も人も「切り捨てる」のではなく「どう活かすか」を考える週だったとも言える。

異動してきた正規職員・茉莉野美波(大友花恋)の登場によって、石平と視聴者は、早瀬丸(西野七瀬)や白井(青木マッチョ)といった職員の多くが非正規雇用であるという図書館の現実を知ることになった。そして、やる気やスキルの面で、非正規職員が劣るわけでは決してないのだということも……。

正規職員・茉莉野美波(大友花恋)の登場により石平自身も変わっていった / ©NHK 
正規職員・茉莉野美波(大友花恋)の登場により石平自身も変わっていった / ©NHK 

図書館の仕事の要とも言える地味な作業が苦手で、本来しなければならないことをやりたがらない正規職員・茉莉野。彼女を「困った人」と切り捨てるのではなく、「正しいことがいつも合ってるとは限らないから」と自分と周りを戒める早瀬丸と、「パッと全部捨てちゃえば動きやすくなるけどさ、1度捨てたら元に戻らないからね。本も人も」と言う松浦の言葉を、よくわからないなりに受け止めた石平は、茉莉野のやる気を引き出すために一芝居打つ。その結果、茉莉野が手掛けることになった企画「5年間1度も貸出のなかった本コーナー」そのものが、「除籍候補リスト」の本たちの救済に繋がる。また、自伝本の寄贈を断れずに困っていた資料係・今村まひろ(菊池和澄)に対する茉莉野の「そのうち誰か読むわよ」という言葉が、「(自伝本の)著者の息子が読むべき本」というその本の真の価値を今村が見出すことに繋がって、寄贈希望者の女性の本当の思いを掬い上げることになる。

第9話で早瀬丸が言った「図書館は図書を必要とするすべての方にご利用いただきたいから」という台詞そのまま、本作が描く図書館は常に、誰に対しても開かれている。そしてそれは、ドロップアウトしかけていた石平の同級生・灰坂坑太(新原泰佑)に対して、石平の担任の中島(大河内浩)を含めた多くの登場人物が手を差し伸べたのと同じように、誰も取り残さない理想の社会の在り方を示しているかのようにも思う。

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