サカナクションの楽曲と山口一郎のナレーションに導かれ、宇宙を旅する作品『サカナクション グッドナイト・プラネタリウム』。2015年の上映以来、再演を望む声が止まなかった名作が、ついに待望の再上映をしている。舞台は押上・東京スカイツリータウン®にある「コニカミノルタプラネタリウム天空」。
本作は“シーラカンスと僕”や“グッドバイ”など4曲の名曲と共に、東京の夜から宇宙へと繋がっていく。コニカミノルタプラネタリウムでしか体験できない、音楽と星空の没入体験をレポートする。
INDEX
週末の夜、サカナクションの音楽とともに星空を観る
金曜日の夜9時、プラネタリウムに行く。場所は、東京スカイツリーのすぐ近く。最寄り駅は、東京メトロ半蔵門線の終点、押上駅。誰かにとっての最寄り駅が、別の誰かにとっては遠くの見知らぬ駅だったりするわけで、駅の遠い近いなんて一概には言えないのだけれど、それでもやはり「終点」というのは遠い場所、という感じがする。週末の夜なのでそれなりに体は疲れてはいるが、心はソワソワしている。プラネタリウムと言えば、初めて行ったのは確か20年以上年前、小学生の頃だろうか。理科の校外学習で行った。あれから取り立てて星や宇宙に詳しくなったわけではないが、それでも、プラネタリウムに行くとなれば、相変わらず心がソワソワするものだ。
押上駅を降りて、向かったのは東京スカイツリータウンの7階にある「コニカミノルタプラネタリウム天空」。プラネタリウムだからと言って、ただ星を観るだけではない。プラネタリウムにも映画館のように時期によって変わる上映作品がある。この日の目的は『サカナクション グッドナイト・プラネタリウム』。去年の暮れの『NHK紅白歌合戦』にも出ていたロックバンド・サカナクションの楽曲とプラネタリウムがコラボレーションした作品で、「夜に触れる」がテーマだ。サカナクションの音楽には「夜」が似合う。彼らが奏で表現する「夜」は、時間帯の話であり、抽象的な概念の話でもあり、いろんな意味合いが滲み合っているのだろうが、そこに「触れる」という能動的で確かな感覚が、サカナクションらしい。
INDEX

2005年に活動を開始、2007年にメジャーデビュー。2015年に映画『バクマン。』音楽を担当し、第39回日本アカデミー賞最優秀音楽賞をロックバンドとしては初受賞。2025年にリリースされた最新楽曲“怪獣”(アニメ『チ。 ー地球の運動についてー』主題歌)は各音楽配信チャート上位を席巻。音楽的な評価も受けながら「ミュージシャンの在り方」そのものを先進的にとらえて表現し続けるその姿勢は、新世代のイノベーターとして急速に支持を獲得している。
実はこの作品は、2015年にも池袋にある「コニカミノルタプラネタリウム満天 in Sunshine City」で上映されて以降、各所で再上映されてきた人気作品。バンドのボーカル / ギターである山口一郎本人が、作品のナレーションも務めている。10年前の作品とは言え人気が高く、この日も開場時間前になるとたくさんの人が受付前に集まっていた。夜9時からの回は、その日最後の上映回だ。金曜の夜、プラネタリウムに大人たちが静かに集まっている光景は、なんだかとても「いいもの」のような気がした。子どもの頃に理科の校外授業で来たときには、夜のプラネタリウムにこんな景色があるなんて知らなかった。
プラネタリウムは、暗くて、綺麗で、丸い。そして映画館やライブハウスとはまた違った場所としての色気がある。そもそも、人工的に再現した天体を観るために作られた場所なんて、ロマンチックだ。ドーム状の空間の真ん中にドンッと鎮座して物々しい空気を放っている機械=投映機が、永遠不変に変わらない人間のロマンと欲望を表しているような気もする。それに、星や宇宙のような、途方もなく遠くにあるものや、大きなものを見たり、感じたりすることは、人の心に不思議な安らぎや勇気を与えるものだと思う。