グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
12月9日は番組からの推薦で、写真家の松本時代さんが登場。お笑い芸人やハガキ職人を経て写真家になったきっかけや、バングラデシュで撮影された写真集『電車は止まらない』の制作秘話についても伺いました。
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お笑い芸人やハガキ職人を経て、世界中を放浪する写真家に
タカノ(MC):松本さんのプロフィールがすごくユニークでして、バンド「毛皮のマリーズ」の専属カメラマンから始まり、お笑い芸人、バンドマン、そしてハガキ職人などを経て、現在は写真家として世界中を放浪しながら、作品を撮られているんですね。
Celeina(MC):すごいですね。ハガキ職人ということは、ラジオはたくさん聞いていたんですか?
松本:そうですね、ヘビーリスナーです。ハガキは1週間に100〜200通くらい送っていました。
タカノ:すごいですね! ラジオ業界を支えてくださっていますよ。そして毛皮のマリーズですが、ボーカルの志磨遼平さんが以前この番組にもゲストとして出演されています。元々はどういった繋がりだったんですか?
松本:志磨くんが同じ和歌山県和歌山市出身で、幼なじみなんですよ。僕のお母さんが民家で塾をやっていて、志磨くんはそこの教え子でした。僕が小学校2年生のときから幼なじみというか、お母さんが教えている子、みたいな形で付き合いがありましたね。
タカノ:幼い頃から繋がりがあったんですね。
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写真家とは別の形で世に出るために考えた、お笑い芸人の道
Celeina:それで写真家として軌道に乗りかけていたのに、お笑いの道に行かれたのはすごく意外ですね。
松本:確かに、今考えると何をしているんだって感じですよね。2006年くらいまでがアート写真ブームで、例えばキヤノンのコンテストだったら、キヤノンの本社の倉庫が写真作品で埋まるぐらい応募数があったんです。それを見たときに、ずっと写真を続けていくにしても、何十万点ってある中から自分が選ばれる確率って何%なんだろうと思ってしまって。別の形で世に出るためにはどうしたらいいのかと考えて、苦肉の策で出したのがお笑い芸人だったんです。全然違うところから攻めていかないと、と思っていました。
Celeina:いいですね。そうやって常に挑戦し続ける姿勢は素晴らしいですね。
タカノ:写真とお笑いは繋がりそうな気もしますし。
松本:そうですね。写真を1個の小さな枠だとしたら、お笑いは芸能だと考えたときに大きい枠じゃないですか。もしお笑いで成功することができれば、その分、写真に戻ってくることだってすぐに可能だと思ったんです。でもやっぱり、写真の世界には血反吐はいて頑張っている方がいらっしゃるので、それはもう本当に浅い考え方だったなと思いますね。
タカノ:いろんな経験がきっと今に繋がっているのは間違いないですよね。
松本:どうかしら(笑)。
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高度経済成長期のバングラデシュで撮影した、列車の屋根に乗る人々
タカノ:そして、松本さんがバングラデシュで撮影された写真をまとめた写真集『電車は止まらない』。こちらは2022年に発売されましたが、すごく濃厚な作品なんです。

松本:ありがとうございます。
タカノ:まずは写真集の概要を教えてください。
松本:僕がたまたまバングラデシュに行ったときが、高度経済成長期のど真ん中だったんです。古い建物がどんどん壊されて、その向こうでは新しいビル群がどんどん立ち上がっていたんです。その真ん中をボロボロの列車が屋根に人を乗せて爆走しているという光景を見たときに、虜になってしまって。
ただ、2020年に新しい電車が開通する予定で、そうなると列車の屋根に乗ることが法律で禁止されるという動きになっているという噂を聞いて。そこで、みんなが列車の屋根に乗っているところから、乗らなくなるまで、というのを取材したら1つの作品になると思って、制作しました。
タカノ:躍動感というか、スピードが伝わってくるような写真です。

Celeina:世界に1枚の写真がたくさん収められていますね。
タカノ:意外と皆さん、結構健やかな表情されていますよね。

松本:気付きましたか? みんな超ハッピーなので、バングラデシュはすごくいい思い出ばかりですね。法律自体はだいぶ前に強化されていたので、撮影は3回4回ぐらいで終われるのかなと思っていたんですよ。それが結局400回以上列車の屋根に登って、終わりまでに1年半かかってしまいました。
Celeina:電車の屋根に乗るというのはバングラデシュでは当たり前の光景なんですか?
松本:当たり前ではあるんですけど、普通の家とか富裕層の子たちは、家庭で「あそこの駅行っちゃ駄目よ」とか「絶対登っちゃ駄目よ」と言われるような感じでした。どちらかと言うと、貧困層の子供たちの遊び場みたいな形で機能している部分も大きかったですね。なので、子供たちが落ちたりして事故につながることも多かったので、今はもうダッカでは完全に乗れなくなりました。

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「お前また来ているのか」毎日駅に行くことで、現地の人たちと顔見知りに
タカノ:1年半の間に、皆さんと仲良くなったりしましたか?
松本:毎日駅に行くので、当然顔見知りになりますね。アライバルビザのスタンプを押してくれる方にも、「お前また来たのか」って言われて(笑)。それぐらい仲良くなりましたね。
Celeina:この『電車は止まらない』はお写真だけではなくて、文字も綴られているのですが、そこにエピソードが詰まっています。バングラデシュの子供たちとの交流の姿や、思い出も語られていますよね。
松本:そうですね。やっぱり僕は写真家なので、最初は写真だけでほぼ文章がない状態だったんですけど、この本を出版するきっかけをくれた芸術新聞社の皆さんが、これはこぼれ落ちるエピソードみたいなものを文章でまとめた方がいい、という話をしてくださって。1年くらい文章を書いて、この完成形になりました。
タカノ:エッセイ的な要素もありますし、読み応えがありますね。ぜひ皆さんにも読んでいただきたいです。そして今日の番組ではJ-POPを取り上げているので、放浪中に必ず聴くJ-POPとかがあれば教えてください。
松本:やっぱり幼馴染の志磨くんの毛皮のマリーズ”ビューティフル”です。<私は人生複雑骨折>というワードが、自分の人生を表しているようで。
タカノ:パワーワードから始まりますからね。
松本:志磨くんも僕も完全に複雑骨折した人生だったんだ、みたいな感じで、なんかやる気が出てくるような曲で、よく聴いていました。
タカノ:いいですね。みなさんにはこの写真集を手にとって欲しいのですが、『電車は止まらない』はどちらで購入できますか?
松本:ヴィレッジヴァンガードでプッシュしていただいた時期もあるんですが、確実なのはAmazonとかですね。ぜひお手に取っていただきたいです。
タカノ:松本時代さんの名前でも検索していただいて、ホームページやX、Instagramなどもぜひチェックしていただければと思います。
松本:よろしくお願いいたします。
Celeina:さあ「FIST BUMP」、グータッチで繋ぐ友達の輪ということで、お友達を紹介してもらっています。どんな方をご紹介くださいますか?
松本:ロックンロールレーベル「DECKREC」の主催、ネモト・ド・ショボーレさんです。
Celeina:ロックンロールのレーベルを主催されているということで、音楽トークになりそうですね。楽しみです。本日お迎えしたのは、写真家の松本時代さんでした。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann