大阪で結成され、京都に拠点を移しながら約12年活動を続けていたthe McFaddinとしての活動に幕を下ろし、彼らはRedhair Rosyという新たなバンドとして始動する道を選んだ。これまでに3枚のEP『turn red』シリーズをリリースし、3月27日(金)にはバンドの本格的なキックオフを告げる初のワンマンライブを梅⽥クラブクアトロにて控えている。
Redhair Rosyは矛盾の中に潜む美しさへと怯まずにリーチする。バンド名の「Redhair」には怒り、「Rosy」には理想という意味を込め、社会に溢れる黒か白かという選択に対して、グレーな居場所を作り出す。同時に、彼らは自身が「替えのきかない」存在であることを強調する。
今回は、現実に即した言語感覚や、拠点としている京都の話など、芯まで真っ赤に染まっていくバンドの現在地について、作詞作曲を手がけるRyosei Yamada(Vo)とエンジニアを務めるTaito Katahira(Gt)に語ってもらった。
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the McFaddinという「青春」が終わり、Redhair Rosyへ
─まず、前身バンドのthe McFaddinからRedhair Rosyへと活動を移行した経緯について伺いたいです。
Ryosei:そもそもthe McFaddinは2012年、僕が高校生の頃に結成したバンドだったんですよ。最初はNirvanaやTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのコピーバンドをしていて、その後に大阪から京都へ拠点を移してオリジナル曲をやるようになったんですよね。
ただ、バンドの形が変わっていくのに同じ名前で活動を続けていくということに対して、「the McFaddinという青春の塊を封じ込める」というアイデアに至り、『the McFaddin』というアルバムを作るためのバンドとしてRedhair Rosyを構想して、2024年の4月にthe McFaddinとしての活動を終了させたんです。
Ryosei:Redhair Rosyに名前を変えることによって、ようやく実家を出れたというか(笑)。レース用にチューンナップした車に乗ってレースに挑むみたいな、今はそういう気持ちです。

京都を拠点に活動する、VJを擁する6人組ロックバンド。約12年活動した前身バンド・the McFaddinのメンバーによって2024年に結成された。「再出発ではなく進化」を掲げ、メンバーはそのままにバンド名と音楽性をアップデート。作詞作曲から録音、ミックス、映像、デザインに至るまですべてを自ら手がける。バンド名は、「怒り(Redhair)」を抱えながらも「理想(Rosy)」を手放さないという意志の表れ。誰も置いていかない包摂的な場所として、変化と矛盾を引き受けながらループの中で進化を続けている。
─Ryoseiさん自身の変化も、Redhair Rosyに変わることに影響しているのでしょうか?
Ryosei:Redhair Rosyを始める前にカナダに半年間留学をしていたんです。以前から海外で生活をしたいと思っていましたし、実際に住んで新しい風を感じることができたんですよね。メンバーとも曲を一緒に構想して、良い切り替えになりました。
Taito:Ryoseiが帰ってきてから劇的な変化があったわけではないけど、バンド名を変えるタイミングとしては良かったと思います。
─VJのRyoma Matsumotoさんが加入したのはどのタイミングだったんですか?
Taito:大学の入学式で初めて友達になったのがRyomaだったんです。僕も映像を勉強していたんですけど、軽音楽部に入ってからはバンドばかりしていて。それでしばらく会わなかったんですけど、the McFaddin時代に「MVを作ってほしいからライブを観に来てくれ」って磔磔のワンマンに誘ったんです。そこでメンバーにRyomaを紹介して、再び絡むようになりました。
Ryosei:そう、そこで仲良くなってな。「もうお前はメンバーやろ?」ってくらい一緒にいたんですよね(笑)。しかも昔からRyomaはバンドへの憧れがあったみたいなんです。なので加入は自然でしたね。
─納得の経緯です。というのも、Redhair Rosyの音楽性ってミクスチャーとして解釈されがちですけど、お話を伺っていると「成り行きでこうなった」という側面が強いように感じたんです。
Ryosei:そうだと思います、偶然性を大事にしたいんです。Keisho Miyawaki(Gt)が加入した経緯も近くて、最初はベーシストとして誘ったんですよね。Keishoがギタリストとして組んでいたバンドが解散したタイミングで「ギター弾けるならベースも弾けるんちゃうん?」って誘って、実際にライブで何回か弾いてもらったんですけど、めちゃくちゃ下手で(笑)。それでギターを弾いてもらったら「お、ギター上手いな」って。
─(笑)。
Ryosei:それで、ベースには軽音楽部からまつし(Masayuki Matsunaga / Ba)を引っ張ってきて、今のRedhair Rosyが揃いました。
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「自分が矛盾を歌うことで、苦しんでる人が楽になる瞬間があったらいいなって」(Ryosei)
─成り行きで進んでいたバンドがRedhair Rosyという名前に改まった今、どのようなコンセプトを立てたのでしょうか?
Ryosei:the McFaddinの時、自分は矛盾に関する歌詞ばかり書いていると気づいたんです。だからRedhair Rosyでは「矛盾」をコンセプトに据えました。今のところはなかなか良いスタートを切れているというか、『ファイナルファンタジー』とかRPGゲームの2周目みたいに、前のバンドのグルーヴを活かしたまま進めている実感があります。
─「矛盾」をテーマに据えたと。
Ryosei:はい。友達の話を聞いてると、「世の中って黒か白かで答えを出さなアカんのやな」って思うんですよ。でも本当はその間にグレーがあるはずで、黒か白で分けること自体がみんなのストレスになってるんじゃないかと。
でもバンドって、そのグレーをちゃんと見つめられる場所だと思うんです。黒と白の間を見ていると自由を感じたり、ストレスからちょっと距離を置けたりする感覚がある。だから、自分がその矛盾を歌うことで、苦しんでる人がちょっとでも楽になる瞬間があったらいいなって。

