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折坂悠太『呪文』短期連載

小袋成彬から折坂悠太に寄せて。『呪文』に感じた「マクロモードで日常を切り取る愛」

2024.9.17

折坂悠太『呪⽂』

#PR #MUSIC

折坂悠太の4thアルバム『呪文』の発表、そしてそのリリースツアーの開催に際した短期連載第4弾。

最終回の書き手は、小袋成彬。ほぼ同世代の彼は、プロデューサーとして、DJとして、アーティストとして、そして同じ時代を生きる一人の個人として、折坂悠太の音楽から何を感じ取ってきたのか。約10年前の第一印象から振り返り、『呪文』について綴る。

小袋成彬(おぶくろ なりあき)
日本・埼玉県出身、イギリス・ロンドン在住のアーティスト。 株式会社TOKA創業者。
小袋成彬『Strides』(2021年)収録曲

小袋成彬が振り返る、折坂悠太の第一印象

俺が初めて折坂さんのライブを観たのは、確か2015年のWWWのイベント(※)だった気がします。すごくいい声、いいオーラだなっていう印象でした。初めて話したのは、俺の記憶が正しければ2018年の『RISING SUN ROCK FESTIVAL』のバックステージです。初めて会った時「この人はしっかりしてる人だな」って思いました。

折坂さんの“あさま”って曲の話をした気がします。この曲って音楽とメロディーと歌詞とが全てリンクしているというか、小難しいことをせずに自分の内からスッと出したようなピュアさがありますよね。歌詞も<風が吹くたび浅間の山の / 裾野かける産声が / やまぬ>ですからね。新しい命の息吹も感じるし、すごい心が洗われますよね。捻くれてないし、めっちゃいい。

※編注:2015年10月にWWWで開催された『P.A.Nまつり』のこと。折坂悠太のほか、どついたるねん、奇妙礼太郎、角舘健悟(Yogee New Waves)らが出演した

折坂悠太『たむけ』(2016年)収録曲

折坂さんの歌や詩って、「出汁そのままの味で勝負」みたいなところがあると思うんです。自分を大きく見せようとする音楽が多い中で、そういう勝負の仕方ってすごく勇気がいることなんですよね。

エゴを取り去って自分とちゃんと向き合わないとああいう音楽は出せない。折坂さんの音楽には嘘がない気がする。めちゃめちゃ尊敬しています。

UK在住のプロデューサー、DJ視点で聴いた『呪文』

今回のアルバムを聴いて、折坂さんのオリジナリティーがどんどん磨かれてるなと思いました。俺と折坂さんは同世代で、きっとキャリアの年数も一緒くらいだと思います。だからこそ、折坂さんの歩む人生と音楽の変化に思いを馳せてしまうというか。

小袋成彬『分離派の夏』(2018年)収録曲

折坂悠太『平成』(2018年)収録曲

『呪文』には常に家族がそばにいる感じがあっていいですよね。きっとお子さんもいらっしゃるはずだから、「子供を守る」って言葉が自然と出てくる。流れていく季節に対する視点が一人ではないのが面白いし、自分にはない視点だなと思います。「こういう曲が書けたらな」って思いますよ。

プロデューサー的な視点で言うと、「サックス一本で優しく吹くの、わかってんなー」って思いましたね。ビバップみたいな吹き方じゃなくて、ちゃんと折坂さんの楽曲を下支えするようなサックスの使い方ですよね。「俺もサックス使いたいな」って思いました(笑)。

折坂悠太『呪文』(2024年)収録曲

DJ的な視点だと、“Never(努努)”と“Calmly(凪)”をかけたいですね。リーズにあるCosmic Slopっていうオリジナルサウンドシステムのベニューで今度DJするんですけど、そこは特に音楽が好きな人が踊りに来るナイトクラブなので、この2曲をかけたいなって思いました。

歌詞の語感がユニバーサルですよね。友達と踊りながら一緒に口ずさみたくなるというか。日本語がわからなくても「努努」って言いたくなるし。

折坂悠太『呪文』収録曲

折坂悠太『呪文』収録曲

“People(人人)”もイギリスの人は好きそうだなって思いました。「栄養」「健康」「結構」「正常」って言葉の使い方がいいですよね。特に俺が属しているレコード好きの界隈には絶対刺さるなって思いました。

折坂さんの音楽って「山」感があるというか、日本の独特の風景が思い浮かぶんですよね。気温、湿度、山から吹きおろす風、そこにいる人々、全てが俺の中の日本の風景と重なる。日本で生きて暮らしていないと出てこない音楽だし、だからこそピュアだなと思います。

折坂悠太『呪文』収録曲

家族、生活の風景、戦争……小袋成彬が感じた「マクロモードで日常を切り取っていく愛」

たぶん折坂さんにとって、この2年ぐらいで起きた世界のことが今回のアルバムに関わっていると思うんです。戦争をはじめ世界で凄惨なことが起きている中で自分のやるべきことは、彼にとっては目の前の人を守るとか、家族を大切にする、ひいては全ての子供を守るってことなんだろうなと感じました。愛が連鎖する世界、そこから始めていく平和への意思が感じ取れて。それは彼なりのもがきでもあるのかなって。

