2月21日(金)に公開される映画『ゆきてかへらぬ』の本予告編と本ビジュアルが解禁され、あわせて主題歌がキタニタツヤの書き下ろし楽曲に決定したことも発表された。
『ツィゴイネルワイゼン』や『セーラー服と機関銃』を手掛けた脚本家の田中陽造によって40年以上前に書かれた「知る人ぞ知る」幻の脚本を、『遠雷』『探偵物語』『ウホッホ探検隊』などの根岸吉太郎監督と『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ~』以来16年ぶりにタッグを組んで映画化した同作。大正時代を舞台に、まだ芽の出ない女優・長谷川泰子と、のちに不世出の天才詩人と呼ばれることになる青年・中原中也、中也の友人で、のちに日本を代表する「知の巨人」となる文芸評論家・小林秀雄の間で繰り広げられた壮絶な愛と青春が、実話をもとに描かれる。主演・長谷川泰子役は広瀬すず、中原中也役は木戸大聖、小林秀雄役は岡田将生が務め、さらにトータス松本、草刈民代、柄本佑らが出演することが明らかになっていた。
今回、同作の主題歌がキタニタツヤの書き下ろし楽曲”ユーモア”に決定したことが発表された。キタニが長編映画の主題歌を担当するのは初となる。中原中也の文学に陶酔していたというキタニから、愛とリスペクトをこめて制作された同曲へのコメントも到着した。
詩を書くということは、意味なくただそこにあるだけの現実をあえてユーモラスに捉えて解釈し、言葉というフォーマットで出力しなおす営みだと思っています。単に「面白おかしく」という意味ではなく、ありていでない眼差しを向けることによって現実に隙を見出す、何らかの安らぎの余地を加えるという意味でのユーモア。
キタニタツヤ コメント
加えて、人は永遠ではあり得ないのに反して言葉は永遠になり得ます。残された言葉は他者の心を撫で続ける。現代に生きる私はそういうふうに中原中也の詩に触れてきましたし、泰子もそうだったのかもしれません。
「ゆきてかへらぬ」ラストシーンでの泰子と小林にとって中也の詩はどう響いていたんだろう。また劇場を後にする私たちにとって「ゆきてかへらぬ」という映画そのものはどう響いていくのだろう。そうしたことを考えながら歌を作りました。
同曲を聴いた広瀬は「主題歌が始まった瞬間は映画の余韻が残りつつ、後半は違う世界観でちょっと面白いバランス感の楽曲で素敵だなと思いました」、木戸は「3人のキャラクターのどの人を歌詞の主人公においたとしても当てはまるような、すごく切なさもあり、ずっと聴いていられる、何回もリピートして聴いていられるような素敵な曲でした」、岡田は「心地よいリズムで歌詞もすっと入ってきますし、改めて歌詞を見て聴くのと、また理解を深めてからこの曲を聴くのでは(印象が)変わるので、聴くときは歌詞を読んでみてから聴いてもらったら嬉しいなと思います」とコメントしている。
解禁された本予告編では、主題歌の一部も聴くことができる。ダンスホールや夜の遊園地で刹那的な青春を謳歌する3人の煌びやかで歪な関係性は、後半に向けて激しさを増していき、感情を剥き出しにする泰子、取っ組み合いのケンカをする中也と泰子、求め合う小林と泰子などの場面を経て「3つの愛の、行き着くそこ」まで駆け抜ける。
『ゆきてかへらぬ』
出演:広瀬すず、木戸大聖、岡田将生、田中俊介、トータス松本、瀧内公美、草刈民代、カトウシンスケ、藤間爽子、柄本佑
監督:根岸吉太郎 脚本:田中陽造
©︎2025「ゆきてかへらぬ」製作委員会 配給:キノフィルムズ
公式HP:www.yukitekaheranu.jp
公式X(旧Twitter):https://x.com/yk_movie2025
公式Instagram:https://www.instagram.com/yukitekaheranu_movie/
2025年2月21日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開!
<ストーリー>
京都。まだ芽の出ない女優、長谷川泰子(広瀬すず)は、まだ学生だった中原中也(木戸大聖)と出逢った。20歳の泰子と17歳の中也。どこか虚勢を張るふたりは、互いに惹かれ、一緒に暮らしはじめる。価値観は違う。けれども、相手を尊重できる気っ風のよさが共通していた。
東京。泰子と中也が引っ越した家を、小林秀雄(岡田将生)がふいに訪れる。中也の詩人としての才能を誰よりも知る男。そして、中也も批評の達 人である小林に一目置かれることを誇りに思っていた。男たちの仲睦まじい様子を目の当たりにして、泰子は複雑な気持ちになる。才気あふれるクリエイターたちにどこか置いてけぼりにされたようなさみしさ。
しかし、泰子と出逢ってしまった小林もまた彼女の魅力に気づく。本物を求める評論家は新進女優にも本物を見出した。そうして、複雑でシンプルな関係がはじまる。重ならないベクトル、刹那のすれ違い。ひとりの女が、ふたりの男に愛されること。それはアーティストたちの青春でもあった。