一見ポップなのに、細部へ耳を澄ますほど、どこか真新しいものが現れる。2010年生まれのDJ / プロデューサー、heykazmaの音楽には、そんな不思議な距離感がある。幼い頃からクラブミュージックとインターネットの奥深くへ潜りながら、その佇まいは軽やかで親しみやすい。最新シングル“blueberry ft.北村蕗”は、そんなheykazmaの作家性を鮮やかに映し出す一曲だ。
若き二人が出会ったのは、なんとheykazmaが小学5年生、北村蕗が高校3年生の頃。DJと弾き語りというそれぞれ異なる場所から音楽を始めた両者は、それからというもの、DMで曲を教え合い、クラブへ出かけ、写真を撮り、感性を交換してきた。そして、リリースされた共作の楽曲“blueberry”。完成に約4年の月日がかかったという。二人は互いから何を受け取り、何を自分の音楽へ持ち帰ってきたのか。長い付き合いの先にようやく完成した一曲を入口に、その関係と音楽の現在を聞いた。
INDEX
heykazmaって何者? 2010年生まれの特異な音楽遍歴
—heykazmaさんは、3歳頃から音楽に触れていたそうですね。最初はどのような出会いだったんですか?
heykazma:テレビから流れてくるJ-POPをとにかく聴いてました。そこから、テレビに出ているアーティストがアンダーグラウンドな人たちとコラボしていることを知って、SNSも見るようになって。母親と一緒にSNSへ投稿も始めたのが、5、6歳くらいですね。

2010年生まれのアルファ世代(16歳)DJ、作曲家、モデル、オーガナイザーなど多方面で活躍中のアーティスト。幼少期から音楽に親しみ、9歳からDJ活動を開始、エレクトロニック・サウンドを軸とした多彩なプレイスタイルを展開中。学業の傍ら、VOGUEの「Best Dressed 2025」選出や「ele-king」でのコラム連載、自主企画「yuu.ten」をオーガナイズするなど精力的に活動。また、kuyurimi(北村蕗)とのユニット・machakaruや、カメラマン東京神父、音楽家北村蕗と共にフォトコレクティブ・HEAVENLY KILLERSのメンバーとしても活動中。本作は、2026年2月にリリースしたデビューEP『15』に続く新作
—小学校に上がる頃 ですね! 北村さんは、その頃の年齢の記憶は何かありますか?
北村:歌うことや音楽を聴くことは、その頃から好きでした。母親もよく音楽を聴かせてくれてたので、それに合わせて歌ったり踊ったりしていて。小学校1年生からピアノ教室に通い始めたんですけど、ピアノの先生が童謡を歌っている方だったので、ピアノと歌を同じ先生から習っていたんですよ。

2023年3月に初の配信シングル「amaranthus feat. 梅井美咲」をリリースし、7月にFUJI ROCK FES’23 のROKIE A GO-GO に出演。ダンスミュージック、ジャズ、フォーク、エレクトロニカなど、様々なジャンルをミックスした音楽性が話題となる。2024年6月ダンスミュージックをコンセプトにした1st EP「500mm」をリリース。7月、前年に続き2年連続でFUJI ROCK FES’24 に出演。10月、「TOKYO ALTER MUSIC AWARD」「Best Breakthrough Artists」受賞。25年1月、Spincoasterが選出する10アーティスト『SPOTLIGHT 2025』に選出。25年3月、世界最大規模のミュージックショーケースSXSW2025 に出演。その他、tomggg feat.ena mori「いちごみるく」remix 参加、冨田ラボのメンバーに加入、kuyurimi名義でDJ 活動などマルチな活動で注目を集める
—思い出に残っている曲はありますか?
北村:“いらっしゃい風”(作詞:宮中雲子作詞、作曲:福田和禾子)という童謡です。結構マイナーな曲なんですけど、コンクールで歌ったことがあって。最近、昔使っていたウォークマンを発見したら、小4くらいの自分が歌っている音源も残っていたんですよ。久々に聴いて、「わー、声が幼い!」って(笑)。
—北村さんが童謡を歌っていた小4の頃、heykazmaさんはすでにDJをしていた?
heykazma:本格的に始めたのが9歳なので、ちょうど小4ですね。当時はレイ・ハラカミさん、Primulaさん、DÉ DÉ MOUSEさんなどを聴いていて、アンダーグラウンドな音楽を追っていたと思います。両親にコントローラーを買ってもらって、プレイ動画を積極的にSNSに投稿するようになりました。
—小学生で、ダンスミュージックのどこに惹かれたんでしょう?
heykazma:昔から、とにかく踊っていたらしいんですよ。蕗ちゃんの話とも似てますけど、体を動かすことがずっと好きで。その延長だったのかな。

—北村さんがダンスミュージックを意識的に聴くようになったのは?
北村:私は遅くて、ここ5年くらい。弾き語りをやってた時間が長いので、kazmaと出会って電子音から入って、ダンスミュージックにハマっていきました。でも原点は同じで、弾き語りをしていた頃から、体を動かしたくなるようなグルーヴが好きでした。自分の場合は、小1でピアノを始めて、中1くらいからギターを弾き、中学生で弾き語りの活動を始めた、という流れでしたね。
—弾き語りを始めたきっかけは?
北村:もともとミュージシャンになりたいとは思ってたんですけど、どうやってなればいいんだろうと考えた時に、オリジナル曲を作ってライブ活動をする方法があると知ったんです。それで、ライブハウスに出るために自分の曲を作り始めたのが最初ですね。