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『ぬいしゃべ』金子由里奈監督インタビュー 加害性とやさしさのはざまから

2023.4.4

#MOVIE

ぐちゃぐちゃで名前もまだないモヤモヤを活かしたかった。恋愛感情を抱かない主人公・七森をどう描いた?

ー『ぬいしゃべ』の主人公の一人、七森は他者に恋愛感情を抱かない自分に対してコンプレックスを抱いています。役を演じた細田佳央太さんとはどんな言葉を交わしましたか?

金子:そうですね。七森は異性愛規範の、恋愛の物語が溢れる世界で、自分はそこに混ざれない、そのノリに乗れないというモヤモヤを抱えている人で。まだ「アロマンティック(他者に対して恋愛的に惹かれない人)」などという言葉に出会っていない状態の人なのだととらえていました。

この映画では、そんな七森の等身大のモヤモヤを大切にしたいなと。なので、細田さんとも「七森はどんな人か」という話はしましたが、性自認や性的指向に関する知識の共有はそこまでしませんでしたね。

七森(右・細田佳央太)と麦戸(左・駒井蓮)©映画「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」
七森(右・細田佳央太)と麦戸(左・駒井蓮)©映画「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」

ー映画の宣伝においても「アロマンティック」などといった言葉は使われていないですよね。

金子:はい。言葉や定義があることによって、もちろん救われる人もいると思うし、社会にマイノリティの存在を意識させる役割もあるので必要性もあると思うのですが、言葉によって型にはめられてしまうこともあり得ると思っていて。

だから、私は七森の状態に名前をつけたくなかったんです。ぐちゃぐちゃでモヤモヤでかたちもない、七森だけの葛藤を存在させることができてよかったと思っています。

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