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「パーソナル・イズ・ポリティカル」の本質

第1話、第2話で描かれた神崎の報道姿勢、第3話、第4話で描かれた東雲温(上坂樹里)の父親の自主退職と教科書検定の関係、第5話での冬木竜一郎(山下幸輝)の父親の仕事とリーマンショックの関係。さまざまなエピソードを通じて、「パーソナル・イズ・ポリティカル」の本質を浮き彫りにしている。
自分が置かれている苦境や生きづらさを個人的なことだと捉えると、「努力が足りなかったから」「そういう環境だから」などと自己責任の枠に収められ、ごく狭い範囲での犯人探しが始まってしまう。実際に、神崎や東雲、冬木は、自分が置かれた状況について、当初は御上に対しても怒りを向けていた。しかし、御上はそんな彼らに「考えて」と言い続け、思考と行動を促す。
個人が抱える問題の背後には、政治的な課題や社会の不均衡が潜んでいる。それを知るためにも、考えなければならない。御上は、視野が狭くなりがちな生徒たちを導いていく。個人の問題の裏には、どんな社会問題が潜んでいるのか。自分の行動は、どこへつながっていくのか。この国で生きている以上、どんな立場であろうと考え続けなければならないのだ。