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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

荒川ナッシュ医の個展をレポート 国立新美術館が「変なこと」に巻き込まれる貴重な機会

2024.11.12

#ART

セクション6〜9からも、少しだけ

オスカー・ムリーリョ『東京の人々へのテレグラム』

「絵画と教育」のセクションでは、再び自由に描いていいコーナーが。コロンビア出身のアーティスト、オスカー・ムリーリョの『東京の人々へのテレグラム』である。木の机に貼られているのは、コロンビアの子どもたちが自由に描いたキャンバスに、アーティストが絵を描き足したもの。本展でさらに来場者が思い思いに絵やメッセージを描き足し、「手紙のように送り返す」という、来場者参加型のプロジェクトである。

河原温の1964年のドローイング

日系移民のアーティストらに焦点を当てた「絵画とパスポート」のセクションも、桂ゆき、ルイス・ニシザワなど気になる作品が多く見応えがある。写真は新生児を描いた河原温のドローイングだ。河原温はニューヨークを拠点に活動したアーティストで、コンセプチュアル・アートの第一人者として知られる。小型のキャンバスに制作日の日付のみが描かれた『日付絵画』シリーズを美術館で見かけたことのある人も多いのではないだろうか。日本初公開となるこのドローイングでは、大きく口を開けて笑う(泣く?)かわいくてちょっとグロテスクな新生児が描かれている。

会場風景

セクション9「絵画とバレエ」では、哲学者の千葉雅也が書き下ろした散文詩のような戯曲を、声優の村瀬歩が一人4役で演じた音声が流れる、シュールな空間も。会場が賑やかなためすべての言葉を拾いきれなかったのが悔しいが、絵画が突然喋り出すような感覚は興味深かった。

最後に、ちょっと見落としてしまいそうな場所で上映されている、ブルース・コナーの1967年の映像作品『白いバラ』が、非常にエモーショナルで示唆に富んだものだったことをお伝えしておきたい。高さ3.2m、重さ1トンという超大型の絵画をアーティストのアトリエから美術館へ搬出する様子を撮ったドキュメンタリーフィルムなのだが、作品を運搬しようと画策する屈強な男たちの姿は『おおきなかぶ』のようでふしぎに可笑しく、引き離される作家と作品の姿はラブストーリーのように切なかった。必見である。

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