音楽フェスやライブの帰り道、鳴り止まない耳鳴りや、どこか音がこもったような感覚に悩まされた経験はないだろうか。オーディオテクニカが音楽イベントの楽しみ方に関する調査結果を発表した。
同調査によると、直近1年以内にライブに参加した人の約7割が、「ライブ終了後の耳鳴りや聞こえにくさなどの異変」を感じているという。その一方で、耳を守るために耳栓を使用することをためらう理由のトップには、「ライブの音を全部聴き逃したくないから」という声が挙がっていた。
「せっかくの生演奏を余すことなく味わいたい」という心理は真っ当なもの。しかし、一般的なライブ会場で大音量に晒された人間の耳は、自己防衛のために感度を下げてしまう。その結果、実はシンバルの繊細な残響やボーカルの微細な息遣いなど、アンサンブルの最も美味しい詳細な部分は過剰な音圧に掻き消され、すでに「聴き逃している」状態に陥ってしまっているのだ。

「音量を適切にコントロールし、すべての音をクリアに届けるのはPA(音響エンジニア)の仕事だろう」という反論があるかもしれない。確かにPAは、会場全体の最適なミックスを作るプロフェッショナルだ。リハーサルの段階では、彼らもフロアの様々な場所で音の鳴りを確かめることはできるものの、本番が始まってしまえばPA卓からはあまり離れることができない。つまり、ライブ中に彼らが基準にできるのは、あくまで「PA卓周辺での理想的な音」となるだろう。
さらに、スピーカーから放たれた音は、現場の物理的な障害物によって劇的に変化していく。例えば、観客の体や衣類は特定の帯域の音を吸音し、逆に耳に痛い帯域だけが突き刺さってくるような現象も引き起こす。また、立ち位置によっては音同士がぶつかって打ち消し合いが起きたり、壁の反射で不自然な低音の膨らみが発生したりもする。
つまり、PAがどれほど完璧な状態を作ろうとも、ライブ会場において、「今立っているその数十センチの空間」の音響環境までを制御することは、物理的に不可能と言っていい。

このコントロール不可能なフロアのノイズから、いかにして音楽の解像度を守るのか。そこで、急速にスタンダードになりつつあるのが、「ライブ用イヤープラグ」という存在。これは、音を完全に遮断するスポンジ製の「耳栓」とは根本的に異なる。例えば、オーディオテクニカが発表した「AT-ERP5」のようなイヤープラグは、音質とのバランスを保ちながら、過剰な音圧や耳に痛い帯域だけを丁寧に削ぎ落とす「フィルター」として機能するよう設計されたアイテム。
この効果は、理論上のものだけではない。オーディオテクニカが、同調査に合わせてライブハウスのPAにイヤープラグの試用を依頼し、そこで実際に「ハイハットの細かいニュアンスがクリアに聴こえる」との評価が寄せられたという事実は、この「引き算」の有効性を何よりも証明する。過剰な音量というノイズを自らの耳元で削ぎ落とすことで、爆音の裏に隠れていたプレイヤーたちの細かなニュアンスが鮮明に浮かび上がる。

ライブ用イヤープラグがもたらす恩恵は、音楽の解像度の向上だけではない。人間の知覚は、耳に刺さるような高音域に晒されると、その不快感の処理に脳のリソースを奪われてしまう。イヤープラグによって鼓膜への負担を軽減し、聴覚的なストレスから解放することで、この知覚の偏りはリセットされる。その結果、これまで聴覚の飽和によって聴こえづらくなっていたキックドラムやベースによる空気の振動を、より純粋に体で感じることができるようになる。
一度失われた聴覚は決して戻らないもの。これからの時代のライブ体験とは、与えられた環境音をただ無防備に浴びるのではなく、自らの手で最適化し、アンサンブルとグルーヴによる心地よさを限界まで引き出して楽しむことだろう。
オーディオテクニカ イヤープラグ『AT-ERP5』

■ 音楽の感動をそのままに、耳にやさしい音量へ。ライブを全力で楽しむためのイヤーケア
オーディオテクニカ イヤープラグ『AT-ERP5』
2026年03月13日発売
『AT-ERP5』は、長年の音響設計ノウハウを活かし、単なる遮音ではなく音質とのバランスにこだわって設計されたライブやフェスなどの大音量環境に対応したイヤープラグ。2層のフィルタリングダンパーと、音楽リスニング用イヤピースにより、音質を保ちながら、適切な音量でライブサウンドを楽しめます。アクセサリー感覚で使える洗練されたデザインと、耳にしっかりフィットする形状で、激しい動きの中でも安定した装着感を実現。世界水準の聴覚保護具規格に準拠し、聴覚保護具として安心してご使用いただけます。