国連教育科学文化機関(ユネスコ)本部で創設された『ベルサイユ賞(Prix Versailles)』の「世界で最も美しい美術館(The World’s Most Beautiful Museums)」リストが6月13日(木)に発表され、広島県大竹市の下瀬美術館が選出された。
『ベルサイユ賞』は、2015年の創設以来、世界中の空港、商業施設、ホテル、スポーツ施設など7つのカテゴリーを対象に、著名な建築家や哲学者らの審査によって選出される世界的建築賞。2024年度より8つ目となる「Museums」(美術館 / 博物館)のカテゴリーが新設され、下瀬美術館を含む世界の7施設がリストに選出されている。
下瀬美術館は、2023年3月に広島県大竹市にオープンした美術館で、「アートの中でアートを観る。」をコンセプトに、世界で活躍する日本人建築家・坂茂が設計。瀬戸内の島々から着想を得たカラフルなキューブ型の「可動展示室」は、水の浮力によって動かすことで配置パターンの変更が可能な世界でも類のない展示空間となっている。また、展示作品の鑑賞とともに、季節の草花が風にそよぐ「エミール・ガレの庭」や、瀬戸内の多島美を望める展望エリア「望洋テラス」も魅力となっている。
選出理由について、国際ベルサイユ賞機構は以下のようにコメントしている。
2002年、スイスのムルテンで開催されたExpo.02で、2008年にプリツカー賞を受賞した建築家ジャン・ヌーベルは、湖の表面に浮かんでいるように見える、重さ4000tもの仮設モノリスを初めて思いつきました。宇宙の旅です!ひとりの建築家が考え付いたものは、後にもうひとりの、2014年にプリツカー賞を受賞した坂茂によって拡大され、下瀬美術館で、カラーガラスの壁を持つ8つの可動式展示室の形で実現しました。この壁は反射するプールの水面上で、夜間にライトアップされます。この象徴的な風景は、瀬戸内海の物理的な風景を増幅し、瀬戸内の島々の美しさに敬意を表しています。この構造物は、美術館のコレクションの重要な部分を占めるフランス人芸術家兼デザイナー、エミール・ガレ(1846~1904)のモチーフとなった季節の植物や花の庭園と調和しています。コンセプトの壮大な野心にもかかわらず、訪問者は心地よい規模の天蓋で迎えられます。
国際ベルサイユ賞機構
11月下旬には、選出リストから最優秀のベルサイユ賞、内装特別賞、外装特別賞が選ばれ、パリのユネスコ本部で発表される。
2024年「世界で最も美しい美術館」リスト
・A4 Art Museum(中国)
・Grand Egyptian Museum(エジプト)
・Smritivan Earthquake Museum(インド)
・Simose Art Museum/下瀬美術館(日本)
・Paleis Het Loo(オランダ)
・Oman Across Ages Museum(オマーン)
・Polish History Museum(ポーランド)