北出栞による著作『「世界の終わり」を紡ぐあなたへ――デジタルテクノロジーと「切なさ」の編集術』が4月23日(火)に太田出版より発売される。
自費出版による「セカイ系」評論アンソロジー『ferne』が話題を呼んだ編集者 / ライターの北出栞が手掛けた同作。「セカイ系」とは、「君と僕」の間で起きる小さな問題と、「世界の終わり」のように大きな問題を直結させて描くような想像力を指して使われてきた言葉である。同作では、デジタルテクノロジーとアニメ、ゲーム、音楽作品を中心に、「セカイ系」が誕生した2000年代から2020年代=現在までの道のりをたどり直し「セカイ」という表記が捉える現代のリアリティの正体を探る。
1章では、セカイ系について過去の議論を振り返り、デジタルテクノロジーと「作品」との関係から再整理。続く2章から4章では庵野秀明、新海誠、麻枝准について論考。5章から7章ではソーシャルメディアの登場以降の現状を踏まえ、消費するだけでなく「作る」立場に立つための思考とは何か検討する。締めとなる8章では、デジタルテクノロジーとともに「作る」ことの本質とは何か、それまでの議論で浮かび上がってきたスマートフォン / ソーシャルメディア時代における「切なさ」のありかという主題を論じる。
「世界の終わり」を紡ぐあなたへ――デジタルテクノロジーと「切なさ」の編集術
著:北出栞
装画:米澤柊
予価:2,530円(本体2,300円+税)
発売:2024年4月23日
判型:四六判並製
ページ数:230ページ
SBN:978-4-7783-1926-7
◆主な目次
1章 セカイは今、どこにあるのか
2章 デジタルな実存の再構築(リビルド)
3章 ミュージックビデオ的想像力
4章 タッチパネル上で生まれる「切なさ」
5章 「ポスト・ボカロ」とは何か
6章 浮遊する「天使」のサンプリング
7章 タイムラインの中で「かたち」を捉える
8章 セカイに向けて響く祈りの歌