BREIMENの高木祥太(Ba,Vo)が、メジャーデビュー後の変化や最近注目するミュージシャン、ニューアルバム『MEN in the mirror』に込めた思いを語った。
高木が登場したのは、10月17日(土)放送のJ-WAVE『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談義を繰り広げる番組だ。
INDEX
メジャーデビューで変わった「周りの安心感」

高木祥太は1995年生まれ、神奈川県出身。フラメンコギタリストの父とフルート奏者の母という音楽一家で育ち、2015年にBREIMENの前身バンドを結成。インディーレーベルでの活動を経て、2024年にメジャーデビューを果たした。『SAPPORO BEER OTOAJITO』には2023年以来、3年ぶりの登場となった。
【関連記事】「ベース演奏の楽しさ」をどこに感じる? BREIMEN・高木祥太が語る
クリス:インディーからメジャーに移ってどうですか?
高木:今ってメジャーから出そうが、インディーから出そうが、どっちがどうとかってあんまりないとは思うので、「あんまり変わってないよ」と言っていました。ただ、親戚は「メジャーデビューしているらしい」というのと「バンドやっているらしい」というのは、評価が変わるみたいです。うちの場合、音楽一家なのでそこはあんまり関係ないんですけど、どちらかというとメンバーの親戚とかが、「ちゃんとやっているんだ、この人たち」みたいな。周りがちょっと安心するというのが、メジャーデビューで一番デカいんじゃないかなともはや思っています。
クリス:メジャーデビューって安定した生活が送れているイメージなんでしょうね。
高木:本当にまったく関係ないですけど、そういうものなんでしょうね。
クリス:母体がしっかりしているねって感じだよね。
高木:そういうことですね(笑)。

以前はTENDREやTempalayなどのサポートも務めていた高木。ここ2年ほどは、BREIMENに集中するため仕事を減らしているという。
高木:何か言われたとかもまったくなく、単純に一時期忙しすぎて、1日3ライブみたいな日もありました。端的に言えば、誰かの後ろで弾くことにちょっとだけ飽きたというか。あと、この1、2年はSOIL&”PIMP”SESSIONSの丈青さんと一緒にやったり、インストのジャズファンクをいっぱいやっていて。それは自分のルーツというか、BREIMENを始める前にやっていたことなんです。
クリス:もともとジャズなんだ。
高木:ジャズファンクですかね。原点回帰して、ベーシストとしての自分を顧みる期間が、僕的には楽しいっていうのもあります。今はBREIMENと、ベース的に元来楽しかったもの。このふたつで今の音楽のバロメーターとしては整っているなっていうフェーズです。
INDEX
注目ベーシストに感じる希望と絶望
最近、注目しているベーシストとして高木が挙げたのは、ブラジル出身のムニール・ホッスン。Instagramで彼の演奏を知ったという。
高木:すさまじくって。リー・リトナーのバックとかも最近やっていたりして、テクニカルのベクトルが、ブラジルという土地柄なのかファンキーだし、クセがある。単純に速いとかテクニカルとかじゃなくて、独特な方言とかタイム感とかがある。強いて言えば、リチャード・ボナとかの文脈の人だと思います。
クリス:聴いたときに、ちょっとボナっぽいなと。
高木:そう、現代版ボナみたいな。ボナに失礼になっちゃうけど。
クリス:このムニール・ホッスンから、取り入れたい要素はあるのかな。
高木:僕はベースボーカルで、けっこう難しいんです。特に指弾きのベースボーカルはめっちゃ難しくて。自分で作った曲でも、レコーディングのときは歌とベースは別々にやるので、いざ一緒にやると「めちゃくちゃむずいわ」って思ったりします。そういうときにこの人の動画を見ると、「いけるんだな」「限界ないんだ」って。練習すれば本当はできるんだろうなという希望もあり、絶望もあり(笑)。でも、練習をしたらできるから、やっぱり大事なんだなと。

ベーシスト以外で注目しているアーティストについてクリスが尋ねると、高木はニューヨークのブルックリンを拠点に活動するImaginary Tricksを挙げた。
高木:Instagramでギターを弾いて、変なループを作っているおじさんがいて。僕、全然この人が何者なのかわかっていないんです。
クリス:初めて名前を聞いた。
高木:おそらくユニットか何かをやっているみたいで、僕が認識しているのはギターの人がひとりで変なループを作っている映像がめっちゃあるんです。それこそ今年のフジロックに出たAngine de Poitrineじゃないですけど、本当の意味のオルタナティブというか。今のオルタナティブな感じ。ここまでに形成された音楽のひとつの気持ちのいいフォーマットだよねというところから、今のテクニカルだったり技術が発展した語法を持ってそこから脱却しようとしている人たち。
高木:(Imaginary TricksもAngine de Poitrineも)いきなりジャズセッションに放り込んでも、その文脈のなかでも発揮できると思うんですよ。そういうものを通ったうえで出しているっていう。今って、山にこもっていきなり世に出てくるみたいなミュージシャンってなかなか無理だと思うんですよ。時代的に情報がいろいろあるし。次に何かから脱するには、いろんな情報やフォーマットを知って、それもできたうえで脱却しないとだなと思いました。この人はそれを体現している。変なんですよ、めっちゃ。
INDEX
完璧なアルバムは「陰影はあるけど全部光っている」
「完璧なアルバム」として高木が選んだのは、マイケル・ジャクソンの『Off the Wall』(1979年)。ベースを始めたころ、収録曲をコピーしていたという。
高木:マイケルがクインシー(・ジョーンズ)と組んで最初の作品だったと思うんですけど、クインシーってジャズミュージシャンじゃないですか。そのジャズの要素とマイケルのシンガーとしての特異性、シンガーソングライターとしてのポップさ、あとベースはルイス・ジョンソンで、ミュージシャンも半端ないじゃないですか。ポップミュージックのおいしいところが全部入っている。陰影はあるけど全部光っている、みたいなアルバムだなって。1曲目のオープニング感、始まった感から、途中の“Girlfriend”とかミドルテンポの曲まで、この10曲で全部があるんじゃないかな。そういう観点で完璧なんじゃないかなと思います。
クリス:この時代のマイケルの存在感も、自分はすごく好きなのかもしれない。
高木:やっぱりそういうのって音にも内包されるじゃないですか。自信がまだ100ではない感じとかがいいというか。
クリス:これから行くぜ、みたいな。
高木:めちゃくちゃいいアルバムだと思います。
最新回の聴取はこちら
