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NEWS EVENT SPECIAL SERIES
Stronger Than Pride

カメラマン桑島智輝との対話。共通言語のなさが生むコミュニケーションの深さ

2024.9.26

#MUSIC

目の前のアスパラについて話すコミュニケーション

―2人でいるときってどういう話してるんですか。アートとかカルチャーの話したりするんですか?

加藤:あの作品がアレで、みたいな話はしないっすね。神保町の中華料理屋で飲んでたとき、壁にでっけえアスパラ1本みたいな写真があって、あれいい写真だよねとか(笑)。

桑島:人生のベスト3映画ってなに? とか寒すぎて(笑)。バー行ってラム飲んで、これ美味しいね、チョコいっちゃう? みたいな。

ー即物的に盛り上がる。

加藤:目の前のもので盛り上がる。俺、幼馴染に葉狩ってヤツがいて。葉狩は中学高校一緒なんすけど、葉狩は音楽やってないし、音楽も全然聴かないんですよ。でも俺の高校のときのルーティンだった、ブックオフに行ってジャケ買いをするっていうのに付き合い続けてくれてて。「修平これいいんじゃない?」とかいって勧められて、俺も葉狩のことはすげー信頼してるから、それを買って聴く。んで、「アレよかったよ」って言ったら、「あ、そうなんだ。よかったね」ってだけなんですよ。俺その感覚がすげー好きで。

で、“Down the Valley”のマスタリングのときに、スタジオに葉狩呼んで、当時のスタッフと葉狩を交えてみんなで聴いたんですよ。45分通して聴いた後、どうだった? って聞いたら「かっこいいね」って言ってて、みんなそうだね、みたいな(笑)。葉狩とも具体的な話って一切しないんですよ。この道は少し下ってるね、とか、ここはスクールゾーンだけどガードレールがないから夕方はちょっと危ないかもね、とかそういう話をするんですよ(笑)。

桑島:意味があることが溢れすぎてて、そんなモンいらないんすよ、マジで。誰がどうしたとか、これがこういうアレでとか、もういいじゃないですか。それよりも、目の前にあることを訥々と話していく方が、感覚として信頼できる。そういうコミュニケーションできる人ってマジいないから。だからほんとに、アスパラなんですよ。アスパラでいいんですよ。だってアスパラじゃんっていう。アスパラの写真いいねっていう、それでいいんじゃないですかって。

―目の前のこれをどう思うかっていうのを素直に話すって、けっこうコミュニケーションの究極ですよね。

桑島:しゃべることだけがコミュニケーションじゃないと思ってて。仕草とか体の向け方とか手の置き方とか、それも含めてコミュニケーションですよね。

加藤:服のサイズ感とか、そういうのから生まれる信頼ってありますよね。ARIKAくんっていう画家でタトゥーアーティストの友達に言われてすごい嬉しかった言葉があるんですよ。PROVOのベランダで、僕が階下に向かってゲロ吐いてるの見て、加藤くんって信頼できるヤツなんだなって思ったって言われて。この人に好かれようって思ってやったんじゃない、限りなく生理現象に近いことで信用してもらえるって、何かすげー嬉しくて。そういうことで人を好きになったり信頼するって感覚めっちゃあるわーって。

―加藤くんは大きなテーマとして、コミュニケーションっていうのがある気がします。

加藤:自分の中のテーマがそれしかない感じはありますね。

桑島:歌詞ってどういうところから来るの?

加藤:言いたいことってさほど多くないんですよ。たとえばいまパレスチナのこととか、ウクライナのこととか、いろんなことがいっぱいあるじゃないですか。その1個1個に、あなたはこれについてどう思いますか? って言われたら、これはダメだよねとか良くないよねってみんなそれぞれあると思うんですけど、その大元を辿っていくと実はおなじ心からきてるんじゃないかって。そこを自分は触れたい。その大元の言葉があるんじゃないかなっていうのが、歌詞書く時のテーマ。歌詞にするとしたら僕はそれしかない。

自分がやりたいことってほんとにそれぐらいしかない。自分の作品を出すたびにアーカイブされていく感覚があって、並べるとポートフォリオになるワケじゃないですか。で、ダーッと並べたときに、違う時期でもおんなじ色のやつがあったりとか、おんなじ形のがあったりとかして、それが結ばれる感覚があるんですね。それが面白い。曲調が違ってたりしても、これ多分同じ気持ちだなって。だから言ってることはずっと一緒ではあるんすよね、元の心をたどりたいだけだから。

―根源的なTHE ONEを表現したいみたいなことなんですかね。

加藤:SNSで声あげたりすんのって大事だと思うし、自分もするんだけど、アゲインストしなきゃいけないものがめちゃくちゃ多いじゃないですか。ほんとはまとめてぶち砕きたいんですよ。実害被ってる人たちはそれぞれ違うけど、自分の心としては全部同じ気持ちでぶちぬけるって感じがするんですよね。

―今更なんですけど、この連載初回でなんで桑島さんを指名したんですか?

