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ギターリフで合唱が起こる急成長バンド
野村:タイと日本のコラボは急増していますね。
Ginn:そうですね。特に、コロナ禍は物理的に移動ができなかったので、タイ進出を検討していて、タイでの認知度向上を図りたいと思っているアーティストにとっては、コラボ曲制作という方法は有効だったんじゃないかと思います。例えば、日本のRyu MatsuyamaとタイのMax Jenmanaのコラボだったり、NulbarichとPhum Viphuritだったり。
野村:コロナ禍でも着実に準備していた人たちが、次のフェーズとして国境を越えた共作に移れているんでしょうね。今後が楽しみです。2つ目はどんなアーティストですか?
Ginn:最初の方にも名前が出たSoft Pineですね。タイって観客まで歌を一緒に大合唱する文化があるんですが、Soft Pineにいたっては、ギターリフまで合唱が起こるようになってきました。観客には中高校生も多いです。
野村:キャリアはどれくらいなんですか?
Ginn:4〜5年ぐらいだったと思います。僕の持論で、タイのインディーズシーンは大体5年周期ぐらいで新しく生まれ変わっていくんですね。Supergoods、DOGWHINE、January、Beagle Hug、Alec Orachiなどなどが出てきたこの5年の世代の中で頭一つ飛び抜けたのがSoft Pineでした。彼らは今年、ニューアルバムを出すので、ここからタイ国内でまずガツンといくんだろうという予感はしてます。
タイと福岡のインディーズ入門必修アーティスト
Ginn:ちなみに、そのさらに5年前の世代だとMoving and Cut、Stoondio、Jelly Rocket、Zweed n’ Rollが出てきた中で、アリーナクラスになったのがSafeplanetです。
野村:Safeplanetは日本にも何回も来ていて、今年もROTH BART BARONのイベントに出演するなど、日本での知名度も高いですよね。ちなみに、Safeplanetとも相性が良さそうなアーティストが福岡にいます。手前味噌なんですが、僕も所属しているBOATの中核を担うユニットでYOHLUというんですけど、彼らは今年、すでに3曲シングルをリリースしていて、秋にはまとまった作品もリリース予定です。またアジア諸外国からも招聘の声がかかっていて、アジアの玄関口・福岡の地の利を生かした活動ができるんじゃないかと期待しています。タイでもライブできたらいいですよね。
野村:3つ目はどんなアーティストですか?
Ginn:3つ目のオススメは、途中で名前も出てきたPanda Recordsに所属しているSummer Dressです。もう10年以上はやってる中堅なんですけど、最近より良くなってきて。僕の中で、タイインディーズのいい部分を凝縮するとSummer Dressになる! という確信があります。タイのインディーズと言ったらSummer Dressをまず聞いとけばいいんじゃない? ぐらいです。
野村:入門としても、Summer Dressから入ると、タイのインディーズの雰囲気がわかるよ! という感じですか?
Ginn:そうですね。一筋縄ではいかない音楽をやってるバンドなので、いい意味で面食らってもらえると思います。
野村:MVも尖っていていい意味で面食らいました。福岡インディーの入門であり、面食らうくらい良い! という意味では、Alex Stevensが欠かせない存在です。ハワイ出身で伊万里にルーツがある福岡在住のソロアーティストなんですが、彼の作る楽曲は、福岡のリゾート地である糸島の海を感じさせる爽やかな雰囲気があって、全曲最高のドライブミュージックとしても機能します。彼自身、福岡の音楽カルチャーが集まるカフェ「como es」の店員で、お店で曲作りもしているようです。運が良かったら、お店で彼が曲を作っている姿を見ることができるかもしれません。
話題は街の夜を切り取る。ナイトタイムエコノミーへ
野村:街もアーティストも日々刻々と変化していくと思うので、この対談は定点観測的に続けていけたらなと思うんですが、今回のお話を経て、次回はナイトタイムエコノミーの観点から街を見比べていくのも面白いんじゃないかと思いました。
Ginn:観光客が訪れた時にお昼間の観光だけじゃなくて、夜の街をどういうふうに楽しませていって、経済を潤わせようか? っていう取り組みですよね。
野村:そうです。ナイトタイムエコノミー目線の切り口で、バンコクと福岡を切り取ると、また違った話が出てきそうですよね。
Ginn:ナイトタイムエコノミーの一例としてナイトマーケットを挙げると、ナイトマーケットが有名なのは台湾かと思うのですが、実はタイもナイトマーケットが盛んな国で、最近では、観光向けから地元民向けまで、新しいマーケットもできてきていますよ!
野村:おっと! その話は次回にとっておきましょう(笑)。