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巧みな演出や人柄のにじむ演技が、私たちの「友達がほしい」という気持ちをくすぐる
下手奥側に階段付きの荒川の土手を模した美術、上手手前に吉村の寝室がある空間。両者の間をつなぐ空間が会社や路上ライブや駅など、様々な場所に変貌する。75分ほどの上演時間で、秋の始まりから冬の終わりまでの時の経過と場所の転換を、テンポ良く描き出す演出処理が非常に巧みだ。
木琴の音や川の轟音といった、心情を揺さぶる音響も効果的だった。3チーム全てを観たが、Bチームの中島が演じる挙動不審な仕草が可笑しい吉村、張りのある声で真っ直ぐに真壁を諭し、観る者をグッとさせるCチームの小澤が演じる吉村を始め、俳優それぞれの人柄がにじみ出る演技で魅せる。
友達がほしいという一見ささやかに思える願いは、孤人化した高齢者が今後どんどん増えてゆく日本においては、世代を問わない問題である。東京に住んでいると、1人で過ごすことに不便はないが、それは単に寂しさを抱かないように努めているだけなのかもしれない。
劇場のある北とぴあの最上階には、展望台がある。スカイツリーには及ばないけど、無料だからそこに行こうと吉村が真壁に提案するシーンで、「ここにいること」を改めて覚醒させられる。その時、私自身の友達を求める深層心理がくすぐられた。
いいへんじ『友達じゃない』

会場:北とぴあ ペガサスホール
日時:2024年3月20日(水)~24日(日)
作・演出:中島梓織(いいへんじ)
出演:
Aチーム
飯尾朋花(いいへんじ)
冨岡英香(もちもち/マチルダアパルトマン)
小林駿
Bチーム
中島梓織(いいへんじ)
タナカエミ
てっぺい右利き(パ萬)
Cチーム
小澤南穂子(いいへんじ)
百瀬葉
藤家矢麻刀
配信:
【購入】
https://ii-hen-ji.booth.pm/items/5614157
【視聴方法】
ご購入後にPDFデータのダウンロードをお願いいたします。
そちらに記載されているURL(YouTube限定公開)からご視聴ください。
【購入期間】
2024年4月30日(火)23:59まで
【視聴期間】
2024年5月7日(火)23:59まで