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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

SNOW SHOVELING中村秀一が語る「出会い系本屋」と村上春樹からの影響

2023.7.18

#BOOK

グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。

6月26日は、世田谷区深沢にある書店「SNOW SHOVELING(スノウショベリング)」の中村秀一(なかむら しゅういち)さんが出演。フリーランスのグラフィックデザイナーとして活動されながら本屋をオープンした理由や、「出会い系本屋」を自称するSNOW SHOVELINGの楽しみ方、二拠点生活をやって良かったことなどについて伺いました。

グラフィックデザイナーから本屋へ

Celeina(MC):まず、簡単なプロフィールをご紹介させていただきます。1976年生まれ。フリーランスのグラフィックデザイナーとして活動したのち、2012年9月、自ら選書した本を並べた「SNOW SHOVELING」をオープン。「本、物、人との偶然の出会いを楽しむスペース、自称出会い系本屋」のコンセプトの元、様々な企画やイベントを行っていらっしゃいます。クラウドファンディング「移動本屋はじめます ”隠れ家みたい”な本屋が”サーカスのように”あなたの街へ!!」(~2023年8月31日)にも挑戦中です。

タカノ(MC):「出会い系本屋」ってどういうことなんですか?

中村:真面目に言うと、本と人が出会うということなんですけど。多少、匂わせもありますね。

タカノ:本と人が出会うだけじゃなくて、人と人も出会うという。

中村:割と、そこに注力をしているお店です。

タカノ:なるほど。中村さんが着てるTシャツが、凄い良いんですよね。

Celeina:“We Are The Book People”。「我々は本の人々だ」。

中村:ちょっと『タクシードライバー』オマージュです。

Celeina:映画も、お好きなんですか?

中村:好きです。

Celeina:ちなみに、映画を観るとき、原作があったとしたら、先に本を読みますか? 映画を観ますか?

中村:あるものから。

Celeina:なるほど!

中村:本が先の場合もあるし、映画が先の場合もありますね。ただ、自分が好きな原作モノは逆に観ないようにしてます。

タカノ:それは何で?

中村:いろいろ傷ついたりした過去があって(笑)。

タカノ:ちょっとわかる気がする。小説が好きすぎて、イメージが固まっちゃってるというか。

中村:自分が監督になっちゃうから。

タカノ:わかります。登場人物の顔も想像しちゃったりとかしてね。

Celeina:さて、先ほどのプロフィール内でもご紹介したんですけれども、「SNOW SHOVELING」をオープンして11年なんですよね。

中村:そうです。

Celeina:フリーランスのグラフィックデザイナーとして働いていた中で、なぜ本屋をオープンされたんですか?

中村:単純に自分発信がしたくなったというか。デザイン仕事って、やっぱり受注の仕事なので、クライアントに満足してもらうのに、自分的には限界を感じて。自分の場所を作って、自分の100%の何かを放出して、それに感じてくれる人が集まったら、単純にもっとハッピーになれるんじゃないかなと思ってやっております。

Celeina:書店で、直に、お客さんの表情なり、声なりを聞きたいってことですよね。

中村:そうですね。やってると、そういうライブ感が面白いんですよ。

Celeina:アーティストが直接、お客さんの前でライブしたいっていう感覚と近いかもしれないですね。

中村:アーティストではないので分からないですけど、仰る通りかもしれないです。

本だけでなく人との出会いもある本屋

Celeina:SNOW SHOVELINGさん、写真でしか見てないんですけれども、すごいオシャレ。アンティーク調の家具と……これ、古本ですよね?

中村:古本も新しい本もごちゃ混ぜです。

タカノ:ちょっと中村さんの書斎っぽさも。

中村:考えると、そうですね。お店然としないようにしてるっていうか。人の部屋とか書斎に来たような感じを目指しています。

タカノ:SNOW SHOVELINGに行くと、偶然な本との出会いがあるってことですよね。なんか、同じ本を好きな人同士って結構、近づける気がするんですけど、思います?

中村:そういう場所を作りたかったというか。電車に乗ってて、自分の好きな本を読んでる人が目の前にいたら、声かけたくなりません?

Celeina:わかる! 私、恥ずかしいからブックカバーしちゃうけど、その妄想はわかります(笑)。

中村:それを山手線でやると恥ずかしいっていうか、傷つく可能性があるんですけど。自分の場所を作って、そういうことをしてもいいよっていう空気を作ったら、小さい奇跡みたいなことが起こるんじゃないかと思って、そういうお店をやってるんですよ。

Celeina:もう私、SNOW SHOVELING行って、ブックカバーを外して、本読む(笑)。

タカノ:それで、きっと「この本を読んでる!」っていうことで、いろんな交流が生まれるっていう。

中村:空気が安心・安全だったら、できると思うんですよ。無視されたりしないかっていう不安を取っちゃえば。

Celeina:ちなみに、それは中村さん先導でやってもらえるんですか?

