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NEWS EVENT SPECIAL SERIES
Floor Essence 〜dance・club・party〜

不安に怯える日常にさよなら。フロアを笑顔で沸かせるダンスポップの最前線

2023.11.24

#MUSIC

2023年ダンスシーンの注目トピックス

2023年も残すところあと1ヶ月とちょっと、今年もダンスシーンではいろんなトピックがあった。なかでもRomyのソロのリリースと来日は個人的にもとても大きな出来事だった。他はなんといってもカイリー・ミノーグの新作『Tension』が素晴らしかったこと。3年前の『Disco』もそうだったけど、カイリーのデビュー以来変わらぬダンスポップ路線はここにきてまた大きなピークを迎えようとしている。全く年齢を感じさせない歌声と気負いや狙いのないスマートでスウィートな楽曲、アルバム全体を通して完璧なダンスポップに仕上がっている。12月にリリースされるアルバム全曲のエクステンデッドバージョンが収録される『Extension (The Extended Mixes)』も楽しみだ。

今年はFred Again..のブレイクも印象的だった。Romyをはじめ数多くの楽曲のプロデューサーとしての仕事も良かったけど、ソロアーティストとして『Glastonbury Festival』への出演と大規模なツアーは、日本からでは想像できないほどの熱狂だったようだ。そして興味深いのが先月リリースになったBarry Can’t Swimのデビューアルバム『When Will We Land?』がイギリスのナショナルチャートのトップテンにランクインしたことだ。クラシックやラテンを現代のダンスビートに流麗に組み込むセンスはフロアを飛び出そうとしているのかもしれない。

もちろんイギリスは各地でシリアスで汗まみれなローカルパーティーもたくさんあるはずで、日本からではわからない現地のシーンを来年は自分の目で確かめたいと思う。先日そんなロンドンの現場の空気を伝えてくれる音源がリリースされた、Four Tetが今年の5月にロンドンのアレクサンドラパレスで行ったパーティーでのライブ録音だ。2時間にわたる彼のプレイをそのまま収録した音源はまさにディープでサイケデリック、揺らめくような電子音と記憶の彼方から近づくように響くビート、まるで時代も空間も時間すらも忘れてガラスの球体に閉じ込められるような2時間となっている。この音に1万人が耳を澄まし熱狂している現場は一体どんなものなのだろうか。このアルバムは間違いなくダンスとサイケデリックの最前線だろう。ポップシーンのど真ん中からレフトフィールド、というかディープなオルタナティブまでダンスビートは変化と進化をまだ止めていないし、フロアでの実験は今年も続いている。

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