佐藤二朗の書き下ろし新作戯曲『そのいのち』が、11月に東京、兵庫、宮城の3都市で上演されることが決定した。
中村佳穂の同名楽曲にインスパイアされて執筆した作品である『そのいのち』。2018年リリースの『AINOU』に収録されている”そのいのち”は、細田守が『竜とそばかすの姫』に中村を起用するきっかけとなった楽曲で、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文が「素晴らしい曲」と絶賛するなど、音楽関係者からも高い評価を受けている。
『そのいのち』は、佐藤にとっては2012年上演の『ハラナイ荘の人々』以来、12年振りとなる書き下ろし新作。介護ヘルパーとして働く山田里見、彼女の雇い主で障がいを持つ相馬花と動物ライターの夫・相馬和清の穏やかな関係と日々が「あること」をきっかけに徐々に狂い始めていく様子、「持つ者」と「持たざる者」の間にある埋めようのない「溝」を描いた作品となっている。山田里見役は宮沢りえ、相馬和清役は佐藤が務めることも明らかになった。宮沢と佐藤の共演は2018年公開の映画『ルイスと不思議の時計』吹替以来となり、舞台では初めての共演となる。演出を担うのは堤泰之。
情報公開に際し、宮沢と佐藤からのコメントも公開された。
宮沢りえ(山田里見役)
二朗さんから、脚本が届いた。あの佐藤二朗さんから生まれた作品!と驚きつつも、物語のページが進むたびに、登場する人間の抱えている言葉に出来ない、とてつもない感情が何層にも重なり、迎える結末に震えました。
二朗さん、他共演者の方達と、この作品に誠実に丁寧に向き合いたいと思っています。佐藤二朗(相馬和清役・脚本)
その歌を聴いたのが始まりだった。中村佳穂さんの「そのいのち」。この歌が流れる物語を書きたい。そう思った。暗い澱に閉じ込められたとしても、前を見上げる人間の讃歌になるような、そんな物語を書きたいと思った。その脚本に、宮沢りえという大きな存在が共鳴してくれた。「そそられます」。りえちゃんが脚本を読んだあと、最初に僕に言った言葉。同業者としても脚本を書いた人間としても最大級の褒め言葉だ。りえちゃんと丹念に、この物語を紡いでいこうと思う。
『そのいのち』は、11月9日(土)から17日(日)まで東京・三軒茶屋の世田谷パブリックシアターで上演される。以降、22日(金)から24日(日)まで兵庫・西宮の兵庫県立芸術文化センター阪急 中ホール、28日(木)に宮城・仙台の東京エレクトロンホール宮城で公演が続く形となっている。
【公演情報】
『そのいのち』
出演:宮沢りえ 佐藤二朗 他
脚本:佐藤二朗
演出:堤泰之
東京公演:2024年11月 9日(土)~17日(日)世田谷パブリックシアター
兵庫公演:2024年11月 22日(金)~24日(日)兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール
宮城公演:2024年11月 28日(木)東京エレクトロンホール宮城