10月18日(金)に全国公開される映画『国境ナイトクルージング』(英題:The Breaking Ice)のメイキング映像と著名人からの推奨コメントが到着した。
第76回カンヌ国際映画祭の「ある視点部門」に出品され、第96回アカデミー賞の国際長編映画賞ではシンガポール代表となった同作。中国と朝鮮半島の国境にある町・延吉(えんきつ)を舞台に男女3人の若者が偶然出会い、冬の延吉をクルーズ(ぶらぶらと観光)することで起こる心の変化を追った青春映画となっている。監督は『イロイロ ぬくもりの記憶』で第66回カンヌ国際映画祭のカメラドールを受賞したシンガポール出身のアンソニー・チェン、プロデューサーは『MEMORIA メモリア』や『熱帯雨』のメン・シェが担った。
メイキング映像では、アンソニー・チェン監督が今までの自分の評価を踏まえながら「特別な作品だ」「今回は新たな挑戦」と作品について語る様子や、漢字とハングルが混在し、両国の文化が混じりあう延吉を舞台にした理由などを述べている。さらに、3人の若者を演じたリウ・ハオラン、チュー・チューシアオ、チョウ・ドンユイが、監督に対する評価や撮影の感想などを振り返っている場面や、笑顔でふざけあう撮影風景も収められている。


推奨コメントを寄せたのは、映画監督の是枝裕和、小説家の山内マリコ、ミュージシャンの砂原良徳と高野寛、モデルの小谷実由、ライターの門間雄介とISOの7名。ミュージシャンの2人は音の使い方に対して言及するなど、それぞれの立場から称賛の言葉が贈られている。
『国境ナイトクルージング』コメント(順不同)
本当に大好きな作品。行き場のない3人の若者たちが、偶然の出会いによって徐々に変化してゆく——。その姿がとても印象に残る素敵な映画だ。
是枝裕和(映画監督)さびしさは互いを引き寄せ合う。寒さが人をもっと近づける。現代中国の若者が抱く虚しさがひりひりと伝わる。それは絶望的であるのと同時に、とても甘美だ。
山内マリコ(小説家)近年のドラマや映画などのコンテンツは台詞や効果音、音楽などの演出を用いて
そのシーンがどの様な意味を持つかをハッキリさせる傾向にあるが、本作にはその様な過剰な演出はない。
音楽や効果音の使用も最低限にとどめられていて鑑賞者各々の解釈を尊重している点で非常に好感が持てる。
改めて時間を用いる音楽や映像などの表現において「間」の大切さを再確認することが出来た。
砂原良徳(ミュージシャン)極彩色のネオンと氷を噛み砕く音。
水墨画のような山並みと白い息。
アイスキューブのようなシンセサイザーの音の粒。
涙。
すべてが絡み合って、
美しく儚い心の移ろいを描き出した。
高野寛(ミュージシャン)氷を噛み砕くように全てがどうでもいいと思う気持ちの内側には、本当はひとりはイヤで、前に進みたいという気持ちが沈み込んでいる。
なんでもないような時間がそんな凍った気持ちを溶かしてくれることもある。
小谷実由(モデル)チョウ・ドンユイの儚げな表情は、心の底に燻るものを雄弁に伝える。
夢や理想に破れた者たちの、それでも失われていない何かを燃やすような、刹那の青春劇。
胸を強く打たれた。
門間雄介(ライター、編集者)迷路で彷徨い疲れた若者たちが、凍てついた世界で暖をとるよう優しく撫であう。
偶発的で、刹那的な出逢いが道を示すことだってあるのだから、そう簡単に人生は諦められない。
ISO(ライター)
『国境ナイトクルージング』

監督・脚本:アンソニー・チェン
出演:チョウ・ドンユイ(『少年の君』)、リウ・ハオラン、チュー・チューシアオ
2023年/中国・シンガポール/中国語・一部韓国語/100分/1:2.00/5.1ch
原題:燃冬/英題:The Breaking Ice/日本語字幕:本多由枝/PG12/提供:ニューセレクト/配給:アルバトロス・フィルム
Ⓒ 2023 CANOPY PICTURES & HUACE PICTURES
公式サイト:kokkyou-night.com 公式X: @kokkyounight
10月18日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開