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常に自分が一番ワクワクしていたいから、今やりたいことをやる
ーここまでお話を伺って、梅井さんはジャンルや肩書きに捕らわれない表現者であり生き方をしている方だなと思いました。クラシックやジャズといったジャンルでは括れないし、表現の形態も自由だし、「音大」とか「アカデミック」みたいな言葉のイメージにも縛られてない。すごくナチュラルにそうなっている気もするし、でもやっぱりそれは意思があるからこそできることでもあると思う。梅井さんご自身ではどう感じていますか?
梅井:未だに何と名乗っていいのかわからないというか、作曲家と名乗るのも何か違うし、ピアニストと名乗るのも何か違う。何かを名乗れるぐらいの責任は持ちたいとも思うんですけど、演奏ばかりしていても疲れちゃうし、作曲家としてずっと曲を書くのもそれはそれで疲れるから、上手くバランスを取りたい。常に自分が一番ワクワクしていたいのが原動力としてありつつ、やりたいことは時期によって違う、って感じがします。今はすごくピアノが上手くなりたい時期で、こんなことを思ったのは人生で初めてで。もしかしたら急に「お花がやりたいから、今はピアノやめます」とか言い出すかもしれないし(笑)、多分そういう生き方をしていくんだろうなって何となく思っています。
ーきっとそれは上の世代のミュージシャンの影響も大きいでしょうね。途中で名前が出たモノンクルだったり、haruyoiのツアーで共演している角銅真実さんだったり、CRCK/LCKSとかもそうだと思うけど、アカデミックな知識も技術もありながら、自由にいろんなことを表現している人たちがいて、そういう背中を見てきたというか。
梅井:本当にそうだと思います。私もだし、多分私の周りの同世代のミュージシャンもそうだと思います。みんな以前よりもジャンルを軽々と乗り越えてシームレスに活動している感じがして、「いろいろ好きなように全然やっちゃっていいんだな」みたいな気持ちにさせてくれる方々の存在がすごくありがたいですね。
ー気楽だけど適当ではないというか、ただただ「何でもやりたいです」じゃなくて、一つひとつに対して丁寧に、真剣に取り組んでいることも感じます。
梅井:みなさんそれぞれ突き詰めてきたことがバックグラウンドに絶対あると思うんですよ。1回何かを突き詰めているから、ジャンルを渡り歩くときにも、突き詰めた姿勢を他の現場や他のジャンルにも持ち込んでいけるのかなって。
ー梅井さんは20代のうちに海外で活動することも目標にしているそうですね。
梅井:元々具体的な目標はなかったんですけど、ただ続けていく中で、「音楽で世界中のいろんなところに行けるようになりたい」って突然思ったときがあって。20代のうちに海外に行かないと後悔しそうな気がするなと思ったんです。そもそも旅をして、見たことがないものを見ることが本当に好きなんですよね。この前ツアーで北海道に行ったときも自転車で小樽を一周して、それがめちゃくちゃワクワクしました(笑)。
ー常に未知のワクワクするような体験を求めていて、そこが音楽と旅でリンクする部分なのかもしれないですね。
梅井:そうですね。本当にそんな気がします。
