坂口恭平の新著『絶望ハンドブック』が12月7日(土)にエランド・プレスから刊行される。
文筆業のほか、建築家、画家、音楽家として様々な活動を続けている坂口恭平。2004年に路上生活者の住居の写真集『0円ハウス』を刊行した後、『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』や『独立国家のつくりかた』など話題を呼んだ著作を多数発表し、『幻年時代』で第35回熊日出版文化賞、『家族の哲学』で第57回熊日文学賞を受賞、2014年には小説『徘徊タクシー』が第27回三島由紀夫賞候補となっている。
同作は、躁うつ病(双極性障害)であることを公表している坂口が、若い頃からとらわれてきた自身の「絶望状態」との格闘を、切実かつ赤裸々な記録としてつづったもの。「はじめに」で執筆の目的が「死なないためのハンドブック」であると明かされているように、坂口が苦しみの底で見つけた絶望との新たな関係にいたる道筋は、同じく苦悩を抱える人々に希望を示すものとなっている。また、人間の精神や創造性への洞察をはらんだ内容は、カフカやベケット、北杜夫などに通じる「絶望文学」であると同時に、坂口のクリエイティビティの根源を解き明かすことにも通じている。
死なないためのハンドブック。それが今回の執筆の目的だ。とにかくあの絶望しているときの自分に向けて書いてみたい。正直、恥ずかしすぎて、書きたくないなという気持ちもある。でも、とりあえず自分のためなのだから、気にせずに書いてみよう。いやなら、あとで消せばいいだけだ
「はじめに」より
公開されている目次は「絶望の分析」「絶望の渦中で」「絶望の変調」「絶望と生きる」の4章構成となっており、付録として「絶望状態のメモ」も収められる。なお、カバーなどの装丁には写真家・細倉真弓の作品があしらわれている。
12月1日(日)に東京・有明の東京ビッグサイトで開催される『文学フリマ東京39』内エランド・プレスのブースで、坂口が参加する先行販売が行われる予定。
『絶望ハンドブック』
著者:坂口恭平
仕様:四六判変形/ソフトカバー/224ページ
発売日:2024年12月7日
価格:2000円+税
ISBN978-4908440-10-6
<目次>
・はじめに
・第1章 絶望の分析
・第2章 絶望の渦中で
・第3章 絶望の変調
・第4章 絶望と生きる
・おわりに
・付録 絶望状態のメモ