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2024年下半期を話題の映画で振り返る。『シビル・ウォー』から『陪審員2番』まで

2025.1.23

#MOVIE

米大統領選直前に公開された『シビル・ウォー』

―下半期の注目作として『シビル・ウォー』(アレックス・ガーランド監督)もありました。

木津:僕は未だになぜ本作が日本でヒットしたのか掴みかねているんです。もちろん宣伝が今回かなりがんばっていた点と、大統領選のタイミングもあったと思います。ただアメリカの政治や社会状況をよく描けているとは思わなかった。僕はアメリカ政治の具体的な話が好きなので、個人的に物足りなさはありました。

アメリカ映画が国外で多く撮ってきた「臨場感のある」戦争映画をイギリス人であるアレックス・ガーランドがアメリカ国内に返してやるぞという、かなり意地悪な映画で、アメリカに対する批判と解釈したんです。日本では、現在のアメリカ社会に対する風刺として受け入れられたんでしょうか?

A24『シビル・ウォー』レビュー 劇場で「体験」する戦争の圧倒的な恐怖を読む / ©2023 Miller Avenue Rights LLC; IPR.VC Fund II KY. All Rights Reserved.

長内:どうなんでしょう。観に行った人の感想を読むと「思っていた映画と違った」みたいな反応をしている人も多く見受けられましたね。センセーショナルなテーマや、長い時間をかけた宣伝にプラスして、日本では時事性がピッタリと合ったんでしょうね。

木津:優れた人間ドラマとしての「アメリカ映画」は話題になりづらいけど、社会的なトピックとしての「アメリカ」なら、人の耳目を集める傾向にあるんですかね。

長内:トランプが大統領に再選することに対して日本人のあいだでも注目度は高かったので、選挙結果も含めて話題になったという気がます。

木津:ただし『シビル・ウォー』は民主党、共和党のどちら側かに立っている映画ではなかったですね。ラストの展開も含め、極めてアレックス・ガーランドらしい喩え話の側面が強いと感じます。

長内:初見のとき、僕もどっちがどっち側なのかわからなかった。アレックス・ガーランドのインタビューを読むと明確に「トランプ再選阻止のため」と言っているんだけど、いつ誰が観てもいいような多義性がある。「大統領選挙が終わったらこの映画の賞味期限も切れてしまうのかな」と思ったけれど、Amazonプライムで配信されたタイミングで見直したら、そのタイミングで韓国では尹錫悦大統領が非常戒厳を宣言したり、ルーマニア大統領選について憲法裁判所が無効判断をしたりする出来事があって、この作品のゾッとする感覚と重なりました。

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