1月19日(金)から2月19日(月)まで開催されるオンライン映画祭『マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル(MyFFF)』の配信作品ラインアップが発表された。
『MyFFF』は、毎年オンラインで30作品近くの日本未公開フランス映画を、複数の字幕付きで配信サイトから鑑賞できる世界同時開催の映画祭。第14回となる今回は26作品がラインアップされ、日本では長編9作品と短編14作品が配信される。60分以下の短編映画は無料で視聴可能となっており、長編映画は各配信サイトの規定によって料金が決定する。
長編作品には2023年の『東京アニメアワードフェスティバル』でグランプリなどを獲得したアニメ映画『イヌとイタリア人、お断り!』、2022年の『カンヌ国際映画祭』監督週間クロージング作品のクライムコメディ『緑の香水』、ヘンリー・ジェイムスの同名小説が原作の『ジャングルのけもの』などがラインアップ。短編作品には2023年に亡くなったソフィー・フィリエール監督の初期作品『女と犬』などが含まれている。
また、東京・新宿の東京日仏学院エスパス・イマージュでは、連動企画として『スクリーンで見よう!マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル2024」を実施。セレクションとして今回のラインアップから『緑色の香水』『スペアキー』『のら犬』『ジャングルのけもの』が上映されるほか、過去の同映画祭での人気作品『アヴァ』と『私たち』のアンコール上映、ソフィー・フィリエール監督の追悼として『20年後の私も美しい』『女と犬』が上映される。スケジュールは「アンスティチュ・フランセ」のサイトから確認できる。
第14回マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル 開催概要
期間 : 2024年1月19日~2月19日
配信作品(国内) 長編8作、短編14作(うち子供向けアニメーション4作)
ラインアップ解禁日時 : 2024年1月9日日本時間23時
料金:長編映画 – 有料 (料金は各配信サイトの規定による) /短編映画 (60分以下)- 無料
公式サイト:www.myfrenchfilmfestival.com
長編
『スペアキー』
Fifi / コメディ / 108分 / 2021/ フランス
監督 ジャンヌ・アスラン&ポール・サンティラン
主演 セレスト・ブリュンケル、カンタンドルメール
フランス東部の町、 ナンシー。低家賃住宅に暮らす15歳のフィフィことソフィーは、問題ばかりの家庭環境から逃げ出したいと思っている。夏の近づくある日、バカンスへと旅立つ旧友のジャドに出くわしたフィフィは、市内中心部にある彼女の広い家のスペアキーをこっそり拝借する。 彼女がジャド の部屋で自由にくつろいでいると、 ジャドの兄、 ステファンが突如戻ってくる。ステファンはソフィーを追い出すことなく、 避難所として自由に出入りすることを許す。 ソフィーの思いがけない夏が始まる。
ひと夏の間に人生と自由に目覚めていく少女の姿を描いた作品。主演のセレスト・ブリュンケルとカンタンドルメールの瑞々しい演技が記憶に残る。 ジャンヌ・アスラン監督とポール・サンティラン監督がコンビで送るユーモアと詩的感覚に裏付けられた長編デビュー作。
サン・セバスティアン国際映画祭新人監督賞受賞
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=utCLOliFKlsz
『のら犬』
Chien de la casse / ドラマ / 93分 / 2022 / フランス
監督 ジャン=バティスト・デュラ
主演 アントニー・バジョン、 ラファエル・ケナール
南フランスの小さな村。 幼なじみのドッグとミラレスは、一日の大半を路上をぶらついて過ごしている。 ドッグを攻撃的にからかい、見下すことを日々 の楽しみにしているミラレスだが、 エルザが村にやってきたことで二人の歪 んだ関係のバランスが崩れていく。 ドッグは恋に落ち、 ミラレスは嫉妬に苛まれる。距離をおくことで互いに成長し、 本当の自分を見つけられるのか…。
孤独と愛をテーマに社会問題を浮き彫りにし、 優しさとは、そして男らしさ とは何かを考えさせる作品。 アントニー・バジョンとラファエル・ケナール の卓越した演技に心を奪われること必至。
モントリオール・ヌーヴォー・シネマ映画祭国際パノラマ部門観客賞受賞
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=dCMcSQEXAY4
『イヌとイタリア人、お断り!』