今までの折坂さんの音楽って、「遠景」が多かった気がするんですよ。もちろんそうじゃないのもありますけど、「坂道」のように風景を写真で切り取ったような音楽。でも、今回はマクロモードのフィルム写真って感じですよね。たとえば「鍋」とか「カエル」とか、「手紙」とか「レシート」とか、遠景ではなくマクロモードで日常を切り取っていくところに、愛をめちゃめちゃ感じて。

それって家族がいるからこその視点というか。そういう小さな生命に視点が向く感覚を、アルバム全体のトーンで感じました。それはきっと彼なりの成長だろうし、戦争や家族も含めた彼を取り巻く世界に対するひとつの答えだったんだなって思いました。これは同じアーティストとして気づいたことですね。

https://www.youtube.com/watch?v=EgCJ_7KjqHw
折坂悠太“正気”のライブビデオ

折坂さんにはアーティストとしてめっちゃ刺激を受けますし、すごくかっこいいですよね。彼の言葉の使い方は、とても刺激的ですよ。お互いに別の道を歩いているからこそ、自分の進むべき道が再確認できるというか。俺も最近新しい曲を制作してるんですが、アプローチは全然違えど、究極的に歌いたいのは愛、みたいなところは一緒だと思います。

折坂悠太『呪文』アートワーク写真(各社音楽サービスで聴く) / NiEWに掲載したインタビューはこちらより(記事を開く

折坂悠太『呪⽂』

2024年6⽉26⽇(水)発売
発売元:ORISAKAYUTA
折坂悠太『呪⽂』特設サイト
orisakayuta.jp/jumon

●初回限定盤(2CD)
品番:ORSK-020
価格:¥4,400 (税抜価格 ¥4,000)
アルバム CD+インストバージョン CD
●通常盤(CD のみ)
品番:ORSK-021
価格:定価¥3,300 (税抜価格 ¥3,000)

■収録曲(初回・通常共通)
1. スペル
2. 夜⾹⽊
3. ⼈⼈
4. 凪
5. 信濃路
6. 努努
7. 正気
8. 無⾔
9. ハチス

https://orcd.co/orsk-jumon

折坂悠太『呪⽂ツアー』

2024年9⽉18⽇(⽔)宮城公演
open 18:00 | start 19:00
会場:⽇⽴システムズホール仙台 シアターホール
券種:全席指定 / 前売:¥6,500
お問い合わせ:GIP ( www.gip-web.co.jp / 0570-01-999 )

2024年9⽉20⽇(⾦)北海道公演
open 18:00 | start 19:00
会場:共済ホール
券種:全席指定 / 前売:¥6,500
お問い合わせ:WESS ( wess.jp / info@wess.co.jp )

2024年9⽉22⽇(⽇)⼤阪公演
open 17:00 | start 18:00
会場:サンケイホールブリーゼ
券種:全席指定 / 前売:¥6,500
お問い合わせ:SMASH WEST ( www.smash-jpn.com / 06-6535-5569 )

2024年9⽉23⽇(月)岡⼭公演
open 17:00 | start 18:00
会場:おかやま未来ホール
券種:全席指定 / 前売:¥6,500
お問い合わせ:YUMEBANCHI ( www.yumebanchi.jp / 086-231-3531 )

2024年10⽉6⽇(日)福岡公演(ソールドアウト)
open 17:00 | start 18:00
会場:電気ビルみらいホール
券種:全席指定 / 前売:¥6,500
お問い合わせ:BEA ( www.bea-net.com / 092-712-4221 )

2024年10⽉7⽇(月)愛知公演
open 18:00 | start 19:00
会場:名古屋市⻘少年⽂化センター アートピアホール
券種:全席指定 / 前売:¥6,500
お問い合わせ:JAILHOUSE ( www.jailhouse.jp / 052-936-6041 )

2024年10⽉9⽇(水)京都公演
open 18:00 | start 19:00
会場:ロームシアター京都 サウスホール
券種:全席指定 / 前売:¥6,500
お問い合わせ:キョードーインフォメーション ( kyodo-osaka.co.jp / 0570-200-888 )

2024年10⽉17⽇(木)東京公演
open 17:30 | start 18:30
会場:LINE CUBE SHIBUYA
券種:全席指定 / 前売:¥6,500
お問い合わせ:
SMASH ( www.smash-jpn.com / 03-3444-6751 )
HOT STUFF PROMOTION ( www.red-hot.ne.jp / 050-5211-6077 )

2024年10⽉18⽇(金)東京公演(ソールドアウト)
open 17:30 | start 18:30
会場:LINE CUBE SHIBUYA
券種:全席指定 / 前売:¥6,500
お問い合わせ:
SMASH ( www.smash-jpn.com / 03-3444-6751 )
HOT STUFF PROMOTION ( www.red-hot.ne.jp / 050-5211-6077 )
総合お問い合わせ先:SMASH ( smash-jpn.com /03-3444-6751 )

企画/制作:AMUSE / SMASH

■チケット詳細
⼀般発売:6⽉29⽇(土)10:00〜
ぴあ:w.pia.jp/t/orisakayuta-band24/
ローチケ:l-tike.com/orisakayuta/
イープラス :eplus.jp/orisakayuta/
・お⼀⼈様4枚まで
・紙、電⼦チケット併⽤ ※チケットぴあはセブン発券/紙チケットのみ(電⼦なし)
・⼩学⽣以上チケット必要、未就学児は席が必要な場合は要チケット

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