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NEWS EVENT SPECIAL SERIES
みらんと小原晩の交換日記『窓辺に頬杖つきながら』

ついつい今より良い未来!とねだってしまうけど、今の生活で生まれるものに期待

2024.1.4

#BOOK

from みらん #14 ― 12月2日(土)

晩ちゃんこんにちは。
寒くなったねえ。元気にしてる?

私はというと、まんまと風邪をひき、高熱を出し、寝込んでいました。寝ることしか出来ないから寝ていたら、あっという間に過眠症っぽくなって、この頃はずっと眠たい。

ディズニーランドに遊びに行く夢をみた次の日に、ディズニーランドで働く夢をみたりしながら、汗を大量にかいている。悪いものを出して、ちょっとずつ体は良くなってきてはいるものの、まるで元気がでない。しゃきっとできない。みらんってどんな感じやったっけ、生活ってどんなふうに成り立ってるんだっけと自分を見失って、この交換日記を見返すことにしました。

自分が書いてる日記は、どこかに出かけたり、何かをしていたり、みなぎっているなあと感じた。晩ちゃんの日記は、もちろん外へ出たりもしてるけど、家で過ごして家で書いてるなあという印象があって、今の自分にとって、参考になるようなことをたくさん見つけられた。

久しぶりにまな板を使ってカレーライスを作ってみるのはどうだろうとか、図書館へ行ってみようかとか、想像してみれた。やってみるまで出来てないけど、想像だけでもちょっと自分が動く。今はそれだけでも、1日の中のひとつとしてカウントして眠ればいいよ、と晩ちゃんは言ってくれそうな気がして、ありがたい人よ、と布団の中で手をすりすりしたよ。

晩ちゃんの生活をもっともっと、ききたい気分。交換日記あってよかった。また返事を待てる幸せよ。

枕元に並べている本。晩ちゃんの作品、増えている。すごいすごい

from 小原晩 #14 ― 12月11日(月)

小原は元気にしています。
つらかった口内炎もやっと治って、痛みをともなわずにおいしいものを食べることのできるしあわせよ……と思っていたら何キロも何キロも太っちゃってたのしいです。みらんちゃんの体調も治っているといいなあ。

師走になると、来年の話ばかりするようになるけれど、本づくりは長い時間を要するから、再来年とか、そのもっと先の話をすることも多くなってきて、そういう話をした日の帰り道は、三年後も自分は生きているつもりなんだなあってふわふわ考えます。

最近はKindleを買ったり、iPadスタンドを買ってベッドサイドに置いたり、三日月のかたちのクッションを買ったり、クリスマスのオブジェを買ったりしました。

iPadスタンドすごく気に入っている。

暮らしが良くなるものにはどんどんお金をつかいたいと思うのだけれど、暮らしをよくするために大切なのは部屋の感じと街の感じ。なので、ちょっと引っ越しも考えています。おおきな窓があって、その窓からはすてきな風がふいて、南向きで、ひろびろとして、寒そうじゃない湯船があって、台所にはコンロがふたつ以上あって、まな板をおけるスペースもじゅうぶんにあって、できれば六階以上で、駅近で、杉並区か世田谷区がいいな。でも家賃が高いのはこまる。こまるのよ。と思いながら、さまざまな部屋をインターネットでながめています。新しい街で、新しい部屋で、新しいものを書けたらいいな。

みらんちゃんはどんな部屋に住んでみたい? 気になります。

竹井晴日さんの個展にて買ったクリスマスの陶器のオブジェ。愛おしい。

from みらん #15 ― 12月16日(土)

何キロも何キロも太る晩ちゃんよ、太るのがたのしいってのは、ちょっとわかるよ。食べた分だけまるくなって、鏡に映った自分に、あんたの体そんな素直なんかい、ってツッコんで、フハッと笑ったりしてね。それからどんな私でも好きと言ってくれそうな人を数えてみたりね。いいよね。

私の体調は、すっかり良くなりました。心配の連絡をくれてありがとう。寝込んでいる間、上京してから半年経つというのにカーテンも買わず、シャッターを締め切っている窓や、お醤油すらないキッチンを見つめながら、自分で選んだ家なのに、暮らせていないなと思う。今の家はそうだな、少しばかり自分好みなビジネスホテルのよう。ラクしてたのしく暮らすために欲しいものはたくさんあって、挙げたらキリがない。私もiPadとiPadスタンド欲しいよう。クリスマス、家でも感じたいよう。それなのに、なにも手が出せない自分。ひとつ買えば、ひとつ分の1人で生きていく覚悟が備わる感じがあって、なんだかね、それがちょっと、虚しかったり、怖かったりするんだよね。

家の壁。重い腰を上げて、あり物でクリスマスを飾る。

自分の気持ちとばかり向き合うひとり暮らしがけっこう大変なことに、ここへきて気づき、私は誰かと一緒に暮らしながら、その誰かに振り回されている合間に自分の気持ちを覗いてみたりするくらいがちょうどいいのかもしれないなーとか、考える。

けど最近、気晴らしに散歩をよくするようになって、街のパン屋と図書館と薬局とスーパーとコインランドリーを通りながら、うーん悪いことなんてなんにもないなあ、と頷き歩くうちに、気分が良くなったりして。私がこの街の人であることは、ちょっと気に入ってきた。

ついつい今より良い未来! ってねだってしまうけれど、焦らずじっくり、今の生活で生まれるものに私は期待しよっかな。

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