ただ、晩ご飯を一緒に食べるだけの「晩餐活動=晩活」が心を癒やす、深夜の“晩活”グルメドラマ『晩餐ブルース』(テレ東ほか)が最終回を迎える。
高校時代の旧友だったドラマディレクター・田窪優太(井之脇海)と元料理人・佐藤耕助(金子大地)の2人が始めた「晩活」は、同じく旧友の蒔田葵(草川拓弥)も巻き込んで、優太の同僚・上野ゆい(穂志もえか)や木山高志(石田卓也)だけでなく、身の回りの社会にまで広がっていく。
彼ら彼女らが食べるご飯も美味しそうな本作について、第5話までを振り返った記事に続いて、ドラマ・映画とジャンルを横断して執筆するライター・藤原奈緒がレビューする。
※本記事にはドラマの内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。
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優太、耕助、葵の3人が「帰る場所」を見つけた先で出会ったもの

ただ、晩御飯を一緒に食べるだけの「晩餐活動=晩活」によって、優太、耕助、葵の3人はそれぞれの「心が自由になれる時間=帰る場所」を見つけた。「帰る場所」を見つけた彼らの目は次第に外に向いていく。その先で出会ったもの。例えば、商店街で夫婦(今井吉清、藤夏子)が営む食堂に貼られた「後継者募集」の紙。特売セールで出会った高齢の男性・亀井(渡辺哲)の金言。「10年住んでるのに知らない景色ばっか」な近所の光景。外の世界は、大きな鏡となって、彼ら自身を映した。「最近、こうやって自分の手と手を合わせたり、組んでみたりよくやるんだよ。なんとなく自分のかたちが分かるような気がしてね」という亀井の言葉のように「自分のかたち」を確認しようとする彼らは、一度、心が立ち止まってしまった場所に立ち返る。そして、深呼吸をしてゆっくり前を向いた先にはきっと、新しい明日が待っているはずだ。