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原作から男女を逆転させた理由
─お二人とも情報解禁時のコメントで「この作品が映像化されるのに10年かかったのは、見上さんと佐藤さんに会うためだった」とおっしゃっていましたよね。お二人をしてそう感じさせた見上さんと佐藤さんは、この映画の中でどんな魅力を放っているでしょうか?
松居:マンガではもともと「じゅん」が「りの」を追いかけて、「りの」が消える設定で。この二人を誰が演じるのか、結局10年近くひらめかないまんまだったんです。
高木:そうだったんだ!

松居:「じゅん」にあった役者が思いつかなく、難しくって。イメージキャストすら、うまく浮かびませんでした。制作サイドから「じゃあ『りの』から考えましょう」と促されてオーディションした時に、見上さんが来てくださったんです。で、「りの」として消える見上さんのお芝居を見た時に……人知を超えた存在に思えたんですよね。何をしてくるかわからない。目が離せない。それこそ『不死身ラヴァーズ』を最初に読んで思い浮かんだ、ずっとワクワクしているのに理由がわからない感覚。
高木:「りの」が目の前に現れましたね。
松居:うん。で、ぜひお願いすることにしました。しかも見上さんが軸になれば「じゅん」のアイディアが広がる期待もあって。そこで「マンガの設定から男女を入れ替えたい」と思い立ってしまって。
高木:消える想定の「りの」で見上さんを選んだのに、男女逆転させちゃう発想がおもしろいね。
松居:存在感の強い「りの」に対して、消えてしまう儚い「じゅん」は佐藤寛太にお願いしようと思いました。

高木:佐藤さんはどういう経緯で浮かび上がってきたんですか?
松居:ちょうどその前の年末に、僕のInstagramにDMがきたんですよ。「すごい好きだよ」って気持ちを、3スクロールくらいしないと読めない長文でしたためてくれて。
高木:そうだったんだ! オモロ(笑)。
松居:で、パッと浮かんだんですよね。DMでグイグイ来る落ち着きのない佐藤さんが、消えてしまう儚い「じゅん」って……ギャップあっておもしろいかも、って。
高木:意外性に賭けたんですね。めっちゃおもしろかった!