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NEWS EVENT SPECIAL SERIES
Stronger Than Pride

始めての苫小牧探訪。山塚リキマルが見た、地元を愛する不良たちの文化

2024.10.8

#MUSIC

苫小牧2日目

翌日の昼過ぎぐらいに加藤君が迎えに来た。車に乗り込み、安くてとても美味しいという海鮮丼屋に向かったのだが、なんとこの日はたまたま休みだった。

完全に海鮮丼の口になっていたので少々ガッカリしたが、気を取り直して港の近くの市場へ行き、味噌ホッキラーメンを食べた。美味かった。苫小牧はホッキ貝が有名なのだそうだ。それから海へ行った。遊泳禁止の海だそうで、砂浜に打ち寄せる波は強くて荒々しかった。こんなところで泳いだら死んでしまうだろうなと思った。

そしてそのあと、苫小牧市民会館へ行った。今日は関係者が集まる打ち合わせがあるそうで、14時になるとゾロゾロと人が集まってきた。昨日会った人ばかりだった。和気藹々と笑いながら、ここにステージを組んで、ここをメインゲートにして……と話し合っていた。全員イケてる不良だと思った。不良はDQNとは違う。不良とは美学や信念にもとづいてキッチリ筋を通し、あらゆる種類の遊びに長けた、機知と度胸のあるストリートの手練れのことだ。加藤君は「このメンツ、頼もしいっすよね」と嬉しそうにいっていた。

メインステージとなる大ホールも見学させてもらったが、想像以上にすばらしかった。クラシカルに荘厳で、でもラグジュアリーさも内包した魔法的空間。こんな場所が取り壊されてしまうなんて本当に残念だと思ったし、こんな場所でEGO-WRAPPIN’のライブが観れたら本当に最高だろうなと思った。

16時過ぎに打ち合わせが終わると、ROOMへと向かった。ROOMとは、ROOTSというクラブが持っているスペースで、それを地元バンドのBANGLANGがスタジオに改装し練習やイベントに使っているのだという。BANGLANGのMVを、この両日撮影してくれた佐藤君が手がけるというので、ちょっと挨拶がてら見学に行ったのだ。詳細は公開されてのお楽しみということで避けるが、かなりおもしろいMVができそうな気配だった。

原チャリにまたがったボーカルの太遥は、1980年代の男性アイドルのような輝きを放っていた。美男でもイケメンでもなく、「ハンサム」という呼称がよく似合う男だ。ROOTSも少しだけ中に入らせてもらったが、実にクールなたたずまいだった。黒を基調としたソリッドな内装と、踊りやすそうなフローリング張りのフロアは、名バコのオーラがぷんぷんに漂っていた。マーヴィン・ゲイの“I Want You”のジャケで有名なアーニー・バーンズの画風を模したと思しき絵が飾られていて、それもまたクールだった。とても音がいいという話もよく聞くし、一度遊びに来たいものだ。

そして最後、駅まで加藤君が車で送ってくれた。車中で加藤君は、いましがた届いたばかりだという、NOT WONKの新曲のミックス音源を聴かせてくれた。ベースレスのその音源は賛美歌のようなホーリーな空気に満ちていて、静かに斬新だった。夏の終りの高い空の下、暮れ始めた陽が、苫小牧の街をうすく黄金色に染めていた。助手席の窓から流れ行く景色をぼんやり眺めながら、僕らは黙ってその曲に耳を傾けた。まるで映画のエンディングみたいだと思った。そのシチュエーションはあまりにもできすぎていて、ちょっと気恥ずかしさすら覚えたが、でもとても清々しい気分だった。曲が終わるとほぼ同時に駅に到着し、僕らは車を降りて別れた。

「レポート、楽しみにしてます」

「うん。じゃあまた会おう」

握手を交わし、改札を抜けて、ホームで電車を待った。本当に楽しかったな、と思った。こんなんが仕事でいいのかな、と思った。だから僕は、つむじに両手の指先を当てて片足を上げるというクラシカルなポージングを取って、いいんだよーん。と言ったのだった。

