INDEX
揺らがない選曲がもたらす、揺らがない居心地の良さ
Bar Musicに対する僕の印象はずっと変わらない。当初から今と同じような落ち着つきのある、ずっと前からそこにあったかのような雰囲気の店だった。選曲の印象も変わっていない。Bar Musicはずっと「Bar Musicっぽい雰囲気の選曲」のままで、いつ行っても音楽が醸し出す居心地の良さが揺らがない。そのぶれなさゆえに、中村さんがCafé Après-midiに立っていた時代からずっと彼のいる場所に通っているお客さんも少なくないのだ。

ふらっと行くと、以前もここで聴いたことのある同じレコードがかかっている。例えば、ジョアン・ジルベルト『En Mexico』やファラオ・サンダース『Pharoah』はBar Musicで何度も聴いたことがあるレコードだ。そういった定番レコードの存在が、店のムードや温度感を決めている。もちろんそれだけではなく、新譜もかかっていて、常にコレクションは更新されている。そして、新譜に関しては定番レコードと自然に繋がり、店によく馴染むようなレコードが選ばれている。Bar Musicにいると、発売されたばかりのレコードでも、ずっと前からこの店でかけられていたように響いていることが度々ある。きちんと「今」を感じさせるレコードがかかっているのに、ここの雰囲気はいつ立ち寄っても、いつものBar Musicのままだ。
