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テイラー・スウィフト『The Tortured Poets Department』――セラピーとしての詩

2024.4.27

#MUSIC

過去3作の間にあるサウンドと心情のリンク

サウンドは、1980年代のシンセポップスタイルやインディーロックな手触りが特徴。ライターとして名を連ねているのは主にはテイラー自身と『Folklore』『Evermore』でタッグを組んだアーロン・デスナー(Aaron Dessner)、そして2014年の5thアルバム『1989』から数多くの楽曲に携わり、『Midnights』ではほとんどの楽曲に関わっているジャック・アントノフ(Jack Antonoff)の3人である。そのため、サウンドは過去3作のアルバムのあわいのような聴き心地だ。

“Florida!!!”はアルバムの中でも数少ないビッグコーラスがあり、力強いドラムで予想外な展開を作り出している。客演には、イギリスのバンド、Florence + the Machineが参加し、新しいアイデンティティを求めたフロリダへの逃避行を痛々しく描いている。

I need to forget so, take me to Florida(忘れなくちゃ、だからフロリダへ連れてって)
I got some regrets, I’ll bury them in Florida(後悔はフロリダに埋めるつもり)
(中略)
What a crash, what a rush, fuck me up, Florida!(なんて衝撃で、なんて興奮、めちゃくちゃにして、フロリダ)
It’s one hell of a drug(最高に強烈なドラッグみたい)

“Florida!!!”

“So Long, London”は4つ打ちのダンサブルなビートだが、絶妙に盛り上がりきることなく終わりを迎える。それは、結局実を結ばなかった自身の恋愛の比喩ともとれる。<自分のユース時代を無償であげた>という歌詞は、ライフステージが上がった大人の失恋の悲痛さを感じさせる。

I stopped CPR, after all, it’s no use(心肺蘇生も結局無駄だったからやめた)
The spirit was gone, we would never come to(すでに息を引き取ってたの、私たちが元の関係に戻ることは二度とないし)
And I’m pissed off you let me give you all that youth for free(あなたには腹が立つ、ユースを無償であげたのに)
(中略)
So long, London(さよならロンドン)
Stitches undone(縫い目はほどけた)
Two graves, one gun(二つの墓と一つの銃)
You’ll find someone(あなたはきっと誰か他の人を見つけれるわ)

“So Long, London”

“I Can Fix Him (No Really I Can)”は初期のカントリー時代を感じさせる楽曲。問題がある「彼」を変えられると信じる自分。その自信を徐々に喪失する心情が、震えるスライドギターのサウンドとリンクする。

They shook their heads saying, “God help her”
When I told ‘em he’s my man
(私が彼を紹介すれば、周りは首を振りながら「神よ、彼女を救って」って言ってる)
But your good Lord doesn’t need to lift a finger(でも神様が何かする必要はない)
I can fix him (No, really, I can)(私が彼を変えられるから)
Woah, maybe I can’t(でも、もしかしたら、無理かも)

“I Can Fix Him (No Really I Can)”

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