毎週火曜よる11時から放送中のテレビドラマ『あの子の子ども』(カンテレ・フジテレビ系)。
第47回講談社漫画賞・少女部門を受賞した蒼井まもるの同名漫画(講談社『別冊フレンドKC』刊)を原作とし、「高校生の妊娠」をテーマに、妊娠が発覚したことで日常が大きく変わってしまった高校2年生カップルの姿を描いている。主人公の川上福(かわかみさち)と月島宝(つきしまたから)を演じるのは、桜田ひよりと細田佳央太。
桜田ひよりは、『明日、ママがいない』(日本テレビ系)など子役時代の印象が強いだけでなく、『silent』(フジテレビ系)の目黒蓮が演じる佐倉想の妹・佐倉萌役、『あたりのキッチン!』(東海テレビ・フジテレビ系)の主人公・辺清美役などでしっかりと新しい世代の若者を体現し、映画『交換ウソ日記』(2023年)では第47回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。細田佳央太は、映画『町田くんの世界』(2019)から『子供はわかってあげない』(2021)などで、いつもその真っ直ぐな眼差しで大人たちを見据える「子ども」を演じ、大河ドラマ『どうする家康』(NHK)での松平信康役で再び注目を集めた後、映画『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』(2023年)、『七夕の国』(Disney+)で主演を果たすなど、共に人気・実力を兼ね備えた若手俳優の共演となっている。
脚本を手掛けたのは『舟を編む~私、辞書作ります~』『しずかちゃんとパパ』(NHK)、『ウソ婚』(カンテレ)などの蛭田直美。演出は『たそがれ優作』(BSテレ東)『往生際の意味を知れ!』(MBS系)などを演出してきた映画監督・アベラヒデノブがチーフを、他に山浦未陽、松浦健志が務め、音楽は『ひきこもり先生』(NHK)や映画『ルックバック』なども話題となったharuka nakamuraが務めるなど、脚本と演出と音楽が見事に噛み合った映像美も視聴者の好評を得ている。
そんなドラマ『あの子の子ども』について、ドラマ / 映画とジャンルを横断して執筆するライター・藤原奈緒がレビューする。
※本記事にはドラマの内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。
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10代の若者たちにこそ観てほしい青春ドラマ
ドラマ『あの子の子ども』が本日、最終回を迎える。桜田ひよりと細田佳央太が演じる、真っ直ぐに互いへの愛を貫きながら、お腹の子どもと向き合おうとする真面目な高校生・福と宝。避妊していたにも関わらず妊娠してしまうという予想外の現実を前に、16歳の2人が、アフターピル、妊娠検査薬、産婦人科受診、さらには中絶か出産か、そして、その先、自分たちで育てることができるのかを一生懸命調べ、考え、親や教師をはじめとする大人たちと対話しつつ、1つずつ行動に移していく。
『しずかちゃんとパパ』『舟を編む~私、辞書つくります~』(NHK)でも、豊富な取材を元に現実を的確に捉えた脚本が好評を得た脚本家の蛭田直美が丁寧に描く「高校生の妊娠」を巡る日々の物語は、リアルでありながら真摯で優しく、青春ドラマとしても優れていて、主人公たちと同じ10代の若者たちにこそ、より観てほしい作品になっている。そして、それだけに留まらない「新世代の青春ドラマ」とでも言うべき本作の魅力を、本稿では紐解いてみたい。