NOT WONK 『Changed』

2024年10月4日 Bandcampにてリリース
https://notwonk-theband.bandcamp.com/track/changed

『FAHDAY2024』

日付:2024年10月12日 (土)

場所:北海道 / 苫小牧市民会館 全域(Area_1 / Area_2 / Area_3 / Area_4)

時間:Area_1 OPEN 12:00 / START 13:00
Area_2,Area_3,Area_4 OPEN / START 11:00

料金:Area_1:U-23 4,500円 / FAHDAY MEETINGチケット 5,000円 / 早割 6,000円 / 一般 7,000円 / 当日 7,500円
Area_2 / Area_3 / Area_4:無料

出演:Area_1 EGO-WRAPPIN’ / 踊ってばかりの国 / kanekoayano / NOT WONK

Area_2 GAK / 後藤正文 (※「Recent Report I」立体音響展示) / Tommy△ / WHITELIGHT / mAsa niwayama / 松浦陽 / マレウレウ

Area_3
DJ
君嶋麻里江 / KiNG KiNTA / DJ SADA / DJ FANTA / DJ FUMINN / 元晴 / DJ Yogurt

FOOD&SHOP
A LITTLE BIT. / ARCO / ARCH / IZAKAYA草-SOU- / ISHIBASHI COFFEE / いしかわぱん / おうちコーヒー / ON THE CORNER / 開運ラーメン / 串揚げ屋 丈 / GoGo食堂 / COFFEE KITCHEN TAPIO / さんぼんぎ / 白樺堂 / 鮨鷹 / TONCINI / のらのキンパ / haku生活用品店 / Pâtisserie A.B Racines / HARUの桜の木の下で / Pansal / FAHDAY MEETING OFFICIAL BAR (CLUB ROOTS / Bar Old / Bar Base / 立呑キング) / BROWN and ordinary. / Boogie / VERYCO / poponta cafe / またたび文庫 / meshi to oto / Mogu Kitchen / 焼き菓子 かぎねこ

Area_4
STAGE
KanryO / sheersücker / BANGLANG

INSTALLATION
桑島智輝 / 佐藤祐紀 / 小さなコーヒースタンド by おうちコーヒー / NEW SHOUTAROU × にわとりファミリー FAHDAY2024 特別展示 「The City Built In Memory」 / Mai Kimura

DECORATION
かとうたつひこ / CovoChillCamp / SUU / HAL

主催 / 企画:FAHDAY MEETING
(加藤修平 / IZAKAYA草-SOU- / おうちコーヒー / 株式会社 Bigfish / CLUB ROOTS / 立呑キング / 苫小牧ELLCUBE / Bar Old / Bar Base)
制作:FAHDAY MEETING / 株式会社 WESS / WHITELIGHT / wool100w
協賛:チケットぴあ
後援:苫小牧市 / FM NORTH WAVE

OFFICIAL HP:fahday.com
OFFICIAL X:twitter.com/FAHDAY_official
OFFICIAL Instagram:www.instagram.com/fahday.official/

<チケット詳細>
◾︎FAHDAY MEETINGチケット※無くなり次第販売終了
販売店舗:IZAKAYA草-SOU- / おうちコーヒー / CLUB ROOTS / 立呑キング / 苫小牧ELLCUBE / Bar Old / Bar Base

◾︎チケット一般発売
U-23チケット / 一般チケット
受付期間:7月6日(土)10:00〜10月11日(金)23:59
URL:w.pia.jp/t/fahday2024/

“FAHDAY2024″を主催する共催者たち
izakaya草-sou-, おうちコーヒー, 株式会社 Bigfish, CLUB ROOTS, 立呑キング, 苫小牧ELLCUBE, Bar Old, Bar Base

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