Interdit aux chiens et aux italiens / アニメーション / 70分 / 2021 / フランス・イタリア・ベルギー・スイス・ポルトガル
監督 アラン・ウゲット
20世紀初頭、北イタリアのウゲッテーラ。 ファシズムの台頭により貧しい 生活を余儀なくされていたウゲット一家は、外国でのより良い生活を夢見ていた。一家の主ルイジは、愛する家族の運命を変えるために、 アルプスの山々を越えてフランスで新しい生活を始めた…。 孫である監督が時をさかのぼり、ルイジの人生と家族の歴史を振り返る。
イタリア移民である、 アラン・ウゲット監督の家族の歴史を、ユーモアを 織り交ぜて繊細に描いたストップモーション作品。 秀逸なストーリーに心が震える。
2023年東京アニメアワードフェスティバルグランプリ受賞
2022年ヨーロッパ映画賞 最優秀アニメーション作品賞受賞
2022年アヌシー国際アニメーション映画祭 審査員賞、 ガン財団配給賞受賞
『ジャングルのけもの』
La bête dans la jungle / ドラマ / 103分 / 2022 フランス、ベルギー、オーストリア
監督 パトリック・シハ
主演 アナイス・ドゥムースティエ、 トム・メルシエール、ベアトリス・ダル
25年間、謎の“出来事” を待ち受けて巨大なナイトクラブに出入りする一組の男女。1979年から2004年にかけて、 ディスコからテクノクラブへと変遷するにつれ変化する愛と執着のストーリー。 最終的にその “出来事”は形になるが、その姿は想像をはるかに超えた悲劇的なものであった。 原作はヘンリー・ジェイムズの同名小説。
ヘンリー・ジェイムズの同名小説を自由な解釈で映画化した、 クラブカルチャーへのオマージュ的作品。 夜に魅了され、 夜が包含する絶対的な何かを追い求める男女の姿が感覚に訴えかける。
第73回ベルリン国際映画祭パノラマ部門出品作
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=6AJsXlus6Hc
『緑の香水』
Le parfum vert / コメディ 101分 / 2021 / フランス、ベルギー
監督 ニコラ・パリゼール
出演 ヴァンサン・ラコスト、サンドリーヌ・キベルラン
コメディー・フランセーズの俳優が公演の真っ最中に毒殺される。現場を直接目撃した劇団員のマルタンは、警察にマークされるだけでなく、 殺人を指示したであろう謎の組織 「緑の香水」 から命を狙われてしまう。マルタンはバンドデシネのイラストレーター、 クレールの助けを借りて、2人で 「緑の香水」の計画を阻止しようとヨーロッパ中を駆け回り、謎の解明に乗り出す。
ニコラ・パリゼール監督最新作。 スパイ映画に演劇と漫画の要素を織り交ぜた多面的な作品で、ヨーロッパにおけるファシズムの台頭をも感じさせる。トーン、リズム、 演出の切れ味が心地よく、 ヴァンサン・ラコストと サンドリーヌ・キベルランのコンビから目が離せない。
2022年カンヌ国際映画祭監督週間クロージング作
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=e78wNtnZlOw
『楽園』
Le Paradis / コメディドラマ / 83分 / 2021 / ベルギー、 フランス
監督 ゼノ・グラトン
出演 ハリル・ベンガルビア ( 『苦い涙』)、 ジュリアン・ド =サン=ジャン、 アイ・アイダラ
もうじき少年院から出られそうな17歳のジョー。 判事が彼の出所を認めれば、晴れて自由の身となるのだが、そんな折、 ウィリアムという新入りに出会う。彼に惹かれる気持ちと、 自由を求める気持ちとの間でジョーの心は揺らぐ。 彼が本当に求めているのは何からの自由なのか…。
2人の青年の獄中恋愛を描いた、 ゼノ・グラトン監督長編デビュー作。 優しさを個人の自由と捉える本作は、 LGBTQ+作品の枠を超えた、より普遍的な作品に仕上がっている。
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=4HSLb8NVBul
『北極星』
Polaris / ドキュメンタリー / 78分 / 2022
フランス、グリーンランド
監督アニナラ・ヴェラ
人との交流とフランスでの過去の暮らしから距離をおき、北極海を航海している熟練の船長アヤット。 しかし、 妹のレイラが娘を出産したことを機に、姉妹の生活は一変する。 家族の負の歴史と決別するために新たな一歩を踏み出すふたりを北極星が導いていく。
正反対の姉妹の姿を感動的に描くと同時に、断固とした政治的視線から女性航海士の地位をも浮き彫りにする作品。 物理的にも、精神的にも、 隔たりの向こう側に辿り着いたとき、そこには何があるのか。
