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タマス・ウェルズが来日間近に語る。こんなにも不平等な世界に降り注ぐ「天使の歌声」

2024.4.10

『Tamas Wells Japan Tour 2024』

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「天使の歌声」に流れ込む父からの影響

―“It’s Not the Same”は亡くなったお父さんについて歌われた曲ですね。あなたがこれまで書いた曲のなかで、これほど率直な言葉で自分の感情を表現したものはなかったのではないでしょうか。

タマス:そうですね。それは自分が内気な性格だということと関係していると思います。これまでパーソナルなことを曲にするのが難しかったんです。もっとダイレクトでオープンな歌詞を書きたい、と思い続けてきて、それがようやくひとつの形になったのがこの曲です。

ー鳥たちが父さんを待っている、という描写を通じて、お父さんの優しさや人柄が伝わってきますね。

タマス:父がかなり歳をとってから、家の近くにある湖に散歩に行くたびに鳥たちにエサを与えていたんです。父が亡くなったあと、母が湖に散歩に行って鳥たちにエサを与えようとすると、鳥たちは父ではないので戸惑って父が来るのを待っているようでした。その様子を見て悲しみが湧いてきて、そのことを歌詞にしたんです。

タマス・ウェルズ『To Drink up the Sea』収録曲

ーあなたは2ndアルバム『A Plea En Vendredi』(2006年)のジャケットにお父さんの絵を使用しています。一人のアーティストとして、お父さんから何か影響を受けたことはありますか?

タマス:父からは多くのことを吸収しました。たとえば物事を表現するための繊細なアプローチ。父は何かを押しつけたりはせず、静かなやり方で伝えます。『A Plea En Vendredi』に使った絵は、父がよく題材にしていた地元の海岸の風景で、あの抑制が効いたタッチがアルバムに収められたローファイでシンプルな曲に合っていると思ったんです。

―お父さんはいろんな風景を絵に描き、あなたはご自身の心象風景を音楽を通じて描いているような気がします。

タマス:それはとても興味深い感想ですね。子どもというのは、父親とは違うことをしたくなるもの。だから、私は画家とは違うことをしたいと思っていました。でも、いまにして思うと、父と同じようなことをしているのかも。音楽を通じて、自分の内なる風景を表現しようとしてきたのかもしれません。

タマス・ウェルズ『A Plea En Vendredi』収録曲

―『A Plea En Vendredi』の絵は、あなたの音楽を描いているようにも思えました。お父さんは素晴らしい色彩感覚を持っていましたが、あなたの歌の魅力のひとつはメロディーです。ソングライティングで大切にしていることは何でしょう。

タマス:やはりメロディーです。とくに1960年代の音楽のメロディーに強く惹かれます。いつもメロディーのことを考えていて、新しいメロディーを探すのが大好きなんです。毎日ギターを手にして、5分間、メロディーのことを考える。そして、何か思いついたら携帯に録音します。携帯には何百というメロディーのアイデアが入っているんです。

―ハーモニーやコーラスのアレンジも、いろんなことを試されてますね。

タマス:コーラスやハーモニーも大好きなんです。中毒といってもいいぐらいに(笑)。コーラスやハーモニーで曲を盛り上げることができるし、ライブで他のメンバーと一緒に歌うのも素晴らしい体験です。

タマス・ウェルズ『To Drink up the Sea』収録曲

―そして、あなたの歌で何より素晴らしいのは歌声です。繊細で押しつけがましくない、というお父さんの絵のタッチを思わせるところもありますが、歌うときにどんなことを心がけていますか?

タマス:音楽活動をはじめた頃は、友人と一緒に演奏していたので自分の声があまり聴こえていなかったのですが、一人でマイクに向かって歌うようになると、自分の声に起こっていることがすべてわかったんです。それからは、自分の声の隅々まで意識して歌うようになりました。

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