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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

ビヨンセ『COWBOY CARTER』――「アメリカ音楽」を再定義する広大な80分間の旅

2024.4.3

#MUSIC

黒人女性としてのカントリー

アルバムから先行リリースされた”16 Carriage”は、16歳でDestiny`s Childのメンバーとして活動を始めてから現在まで働き続けてきたビヨンセ自身の苦労を描いた内容に。

It’s been thirty-eight summers, and I’m not in my bed(38回目の夏が過ぎて、私はベッドで眠れてはいない)

On the back of the bus in a bunk with the band(バンドメンバーと共に、ツアーバスの後ろで寝てるの)

Going so hard, now I miss my kids(頑張ってるわ、子供が恋しい)

Overworked and overwhelmed(働きづめで、押しつぶされそう)

I might cook, clean, but still won’t fold(料理も掃除もするけど、屈しない)

Still working all my life, you know(労働だけの人生、わかるでしょ?)

Only God knows, only God knows(神様は見みてくれてるわ)

Only God knows

”16 Carriage”

カントリー、ゴスペル、フォークなどルーツミュージックに共通する「労働歌」というテーマを、ビヨンセの視点で表現している。ビヨンセは、労働者の苦労を忘れていない。

同じく先行リリース楽曲で、全米1位を獲得した”TEXUS HOLD ‘EM”では、ノースカロライナ出身のカントリー / フォークミュージック奏者のリアノン・ギデンズ(Rhiannon Giddens)が参加し、バンジョーとフィドルを演奏している。白人の父と黒人の母の間に生まれた彼女は、自身の出自を踏まえてバンジョーを演奏する意義を再考する活動をしており、アメリカーナ(アメリカのルーツミュージック)を現代的解釈で演奏した作品が高く評価されているアーティストだ。”TEXUS HOLD ‘EM”は黒人女性が手がけるカントリーミュージックが世界的ヒットとなった点でも、大きな意味を持つ1曲となった。

歌詞をアレンジしたドリー・パートン(Dolly Parton)の”JOLENE”のカバーでは、ビヨンセのパンチラインが炸裂。1973年に発表された原曲は、自身の男を奪おうとする浮気相手のジョリーンに、他の男をあたってくれと懇願するような内容だが、ビヨンセはこのように歌う。

Jolene, Jolene, Jolene, Jolene(ジョリーン)

I’m warning you, woman, find you your own man(警告するわ、自分の男を見つけなさい)

Jolene, I know I’m a queen, Jolene(私は自分がクイーンだって知っているわ、ジョリーン)

I’m still a Creole banjee bitch from Louisianne (don’t try me)(私はルイジアナ出身のクレオール・バンジー・ビッチのままよ)

”JOLENE”

主人公はクイーンであり、ルイジアナ出身の強い女性だ。自信と尊厳を持って家庭を守る物語が描かれており、自分の立ち位置を守るためなら立ち向かう覚悟がある。

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