メインコンテンツまでスキップ
NEWS EVENT SPECIAL SERIES

連続テレビ小説『ブラッサム』レビュー 主人公・珠が体現する「自分を手放さない人生」

2026.11.6

#MOVIE

©NHK
©NHK

連続テレビ小説、通称「朝ドラ」の最新作『ブラッサム』(NHK)が放送中だ。

作家・宇野千代をモデルとした主人公・葉野珠を、『燕は戻ってこない』(NHK)などにも出演した石橋静河が演じ、『マルモのおきて』(フジテレビ系)や夜ドラ『あなたのブツが、ここに』(NHK)などの櫻井剛と『うつ病九段』(NHK)の小松與志子が脚本を務めた本作。

主題歌のYOASOBI“咲き誇れ“に合わせて石橋静河が踊るオープニングのタイトル映像も癖になる本作の第1~5週について、映画ドラマライターの北村有がレビューする。

※本記事にはドラマの内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。

カナリアに象徴された父・清治(渡部篤郎)の孤独

主人公・珠(石橋静河)の父・清治(渡部篤郎)が大切に飼っていた愛鳥・カナリア©NHK
主人公・珠(石橋静河)の父・清治(渡部篤郎)が大切に飼っていた愛鳥・カナリア©NHK

2026年9月末から放送がはじまった『ブラッサム』を見ていると、従来の「朝ドラ」とは違う手触りを感じる。

放送序盤では、横暴でありながら深い孤独を抱える父・清治(渡部篤郎)の存在感が相当なものだった。主人公の心理だけでなく、これほどまでに父親の内面を浮かび上がらせようとした朝ドラは、珍しいのではないだろうか。清治は、家族に対して厳格で、時に理不尽な振る舞いも辞さない。長女の珠(石橋静河)に自分の価値観を押し付けて自由を奪う姿は、典型的な家父長制の象徴にも見えた。

しかし本作は、清治を単なる横暴なモラハラ父として描く選択をせず、むしろ、家族と暮らしながら誰とも心を通わせられない、孤独な人間としての姿を立ち上げた。

そんな孤独を象徴していたのは、清治が大切に飼っていた愛鳥・カナリア。鳥籠で飼われるカナリアは、父の支配下に置かれた珠の姿とも重なったが、同時に、名家の体面や父親としての役割という「見えない鳥籠」に閉じ込められる清治自身も象徴していたのではないだろうか。

家族を支配することでしか、自分の存在を確かめられない。そんな不器用さが、清治の言動の奥に透けて見える。もちろん娘への理不尽な扱いが許されるわけではないが、彼を悪人として切って捨てることもできないだろう。主人公の前に立ちはだかる障壁としてだけでなく、一人の人間としての孤独を見つめる。そうした視線は、本作の独自性を生み出していると感じた。

RECOMMEND

NiEW’S PLAYLIST

編集部がオススメする音楽を随時更新中🆕

時代の機微に反応し、新しい選択肢を提示してくれるアーティストを紹介するプレイリスト「NiEW Best Music」。

有名無名やジャンル、国境を問わず、NiEW編集部がオススメする音楽を随時更新しています。

EVENTS