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=g0604XieSRQ
『ふたりだけのロデオ』
Rodéo/ ロードムービー / 180分 / 2022 / カナダ(カナダ招待作品)
監督 ジョエル・デジャルダン=パケット
主演 マキシム・ル・フラゲ、 リルー・ロワ=ラヌエット
ひと悶着の末、妻と別れたセルジュJr.は、 9歳の娘リリーをトラックの助手席に乗せ、娘と二人で夢見ていた伝説のトラックレース大会「(ロデオ)が 開かれるカナダ西部の町を目指し、大陸横断の旅に出る。道中、次第に不安の色を濃くする娘の視線を受けながら、 セルジュは自分の行動の責任を痛感することになる。 父と娘の関係の謎に迫る、 辛く詩的なロードムービー。
トラックレースの大会であるロデオという、ジョエル・デジャルダン=パケッ ト監督の幼少期の思い出を軸に、 カナダを横断するロードムービー。 愛情と責任の間で揺らぎ続ける父と娘の関係が繊細に描かれている。
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=dqDLzoPA841
『ジャヌスとサムの酔っ払い道中』
Super bourrés / コメディ / 79分 / 2023 / フランス
監督 バスティアン・ミルー
主演ピエール・ゴメ、 ニナ・ポレット
高校生活最後の日。 卒業パーティにお酒を持っていくことになったジャヌスとサムは、お酒が原因で死んだジャヌスの父親の地下室を物色し目ぼしいボトルを探す。すると、そこに奇妙な装置を見つけて…。
フランスの田舎町を舞台に、 大人へと成長する幼なじみ間のズレを巧みに描いた、ユーモラスで温かい青春コメディ。
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=RSIKwhDbRZO
『裸のマノン』
A mon seul déir / ドラマ / 119分 / 2022 / フランス
『アニエス・Vによるジェーン・b』
Jane bar agnes v. / ドラマ / 81 分 / 1987 / フランス
以上2作は日本国内での配信なし
短編
『私に触れた手』
Cålinel /アニメーション / 15分 / 2022 / フランス、 ベルギー
監督: マルゴ・ルーモン
大人になったコリーヌが実家の子供部屋で昔の品々を片付けているうちに封印していた記憶の蓋が開き…
「近親相姦」という難しいテーマに、丁寧かつ慎みをもって正面から挑んだアプローチしたアニメーション。 R-10指定
『ジャンヌと七面鳥』
Jeanne Dinde / ファンタジー / 23分 / 2022 / フランス
監督: ポーリーヌ・ウヴラール
ジャンヌは13歳。 庭で飼っている唯一の友達である七面鳥は、彼女に大人になることは裏切りだと繰り返す。しかしジャンヌは同級生のロレーヌに憧れ、 心が乱れる。 七面鳥はそんな彼女を引きとめようとあらゆる手を使う。
架空の友達である七面鳥を通して、 内向的な少女が抱える不安を浮き彫りにしていく。
『新凱旋門』
La Grande arche / アニメーション / 11分 / 2022 / フランス
監督: カミーユ・オートゥアール
70近い壮大なパブリックアート作品に出会えるパリのラ・デファンス地区は、さながらヨーロッパ最大の野外美術館。 巨大な「赤い蜘蛛」 の足元に座ると、なぜ今まで気づかなかったのか不思議に思えてくる。
祖母が住んだラ・デファンスを見つめる監督と、点在する彫刻、ホームレスの男との間に詩的な交流が生まれる。視覚と感情に訴える刺激的な作品。
『女と犬』
Des filles et des chiens / ドラマ / 6分 / 1991 / フランス
監督: ソフィー・フィリエール
路上でお気に入りのゲームに興じる2人の少女。 「どっちがいい?こっちか、 それとも…?」
1990年代初頭に台頭した新世代の映画監督を象徴するような作品。ユーモラスで独創性に溢れ、 内面的でポエ ティックと、ソフィー・フィリエール監督のその後のスタイルを予感させる。 女優サンドリーヌ・キベルランの 初期出演作のひとつ。
『戦いとは終わりである』
La Lute est une fin / ドキュメンタリー / 27分 / 2022 / フランス
監督: アルチュール・トマ=パヴロウスキー
6月26日、マルセイユ。 労働組合会館で観衆の声援を受け、「マッシリア・ボクシング団体」所属のボクサーたちがリングに上がる。
