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大きな変化があった、快快にとっての8年間
ー快快自体の話になるのですが、2015年の『再生』から8年が経って、快快はどう変わったと思いますか。『再生』の前から活動形態は変わっていたけれど、鹿児島にいる佐々木さんのように地方に移住するメンバーも現れましたし。
藤谷:変わったね。そういやあ。
佐々木:『再生』のすぐ後に梨乃ちゃん(大道寺梨乃)がイタリアに行ったんだっけ。山崎(山崎皓司)も静岡に行ったり来たりするようになって、みんなで住んでいたシェアハウスも解消して。


佐々木:私はそれまでの制作スタイルがずっと続くとも思っていたけれど、2018年あたりから「もっと休みたい」と思うようになった。自分がもっと幸福状態になるためには、ちょっと仕事を抜いた方がいいって思って、鹿児島に帰ったりして。お金とかのバランスはちょっと考えるけれど、自分もどうせ死ぬし。
藤谷:快快の中で文美と山崎は「風の人」と呼ばれてて、コロナが始まる前に東京を離れた決断の早い者たちとして、みんな眩しい目で二人を見てたよ(笑)。
佐々木:もはや誰かから誘われて作品つくるっていうよりも、自分たちがやりたいことをやるっていうほうにシフトしたかった。動きすぎるよりもちょっとゆっくり動いた方が効率いいんだなって。マジで、急がば回れだなって。
藤谷:急がば回れ!! その言葉、胸に刻むね。もともと快快は生活を大事にする集団だったしね。リハ終わりで飲みに行ったりもそんなしない、すぐ帰る我々。そこは私的に尊敬するべきところで、快快は活動のために生活の幸福をえぐらない。「皆さんさすがです」という印象は、年齢を重ねるごとに進んでます。
佐々木:2019年の『ルイ・ルイ』までは、とりあえずがむしゃらに仕事する自分だったけど、この時は着地点を設定して、何か綺麗なものをつくりたいと思っていたな。『ルイ・ルイ』の「寂しさと付き合う」っていうコンセプトはある種の綺麗な状態を示している印象があって、がむしゃらさを捨てて、そこに至るための計画と着地のバランスを考えられるようになった。もちろん失敗もいっぱいあるんですけど。それがこの8年間の変化かもしれない。
ー藤谷さんはどうですか?
藤谷:2015年あたりからいろんな作家の方と仕事させてもらえるようになって、変わったと思います。衣裳がなくても成立するって意識が強くなったぶん自由になったというか。それは衣装で何をやればいいか見つけやすくなったということだけれど、それによってよりのびのびできるようになった。

藤谷:でも、さっき文美が「どうせ死ぬし」って言ってましたけど、私も歳をとるぶんだけ死が近づいてるので、やっぱりのびのびしたいよね。つまり楽しみ力が上がったってことじゃないですか。
佐々木:岩井さんとの仕事は私ものびのびしてるな。岩井さん楽しそうだけど、そんなに誰とでも仕事できるタイプではない気がする。でもそれにホッとするんだよね。私も大勢と器用には付き合えない人間だから。親近感がわきます。
藤谷:わかるー。

衣裳:藤谷香子 ヘアメイク:須賀元子 撮影:平岩享 アートディレクション:土谷朋子(citron works)