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10代から始めてたら、いまみたいな音楽をやってなかった気もする。
ーお2人とも30歳前後から本格的に音楽を始めたわけですが、そういう人がもっと増えてもいいですよね。
タカノ:「この年齢から始めるのはどうなんだろう?」って思いもしたけど、もういまのこの時代だし、関係ないんじゃないかなと思って。年齢だったりとか性別だったりとかね。
tami:それくらいの年齢で始めるのって、いまでもマイノリティではあると思うんですけど、私が子供のときよりは全然やりやすい時代や環境になったと思います。あと10代から始めてたら、いまみたいな音楽をやってなかった気もするんです。ここからやるってことはもう死ぬまでやるかもしれないから、ジャンル選びとかでも、死ぬまでやれる音楽をやりたいっていう気持ちが私は結構あって。タカノさんは、作風と始めた年齢に関係ってありますか?

タカノ:僕は年齢よりは環境依存が強い気がして、やっぱりGarageBand始まりなので、自然と打ち込みになってくる……あ、でも年齢も関係あるかも。33歳で始めたから、周りはみんな社会人で、時間を合わせるのが難しい。ってことは、バンドは無理かもしれない、っていうふうになったんですよ。だったら打ち込みでつくって、ボーカルはボーカルで録って、みたいな感じで、ミニマムにデータだけでやり取りできるような感じがいいんじゃないかっていうことで、こういう形態になったんです。
tami:それが結果いまっぽくなってるんですね。
タカノ:ちょうどその環境でしかできないような音楽が自分の好みにもたまたまはまったので、それはラッキーでしたけどね。
tami:タカノさんのインタビュー記事で、仕事と音楽を1:1のマインドでしてるっていうのを読んだんですけど。
タカノ:「カフェオレ理論」のことですよね。
tami:それって収入で言ったら難しいと思うんですけど……。
タカノ:難しいです。収入で言ったらカフェラテですよ(笑)。
tami:でもすごいわかるなと思って。実際自分が1:1と思ってるかは若干わからないですけど、ふんわり考えたら私も1:1というか、どっちも同じぐらい大事に思っていて。
タカノ:だんだん相互作用が起きてくるんですよ。仕事で培ったノウハウが音楽活動にもめちゃめちゃ生きてくるんです。FrascoなんてSlackでやり取りしてるし、「納期がいつだからそれまでにこれをしなきゃいけないよね」みたいなやり取りって、仕事をしてなかったらそんなにできなかったなと思って。仕事は仕事で、音楽で培った発想とか創造性みたいなものがアイデアとして生きてくるし、どっちにも作用するなって。あと思ったのは、音楽やってることを公表した方が絶対いいと思う。僕が務めてるのはカヤックっていう広告クリエイティブをつくる会社なんですけど、会社内で「音楽やってます」って言いまくってたら、会社の仕事として音楽をつくることもあったりして。
tami:音楽やってることを押して会社に入ったわけではない?
タカノ:それもありました。エゴサーチ採用っていうのがあって、「エゴサーチの結果が履歴書代わりになるから、それで書類選考免除にします」みたいな感じで。Frascoで検索するといろいろ出てくるから、入口がそもそも音楽活動だったんです。

タカノ:そうしたら、当時うんこミュージアムの企画が立ち上がりのときで、「ちょうど音楽できるやつが入ってきた」みたいな感じで、うんこミュージアムの音楽担当になり、音楽活動で繋がりのあったケンモチヒデフミさん(水曜日のカンパネラ)に声をかけたんです。ホント相互作用で、運も良かったですね。
ーカフェオレ理論的に言うと、tamiさんは自分の音楽活動とスタジオ経営にはどんな相互作用がありますか?
tami:私は社会人経験は全員した方がいいと思ってるんです。社会人経験ないんやろうなっていう人とやり取りするときに、ある人だったらもっとスムーズにやり取りできるなと思うこともあって。自分がわざわざ教えてもらわなくてもそれができるのは、やっぱり社会人経験があったからで。
タカノ:結局コミュニケーションが超大事ですもんね。仕事も音楽活動も。音楽活動でいろんな人とやり取りするときもコミュ力ある人は信頼されるというか、一緒にやってて気持ちいいですよね。
tami:そうなんですよね。爆発タイプの芸術家もいるかもしれないですけど、それはその人の代わりにコミュニケーションを取ってくれる人がいる前提なので、それを全部1人でやると考えたら、できた方がいいに決まってますよね。経験があればあるほどいいってことでもないし、しなくていい苦労はしなくていいっていう人もいるのはわかるけど、人と付き合っていく上でちゃんとやりとりができる方がお得だとは思います。
