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2024年下半期を話題の映画で振り返る。『シビル・ウォー』から『陪審員2番』まで

2025.1.23

#MOVIE

時代を予期せず映したドラマシリーズ

―ドラマシリーズでも話題作は多かったかと思いますが、いかがですか?

長内:脚本家組合のストライキの影響なのか、『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』や『一流シェフのファミリーレストラン(原題:ザ・ベア)』、『Pachinko パチンコ』など人気シリーズの最新シーズンは質が低下したと感じました。その反面、単発のリミテッドシリーズでは優れた作品が生まれていました。『ディスクレーマー 夏の沈黙』(Apple TV+で配信)と『THE PENGUIN-ザ・ペンギン-』(U-NEXTで配信)は映画を併せても今年の重要な作品だと思っています。驚きだったのは、その2作が11月の大統領選挙とほぼ同時期に最終回を迎えたこと。作り手たちの意図を超えて、時代を象徴する作品になってしまいました。

「上の連中はもう自分たちのことは目に入っていないんだ、だから力を合わせて打ち負かそう」という趣旨のペンギンの言葉は、マフィアたちを団結させていく。それがトランプ支持者の喜びそうなシーンだと思っていたら、翌週にトランプが大統領選で勝ってしまった。そんな『THE PENGUIN』の最終回が終わった直後、シリーズの公式アカウントを見たら、バットマンのバットシグナルが光るラストシーンの画像がアップされて「これはコールサインではない、警告である」と書かれている。トランプ的なものに支配されたゴッサム・シティへの警告になっているんだと思って、リアルとドラマ世界のリンクした空気を感じました。

『THE PENGUINーザ・ペンギンー』予告編

長内:『ディスクレーマー』も似たところがあり、「自分の信じたい物語を信じてしまう人たち」の話で、それはアメリカ大統領選にも、兵庫県の知事選挙にも繋がるところがあると感じました。

木津:自分も下半期は『ディスクレーマー』がおもしろかったですね。ただ前半は性を解放する女性の欲望に対して厳しすぎると思っていたんです。でもちゃんとそれはひっくり返すし、そこに至るまでに時間をかけるのがうまいなと思いました。

ただ『ディスクレイマー』も『THE PENGUIN』もずるいと言えば、ずるいですよね。あまりに豪華なキャスト、スタッフが集まっているな、と……。だからこそ、僕は『一流シェフのファミリーレストラン』のインディーズ感を推したい。もちろんベストシーズンではないけれど、擁護したい気持ちがありますね。

『ディスクレーマー 夏の沈黙』予告編

長内:たしかに豪華な布陣による隙のない仕上がりの作品は、気楽に見られないので人に勧めづらいですね。そういう意味では『窓際のスパイ』を推したい! 1シーズン6エピソードしかないのでサクサク見られるし、昔から『24 -TWENTY FOUR』とか『プリズン・ブレイク』とかを見ていた人におすすめを聞かれたら、これを勧めます。

木津:気楽に見られる作品だと、僕はApple TV+の『シュリンキング:悩めるセラピスト』をおすすめしたいです。『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』(2020年)以降、「ナイスコア」と呼ばれる、人の良さを信じるような、ほっこりした作品が注目されていて、その流れにあるシリーズとしてもっと認知されてほしいです。

『窓際のスパイ』予告編

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