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アーティストと職人の協働

会場の中ほどにある4つめのセクション「絵画といわき」もユニークだ。ここで展示されているのは、遠州横須賀凧という戦国時代発祥の伝統的な凧を、ドイツ、ハンブルク出身のアーティストであるケルスティン・ブレチュが職人と共にペイントしたもの。色鮮やかなその凧を、実際に空に飛ばした映像なども観ることができる。

ケルスティン・ブレチュのビビッドな色彩や生き物のような妖しいフォルムは、ちょうど1階で大規模個展を開催中の田名網敬一の作品を思わせる。荒川ナッシュ医は解説ツアーの中で、本展にはアーティストキュレーションの側面もある、と語っていた。荒川ナッシュ医自身がアーティストを集め、監修し、来場者に紹介するという意味合いだろう。ブレチュは本展を通じて知ることができてよかったと思うアーティストのひとりである。

この作品では、ポリエステル製のフィルムに油絵具で色を乗せている。近くで見ると、規則的な筆の跡が立体感を生み出し、ボワ〜ンと発光しているようで面白い。