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オーソドックスなようで、とんでもなく個性的なジャズ喫茶
素敵なカフェ風の外観と内装に、良心的な価格設定のメニュー。僕はたいていコーヒーとガトーショコラ。ちょっとおなかが減ったらパスタの時もある。冬はスパイスのきいたココアを飲むとからだが温まるし、ほっと一息ついてリラックスできる。という感じで、カフェとして使っているともいえる。

ただ、店の奥にはどーんとスピーカーが置いてあり、カウンターの中にはずらっとレコードが並んでいる。会計時にレジの前に立つとレコードプレーヤーがふたつ並んでいるのが見える。本棚に目をやれば、厳選されたジャズの本が揃っている。これらを見れば、その本気度が伝わってくる。そもそも音量が大きめなので、その時点で普通のカフェではないし、「会話は控えてください」と入口に書かれている。ここは今や珍しくなった「会話不可」のジャズ喫茶なのだ。

ロンパーチッチの選曲はとんでもなく個性的で、似た店はどこにもない。流行っているレコードがかかっているわけでもない。「今、これが再評価されています!」みたいなものはほぼかかっていないし、SNSで話題の新作もかかっていない。いわゆる「耳が早い」的なキャラクターはまったくない。なんなら「オーソドックスなジャズ喫茶」的でさえある。にもかかわらず、群を抜いて個性的なのがロンパーチッチなのだ。
