グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
5月15日は、書道家の万美さんが出演。HIP HOPカルチャーのひとつ「グラフィティ」と「書道」を組み合わせた “Calligraf2ity(カリグラフィティ)”も話題になった万美さんに、HIP HOPと日本文化を組み合わせたきっかけや、グラフィティを漢字に落とし込むためにしていることなどを伺いました。
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HIP HOP「グラフィティ」と日本文化「書道」を組み合わせたきっかけ
Celeina(MC):まず簡単なプロフィールをご紹介させていただきます。9歳で筆を持ち、高校時代より書家を志し、古典に立脚した書道と、様々なカルチャーとの共通点を見出し、数多くのコラボレーションを実現されてます。その中でもHIP HOPカルチャーのひとつ「グラフィティ」と「書道」を組み合わせた“Calligraf2ity(カリグラフィティ)”が、話題となり、現在は、日本をはじめ、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアなどで作品を発表されています。
タカノ(MC):プロフィールがすごいですよね。9歳から筆を持ち始めたという。
万美:でも、多分、日本の学校に行ってる方って、みんな9歳で筆を持ち始めるんじゃないですかね。授業で。
タカノ:授業や習い事であれば、たしかに。やっぱり万美さんも最初は習い事だったんですか?
万美:最初は、授業の一つだったんですよね。学校の、国語の授業の中に出てくるお習字から始めたんで、スタートダッシュは皆さんと多分同じかな。
Celeina:9歳のときに、ときめいたんですか?
万美:ときめきました。キラキラ見えて、輝いてるって思って。
タカノ:高校生の時に書家を志すって、かなり早いですよね。
万美:確かに早いですね。進路相談とかあるじゃないですか。それで何がいいかなと思って、書道の道が向いてるかもみたいなという流れです。
Celeina:その9歳から高校生までの間で、例えば、書道のコンテストなど入ってたりされてました?
万美:そうですね。なんか、出したら、表彰していただけるんですよ。
タカノ:カッコ良い!
万美:他に得意なものが書道以外であんまりなかったっていうのもあって。褒めてもらえるものを伸ばすってとても大切なことなんじゃないかなと思って、皆さんから評価をいただけるんだったら頑張ってみようかなと決意したのが高校時代ですね。
タカノ:いやでも、できることとやりたいことが一致してるって素晴らしいですよね。
万美:確かに、それはありがたいです。
タカノ:今も世界を股にかけて。
Celeina:今日も海外から?
万美:先週土曜日にシアトルから戻ってきて、また今週の水曜日にニューヨークですね。
Celeina:ありがとうございます。そして、今では万美さん独自のスタイル、グラフィティと書道を合わせて、Calligraf2ityが話題になっているということで。この日本文化とHIP HOPを合わせたきっかけって何だったんですか?
万美:小学校5年生から日本語のHIP HOPが大好きで、ずっと聴いていて。単純に、大好きな書道をする間に、やっぱ書道をしてたら耳が空いているので、その耳を埋めるためにHIP HOPを聴いていたみたいな感じで。HIP HOPを聴きながら書道するっていうのは、もう20年以上やってることなんですよね。
Celeina:すごい。HIP HOPのBPMを感じながら書く筆が踊っちゃうみたいな感じで。
タカノ:僕、思ったんですけど、HIP HOPって元々、サンプリング文化じゃないですか。何かを組み合わせて新しいものを化学反応で作るっていう。書道とHIP HOPを組み合わせることが、もうメタ的にHIP HOPをやられてるというか。
Celeina:マインドからHIP HOPの素質をお持ちなんでしょうね。
グラフィティを漢字に落とし込むまで
Celeina:先日まで渋谷駅のヒカリエの改札近くに「冒験」という文字を書かれていらっしゃったじゃないですか。この冒験っていう漢字にもこだわりを見出されたと思うんですけれども。
万美:これは、かなりこだわっていて。実は、この「冒験」って、「冒険」の「険」の字を変えていて、実験とか経験の「験」に変えて書いたんですよね。「冒険」の意味なんですが、最初の「冒」は、お日様の「日」をちょっと平べったくして、その下に「目」を書くんですけど、目が見えないところでも挑戦して立ち向かうみたいな意味で、「険」は、危ないけど進むみたいな意味だったんですよ。見えないところに飛び込むのはカッコ良いけど、危ないとこにわざわざ行かなくて良くない? と思って、経験とか実験の「験」に変えたんですよね。
タカノ:なるほど。
万美:昨年の7月にニューヨークに行ったときに、ニューヨークで個展を開きたいなと思って、いろんなギャラリーに突撃して、「私はこんなことをしてるんだ」みたいな感じで自分を売り込んだとき、コテンパンにやられたんですよね。そのときに、「見えないところに経験を積みに行く冒験だな」と自分自身の行動から、こういう漢字をひらめいたので、それから、「冒験」をよく書くようになってます。
タカノ:カッコ良いですよ。ハネとか、墨汁の飛沫が少し飛んでる感じとかが、またグラフィティのデザインを彷彿させるような表現というか。
万美:ありがたいです。グラフィティが好きで影響を受けてるので、そこからHIP HOPの書道をやっていくというのが、自分の目標ですね。
Celeina:グラフィティがお好きだったということですけれども、グラフィティを普段から検索したり見に行ったり、そういったところからも吸収されて、漢字に落とし込んでいるという?
