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荒川ナッシュ医の個展をレポート 国立新美術館が「変なこと」に巻き込まれる貴重な機会

2024.11.12

#ART

はたして「美術館は芸術の墓場」なのか?

会期中、展示室内では数多くのパフォーマンスが行われ、荒川ナッシュ医自身による展覧会ツアーも連日のように開催される。本展はいわばその容れ物で、やっぱりパフォーマンス・アート自体はどうしたって展示をすることができない。でもそれなら、なんのパフォーマンスも行われていない時の本展は一体なんなのか……グルグルと考えていくうちに、ふとひとつの可能性に思い当たった。もしかしてこれは、「パフォーマンス・アートの展覧会」なのではなく、「荒川ナッシュ医が国立新美術館で展覧会をやるというパフォーマンス・アート」なのではないだろうか。

あっという間に夜に。鑑賞時間はたっぷりと取るのが吉です

だとすればこのパフォーマンス・アートの狙いは、我々と美術館の静かな関係性に石を投げること、だと私は思う。国立の大きな美術館での展覧会というと、暗黙の了解としてある程度の「おすまし」が求められる。格調高さを敷居の高さと感じる人もいるだろう。ところが本展ではもう冒頭から、美術館の床に「ご自由にお描きください」だし、ビーズクッションで床に座ってもいいのだ。国立新美術館はそれを許容し、本展は入場無料で誰にでも開かれている。内覧会では小さい子どもの姿も多く、正直言ってこんな美術館の姿を見たのは初めてで衝撃を受けた。

荒川ナッシュ医『ペインティングス・アー・ポップスターズ』は一般的な美術展ではなく、展覧会半分、フェス半分ぐらいのイメージで、ふらりと訪れるのがいいと思う。きっと心に刺さる作品が見つかるし、それは訪れるたびに変わるかもしれない。また、本展の開催はおそらく国立新美術館にとってかなり大きな挑戦であることだろう……次いつあるかわからない、美術館が「何か変なこと」に巻き込まれている貴重な機会だ。それならば今、一緒に巻き込まれておいた方がいい。

『荒川ナッシュ医 ペインティングス・アー・ポップスターズ』

会期:2024年10月30日(水) ~ 2024年12月16日(月)
休館日:毎週火曜日
開館時間:10:00~18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
会場:国立新美術館 企画展示室2E
〒106-8558東京都港区六本木7-22-2
主催:国立新美術館
協力:タカ・イシイギャラリー、株式会社中川ケミカル
観覧料:無料
お問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)

公式サイト:https://www.nact.jp/exhibition_special/2024/eiarakawanash/

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