中村:やりますよ。

タカノ:コーディネートしてくれると(笑)。でも、食べ物や服のブランドが好きとかより、本って、深いところまで編み込むじゃないですか。心が繋がるじゃないですけど、より近い感じがするっていうか。僕も、ブックカバー取って行きます(笑)。

Celeina:ここで1曲、中村さんに、この時間にラジオでみんなで一緒に聴きたい曲を選んでもらったんですよね。どんな曲でしょうか?

中村:Travisの“Flowers In The Window”っていう曲を選びました。

Celeina:選曲理由は?

中村:窓辺に飾った花を愛でるシーンを思い浮かべる曲なんですけど、そういうことができる日常ってすごいと思うんですよ。ちょっと温かい気持ちになるって。今、世の中が殺伐としてて、愛が足りないなと思っているので、愛を届けたいです(笑)。

村上春樹に憧れての二拠点生活

タカノ:SNOW SHOVELINGに行くと、今の気持ちとかで、中村さんに本をオススメしてもらうこともできたりするんですか?

中村:割とやってます。

タカノ:失恋しちゃったんだけど……とか。

Celeina:新しく一歩踏み出したいとか。もっとニッチなのでもいけますか?

中村:割と大喜利なんで。

タカノ:大喜利力はすごいですよね。例えば、徳島に来週、旅行に行くんだけど、行き帰りの移動中に読みたい本とか?

中村:何となくポンと出たのは、ベタというか有名な作品なんですけど、村上春樹さんの『海辺のカフカ』という作品をオススメしたいです。

タカノ:作中で四国に行くんですよね。

中村:そうなんです。

タカノ:中村さんのこの引き出し、すごくないですか。

Celeina:半端ないね。流石すぎますね。

タカノ:だから、何を読めばいいかわかんないってときも……。

中村:気軽に。

タカノ:っていうことですよね。村上春樹さん、お好きなんですか?

中村:好きです。

タカノ:SNOW SHOVELINGも、「文化的雪かき」ということで、村上春樹さんの『ダンス・ダンス・ダンス』に出てくる言葉ですよね。

中村:そうです。そういう言葉遣いが出てきて。その言葉は比喩なんですけど。

タカノ:誰かがやらなきゃいけないこと。

中村:そうですよね。雪かきに例えて、文化的雪かきって言っているんですけど、その言い回しがとても好きだったので、ちょっとしたラブレターみたいな感じで、店名に冠しました。

タカノ:村上春樹トークも、あと1時間ぐらいしたいんですけど(笑)。

Celeina:ちなみに、中村さんは今、二拠点生活を送られてると聞いたんですけど。

中村:はい。山小屋ごっこをしてます。

Celeina:ごっこ! いつからですか?

中村:5年ぐらいですかね。

Celeina:東京と行き来しながらということで。

中村:神奈川県の西の端っこに村があって、そこで週に1日か2日、山小屋ぐらしをしています。

タカノ:なんで、山小屋ぐらしを?

中村:すごい真面目な話になっちゃうんですけど、人間になろうっていうか、脱テクノロジーっていうか。それこそiPhoneとか持たずに、大げさに言うと、火を起こしてみるとか。そういうのを、ちょこちょこやってますね。

タカノ:山小屋にいるときは、焚き火しながら本を読んだり?

中村:まさに。あと、レコードを聴いたり。

タカノ:村上春樹的な生き方ですね。

中村:村上さんの本で、それこそ、『海辺のカフカ』にもあるし、『騎士団長殺し』って本でも、山小屋みたいなところで暮らす設定があるんですよ。それに割と憧れてっていうのもあります。

タカノ:いいな。二拠点生活に憧れがあって、ちょっとアドバイス欲しいです。

中村:アドバイスというか、僕がやってよかったのは、車で移動するんですけど。片道2時間ないぐらいなんですが、それがセルフカウンセリングみたいなんですよ。

Celeina:自分と向き合う時間。

中村:行き慣れた道だから、信号だけ見てれば、思考がフローし始めて、自分が気になってることで急に良いアイディアが湧いたり。移動の時間が、結構、リフトになってます。

Celeina:素敵ですね。ちょっと暮らしのヒントを得れたと思います。さあ、「FIST BUMP」は、グータッチでつなぐ友達の輪ってことで、お友達を紹介してもらっていますが、中村さんがご紹介してくださるのはどんな方でしょうか?

中村:グラフィックとかプロダクトとか、いろんなデザインをやってる黒野真吾(くろの しんご)くんというお友達を紹介したいと思います。

Celeina:どういったご関係ですか?

中村:飲み屋でナンパされました(笑)。

Celeina:一言で表すと?

中村:「昼はマイスター夜はドランカー」です。

タカノ:明日は、「昼はマイスター夜はドランカー」プロダクトデザイナーの黒野真吾さんをお迎えします。

Celeina:「FIST BUMP」今日は、世田谷区深沢にある書店SNOW SHOVELINGの中村秀一さんでした。ありがとうございました。

中村:ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann

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