─コンセプトを設け、「アルバムを作る」というビジョンを掲げる中で、現在3枚リリースされている『turn red』シリーズのEPはどのようなポジションにあるのでしょうか?
Ryosei:基本的にはシングル集です。ただ、作った期間がそれぞれ近いので、リリックの内容は一貫性があるなって思います。大きなコンセプトとしては『turn red』、つまり「赤くなる」ということで。これまで「the McFaddinの曲やらへんの?」とか言われてきたんですけど、そういう声に向けて「俺たちはRedhair Rosyとして新しいタームに入ったんだ」っていうのを示すためのシリーズになりました。
Taito:制作するプロセスはこれまでと変わらないんですけど、今の俺らのやり方で出せる音についてEPでは考えました。Ryoseiが作ってきたデモから、気分とかやりたいことを読みとって、そこからバンドで作っていったんです。
Ryosei:良くも悪くも、メンバーは僕のリリックについて何も聞いてこないんですよ。けど実際に見たものとか聞いたことをそのまま言葉にしているので、一緒に過ごしていたら「アレのことやんな」とか分かるようにはなっていると思います。
その解釈も恐らくメンバーの間では異なっているはずで、間違っていることもあるはず。ただ、僕が求めているのはその解釈の違いなんです。お客さんにも完全に理解してほしくないというか、どこか勘違いしてしまうように書いてて。そうすれば僕の想像以上のものが生まれる。自分から100%を提示するんじゃなく、あくまで120%を目指すために勘違いを狙っているんです。

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街中の会話や身の回りの出来事に影響されて書くリリック
─Taitoさんの目線から、Ryoseiさんのリリックにはどういう特徴があると思いますか?
Taito:めっちゃリアルです。一緒に街を歩いていても、ふと聞こえた会話をメモしてたりするんですよ。
Ryosei:そうそう。映画とかアニメじゃなくて、コンビニでのギャルの会話とか。ギャルはとんでもないこと言ってます(笑)。
なんか別のアーティストとか他人のリリックをリファレンスにしても意味がないっていうか、映画を撮る人が映画を見て映画を作っても面白くならないと思うんですよね。
Taito:そのくらい身の周りで起こってることを歌ってるし、それを誰にでもわかる日常的な言葉にしているというか。人によっては全然共感できないこともあるかもしれませんけど。

─例えば最新作『turn red Ⅲ』でも、“I’m here if you need to talk”は<うすいスポドリ>という歌詞から始まるじゃないですか。日本語のリリックとしては珍しい単語というか、こういう言葉遣いの塩梅については考えたりするんですか?
Ryosei:僕はロックとかヒップホップとか、とにかく色んな音楽が好きなんですけど、その中でも「替えがきかないもの」になりたくて。ありきたりな言葉を並べるのは他の人がやってくれたらいい。俺にしか書けないものというか、俺たちじゃないと鳴らない音にフォーカスした結果として出てくる言葉が大事なんです。
─リズムにリリックを乗せる上で「この人、上手いな」と唸ったアーティストはいますか?
Ryosei:えー、おるかな……。あっ、俺チバユウスケ(The Birthday / ROSSO / THEE MICHELLE GUN ELEPHANT)好きで、高校の時にリリックが書けるようになったのはチバユウスケのおかげなんです。あの人の言葉ってマジで意味不明なんですよ。
─わかります(笑)。
Ryosei:でも、ずっと聴いていると「こういうことかな?」みたいなのが見えてくるんです。あの人ってあまり英語を喋らないんですけど、英語で歌われている音楽をたくさん聴いて育ったとは思うんです。だから日本語で音にハメる時に、言葉を組み合わせて英語みたいな響きを無理矢理作ったりしてると思ってて。いまだにライブでカバーするくらい影響を受けてますし、昨日もROSSOの“シャロン”をライブでやりました。