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窪田正孝、小林虎之介ら俳優陣の筆舌し難い魅力

まず、教師・藤竹の佇まいがいい。生徒たちの思いを柔らかく肯定しながら、さりげなく生徒同士が繋がりを持てるようにアシストしたり、自発的な気づきを促したりする。第3話で佳純が保健室の来室ノートに書いた自身の記録に対する藤竹のささやかな返信を読んで「yes.」と返した次の日に、さらなる返信を期待して小走りで保健室に向かう佳純の姿は、それだけで藤竹が佳純の「ハブ(重装備がなくても息ができる場所)」になったことを示していた。
藤竹を演じる窪田正孝は、今年だけでも映画『Cloud クラウド』の村岡役で存在そのものの不穏さを、『ラストマイル』の久部六郎役で変わらぬ姿と成長ぶりをと、実に多様な役柄を演じ分けている。本作の藤竹役もまた、第1話で学校に乗り込んできた岳人の友人たちと対峙した後、「ちゃんと先生でしたよ」と教師仲間の木内泉水(田中哲司)や佐久間理央(木村文乃)に言われた時に少し照れた顔をして去っていく背中の言いようもない素敵さなど、見事なハマり役である。また、岳人を演じる小林虎之介の、好きなものに対するキラキラとした眼差しの美しさや、第4話における長嶺省造を演じるイッセー尾形の圧巻の語りなど、俳優陣の好演もまた、筆舌し難いものがある。