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『オッペンハイマー』から『異人たち』まで。2024年上半期のおすすめ映画を振り返る

2024.7.10

#MOVIE

レトロスペクティブ人気を象徴した、ビクトル・エリセ作品

―木津さんは上半期にお好きだった作品はありますか?

木津:まず『瞳をとじて』(ビクトル・エリセ監督)です。「エリセ40年ぶりの劇長編」となったときに、若い世代がエリセを再発見している感じがポジティブなものとしてあったと思います。いわゆる「シネフィル文化」「ミニシアター文化」は日本で一度、衰退したものと語られがちですよね。でも古い作品を配信で手軽に見られる環境とクロスする中で、実は形を変えて続いていて、復活してきた印象を受けています。たとえばミニシアターでレトロスペクティブの上映が増えている傾向も面白いと思っていて、その象徴として『瞳をとじて』はあったかなと思います。

2024年上半期の5本(木津毅)

・『瞳をとじて』
・『落下の解剖学』
・『異人たち』
・『チャレンジャーズ』
・『悪は存在しない』

『瞳をとじて』予告編

長内:レトロスペクティブという話では、上半期に下高井戸シネマで『ウィメンズ・ムービー・ブレックファスト』(フィルムアート社)という書籍の販売に合わせた特集上映がありました。『天使の復讐』(アベル・フェラーラ監督 / 1981年)が夜の上映なのに、満席なんですよ。若い観客も多くて、一体どこで聞きつけてどういう映画だと思って来ているのだろうと不思議でしたね。そういう文化がいつのまにかできあがっていたんだなって感じます。

『ウィメンズ・ムービー・ブレックファスト』著・文・編:降矢聡、吉田夏生 / 発行:フィルムアート社

木津:一昨年、ウォン・カーウァイのレトロスペクティブが人気だと聞いたときに、「ついに自分の世代のリバイバルが来たか」という気持ちになりました。若い人も来ている話はよく耳にしたので、配信が一般化したことによって「古い映画もいいじゃん」みたいな感覚が、レンタルビデオの時代とは異なる形で若い世代の映画ファンにも共有されつつあるのかなと思います。

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