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荒川ナッシュ医の個展をレポート 国立新美術館が「変なこと」に巻き込まれる貴重な機会

2024.11.12

#ART

アート活動と子育ての両立

本展で展示されているのは、荒川ナッシュ医自身と、彼に協力する60名以上のアーティストによる作品だ。ゆるく分けられた9つのセクションは、いずれも「絵画と◯◯」と銘打たれているが、まず気になるのはセクション2の「絵画と子育て」である。

モニターで映し出されているのは、カリフォルニア州で卵子提供 / 代理出産を経てまもなくゲイパパになる予定という荒川ナッシュ医の、双子の赤ちゃんのエコー画像、および出産予定日までのカウントダウン映像。

絵画と子育てと聞くと両立しなさそうなものだが、意外とそんなことはないようだ。確かに、子育てには絵画表現の根本にある「愛」も「怒り」も溢れているのだから、納得である。このセクションでは子育て中のアーティストによる絵画作品が多く展示されているが、特にインパクトが強いのが、こちら。

トレバー・シミズ『睡眠不足 1』(2016年、作家蔵)

幼児の夜泣きで、寝不足の父親像。怨念にも近いやり切れなさが描かれていて、ゾッとしながらも笑ってしまった。こんなになるほど寝不足なら、自画像を描いていないで寝てほしい……が、そうもいかないのが子育てなのだろう。てっきり「絵画と子育て」には絵本のような優しく温かいタッチの作品があると思い込んでいたため、この一作の激しい当事者性には心を揺さぶられた。私たちは子育て中、もっと絵を描くべきなのかもしれない。

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