ジェンダー規範、 固定観念、 差別がはびこる社会から自己を護り、打ち勝ち、 自由を得るためにボクシングに打ち込 む集団を描いたドキュメンタリー。
『フェアプレー』
Fairplay / 社会ドラマ / 17分 / 2022 / フランス、スイス
監督: ゾエル・エシュバッハー
承認欲求を募らせる少年、ひと山当てることに必死な労働者、キャリア終盤で、 まだ現役だと自分に言い聞かせる上級管理職。競争社会から振り落とされそうな3人の生きざまを描く。
パフォーマンス至上主義への痛烈な批判を込めた短編作品。 三者三様に意地汚い姿を描き、 とにかく成功を追い続ける現代社会の在り方に一石を投じている。
『カナダでの暮らし』
Les Grandes vacances / 旅、 出会い / 25分 / 2022 / フランス
監督: フレデリック・ロセ
週末、サラは同性婚パートナーの10歳の娘エルミオーヌを連れて、父親の誕生日のお祝いに行く。 しかし少女の母親であるパートナーの不在が、 周囲の疑問を招いて……
別離を控えた血の繋がりのない親子関係が赤裸々になっていく。 模範的な性のあり方に翻弄される家族の姿が温かい目線で描かれている。
『夏休み』
Les Grandes vacances / 旅、 出会い / 25分 / 2022 / フランス
監督:ヴァランティーヌ・キャディック
孤独を求めるブランディーヌは、山の麓の小さなキャンプ場でひと夏を過ごすことに。 しかし、喧噪、人ごみ、雨から逃れられない。そんなとき、湖畔で新米ジャーナリスト のエリオと出会う。
ブランディーヌ・マデック演じるヒロインは失敗するたびに、さらに強くなる。 陽気で優しいコメディ。
『スピード』
Rapid / コメディー / 24分 / 2022 / フランス
監督:ポール・リグー
何につけても「スロウ」なジャン。 不安症で、 自分は社会生活に向いていないと考えている。 一方、 同居人のアレックスは「スピーディ」 なタイプで、とにかく生活の ペースが速く、空気力学とユーロダンスを信奉している。 ある日、アレックスが「スピーディ」な友人ルーを家に 招いたところ、ジャンが 「スロウ」な友人キャロリーヌを連れてきて……
もはや現代病とも言うべき「スピード至上主義」を、 ユーモアと不安を織り交ぜて描いた痛快コメディ。
『オアシス』
Oasis / 青春 / 15分/ 2022 / カナダ(カナダ招待作品)
監督: ジュスティーヌ・マルタン
思春期の双子ラファエルとレミ。一人は障害を抱え大人への階段をなかなか登ることができない。
大自然の中、 社会の目から逃れて2人でいる時だけは人との違いを忘れられる双子の姿を切なくも美しく写したド キュメンタリー短編。 カメラの前で本音をみせる純粋な少年たちの姿に胸が詰まる。
『Charbon』
社会ドラマ、 20分
監督: ダビッド・アルスラニアン
日本国内での配信なし
セリフのないお子様向けのラインアップ
『ダンスの中に』
Deux amis / アニメーション / 4分 / 2014 / フランス
監督:エカテリーナ・ミケヴァ
ダンス、友情、グループ、ビートボックス、 ムーヴメント、ヒップ ホップ、フリースタイル、 サイファー。 さまざまなダンスが登場!
『2匹は友だち』
Deux amis / アニメーション / 4分 / 2014 / フランス
監督: ナタリア・シェルニシェヴァ
イモムシとオタマジャクシ。 育った環境は異なるけれど2匹は友だち。
『ふたりは姉妹』
Entre deux soeurs / アニメーション / 7分/ 2022 / フランス
監督:アンヌ=ソフィー・グーセほか
姉妹とは、深い絆を分かち合い、 笑いを分かち合うもの。 姉妹とは、 愛に突き動かされるもの。 ただ、この姉妹は少し様子が違うよう ……そんな関係もアリだ。
『アトミック・チキン』
Atomic Chicken / アニメーション / 7分 /2023 / フランス
監督: ティボー・エルムヌーほか
原子力発電所のふもとに設置された鶏小屋。 次から次へとドタバタ、 はちゃめちゃ、上へ下への大騒ぎ。
スクリーンで見よう!マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル2024
日程 2024年1月25日(木)~1月28日(日)
会場 東京日仏学院エスパス・イマージュ
料金 一律:1,100円(全席自由席・整理券番号順)
*チケットはPeatixにて1/17(水)12:00より発売(上映当日、窓口での発売はございませんのでご注意下さい)
上映作品
・緑色の香水
・スペアキー
・のら犬
・ジャングルのけもの
・アヴァ
・私たち
・20年後の私も美しい
・女と犬