加藤:桑島さんには、自分が大事にしたいモノやコトについての連載をするんでって伝えたんですけど、それが何なのかは正直わからないんですよ。わからないから音楽をしてるし、でも大事なんだってことを確かめるために表現をしてる。葉刈もそうなんですけど、桑島さんといるときって目の前のものしか話をしなくて、そういう感覚をセッションし合うのって、すごく整っていく感じがあるんですよ。だから対象はなんでもいけるはずなんです。アスパラだろうが政治の話だろうが映画とか音楽であろうが、それぞれの視点で目の前のことをちゃんと話できる関係って何かいいし、そういう時の自分っていろんなものに目が向いているし、いろんなことについて語れる状態になっている。それがすごい大事な気がしてて。

桑島:もし加藤くんが写真家だったら、アスパラの写真について話すとき、「戦前のドイツの写真家にこういう作品があって~」みたいな話になっちゃうと思うのよ。それは共通言語がそこにあるから。でも写真と音楽だから共通言語はここにはないんですよ。その共通言語のなさが一種のゲームっていうか、神経を集中して言葉を選んでやっていくっていうのがすごい面白いと思うんですよね。共通言語がないからこそ、感覚をすり合わせていくような会話になる。

加藤:アスパラの写真があった時に、アスパラやばいよねって盛り上がる。あれ飾んのやばいよねとか、だいぶ黄ばんでるけどいつからあんのかなとか、どういう視点を繰り出すかっていうゲームですよね。自分にとっていちばんプリミティブな会話な気もするし。桑島さんとしゃべってるときってスイッチが不思議な感じになるんですよ。入ってるか入ってないかわかんない、でも何かに敏感になっている感じ。

―今回、こういうちょっと改まった感じで話してみていかがでしたか?

加藤:面白かったですね。話すのって面白いですよね。

桑島:話すの面白いよね。

加藤:こんだけ話して、シメが「話すの面白い」って(笑)。

『FAHDAY2024』

日付:2024年10月12日 (土)
場所:北海道 / 苫小牧市民会館 全域(Area_1 / Area_2 / Area_3 / Area_4)

時間:Area_1 OPEN 12:00 / START 13:00
Area_2,Area_3,Area_4 OPEN / START 11:00

料金:Area_1:U-23 4,500円 / FAHDAY MEETINGチケット 5,000円 / 早割 6,000円 / 一般 7,000円 / 当日 7,500円
Area_2 / Area_3 / Area_4:無料

出演:Area_1 NOT WONK / kanekoayano / 踊ってばかりの国 / EGO-WRAPPIN’
Area_2 WHITELIGHT / 後藤正文 (※「Recent Report I」立体音響展示) / マレウレウ / GAK / tommy△
Area_3 DJ SADA / DJ Yogurt / 君嶋麻里江 / DJ FANTA / DJ FUMINN / IZAKAYA草-SOU- / おうちコーヒー / ISHIBASHI COFFEE / いしかわぱん / 開運ラーメン / 焼き菓子 かぎねこ / COFFEE KITCHEN TAPIO / FAHDAY MEETING OFFICIAL BAR (CLUB ROOTS / Bar Old / Bar Base) / ARCH / Boogie / meshi to oto / Pansal / TONCINI / のらのキンパ / 鮨鷹 / poponta cafe / さんぼんぎ / Happy Hokkaido Kitchen and more
Area_4 to be announced

主催 / 企画:FAHDAY MEETING
(加藤修平 / IZAKAYA草-SOU- / おうちコーヒー / 株式会社 Bigfish / CLUB ROOTS / 立呑キング / 苫小牧ELLCUBE / Bar Old / Bar Base)
制作:FAHDAY MEETING / 株式会社 WESS / その他多数
協賛:チケットぴあ
後援:苫小牧市 / FM NORTH WAVE

OFFICIAL HP:fahday.com
OFFICIAL X:twitter.com/FAHDAY_official
OFFICIAL Instagram:www.instagram.com/fahday.official/

<チケット詳細>
◾︎FAHDAY MEETINGチケット※無くなり次第販売終了
販売店舗:IZAKAYA草-SOU- / おうちコーヒー / CLUB ROOTS / 立呑キング / 苫小牧ELLCUBE / Bar Old / Bar Base

◾︎チケット一般発売
U-23チケット / 一般チケット
受付期間:7月6日(土)10:00
URL:w.pia.jp/t/fahday2024/

<CAMPFIRE “FAHDAY2024” プロジェクトページ>
URL:camp-fire.jp/projects/view/747884

<FAHDAY MEETING>
FAHDAY2024を主催する共催者たち
izakaya草-sou-, おうちコーヒー, 株式会社 Bigfish, CLUB ROOTS, 立呑キング, 苫小牧ELLCUBE, Bar Old, Bar Base

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