万美:そうですね。海外に行くときも、空港から街中までタクシーに乗るじゃないですか。街に出るにつれて、どんどんグラフィティが増えていくんですよ。そういうのをずっと目に焼き付けるように見て移動したり。私は渋谷を拠点にいろいろと書いてるので、渋谷の街を毎日散歩して、昨日なかったグラフィティが、今日ここにあるみたいなことを楽しみながら、普段からしっかりと見るようにしてます。
タカノ:すごいな。では、ここで1曲、万美さんに、この時間にみんなで一緒に聴きたい曲を選んでもらったんですけれども。
万美:Yusuke YNNの“Gose On”っていう曲です。私は普段、HIP HOPの曲をググりまくるのが趣味で、いろんなものを聴いてるんですけど、今の若手のカッコ良い人たちがたくさん集まる『ラップスタア誕生』という番組を見て、この人、カッコ良いなって思った人をググっていったんですよね。そのときに出会った曲になります。
ニューヨークでの「最高」な思い出
Celeina:万美さん、これまでも様々な場所でパフォーマンスされていらっしゃると思うんですけれども、これまでで、印象に残っている場所とか文字ってありますか?
万美:昨年の3月、ニューヨークのホテルの屋上で、文字を書かせていただいたことですかね。内装の仕事として伺ったんですけど、好きな文字を書いてくれって言われて、そのとき滞在5日目ぐらいだったんですけど、何を書こうって悩んでて。ニューヨークで感じたことで、「最高」っていう気持ちに何回もあったんですよ。全然知らない街なのに、それまで書いてきた自分の文字を皆さんが楽しんでくれてて、最高だなって思う節がたくさんあったんですね。その屋上で書くのが最終日とかだったので、最後に「最高」って字を書いたんです。屋上で書いてるときに、そのホテルの従業員の方とか運営してる方とかが屋上に集まってくれて。書き終わったときも皆さん、めちゃくちゃ喜んでくれて、もう最高だみたいな感じで反応してくれたんですけど、その盛り上がりが一通り落ち着いたときに「万美、この字は何て読むんだ?」って言われて(笑)。
タカノ:そうですよね(笑)。
万美:読めないんだ、みたいな(笑)。ニューヨークが最高だったから「最高」って字を書いたんだ、みたいなことを改めて言ったときに、漢字、書道ってめちゃくちゃ強いけど、同時に、読まなきゃいけないっていう言語の部分ではめちゃくちゃ弱いっていうか、説明がないと伝わらないんだなって思ったときに、悔しさみたいなのが湧いてきて。その経験は自分の中で大きかったですね。
タカノ:なるほど。
万美:「最高」ってバイブスは伝わるけど、やっぱり意味までは届かないんだ、説明が絶対に必要なんだなって。
タカノ:バイブスが伝わってるのはすごいですけどね。まさにその瞬間、みんな最高になってるわけだから。
万美:はい。あの盛り上がりは最高でした。
タカノ:あとは、海外の方が、この万美さんのデザイン、カッコ良いから入って、漢字に興味を持ってくれる人も増えていったら良いですよね。
万美:嬉しいですね。
Celeina:万美さんの文字を書いてる姿、万美さんのインスタグラムでもチェックできます。めっちゃカッコ良いですね。書き始める前はすごく笑顔でいらっしゃるのに、書かれる瞬間にキッとカッコ良い表情をされるのがたまらなくて、何度も見ちゃいました。
万美:嬉しいです。ありがとうございます。
Celeina:さあ、「FIST BUMP」は、グータッチでつなぐ友達の輪ということで、お友達を紹介してもらっていますが、万美さんがご紹介してくださるのはどんな方でしょうか?
万美:私の友達、クリエイティブディレクターの、ラッシャーです。ラッシャー、マジで良い奴って感じです。めちゃくちゃセンス良くて、色彩感覚が本当に長けてる。
タカノ:仕事仲間でも?
万美:仕事仲間ではないですね。仕事を一緒にやったことはうっすらあるかなぐらい。元々の友達です。
タカノ:明日は、クリエイティブディレクターのラッシャーさんにつなぎます。
Celeina:はい。「FIST BUMP」今日は、書道家の万美さんにお越しいただきました。ありがとうございました
万美:ありがとうございます。