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NEWS EVENT SPECIAL SERIES
みらんと小原晩の交換日記『窓辺に頬杖つきながら』

ライブに行くと、頭のなかの声が聞こえてくる

2023.5.10

#BOOK

fromみらん #4

晩ちゃん、先日はお誘いありがとう。

書いてくれたこと、会った時にはなんにも話してなかったので、私は私の話ばかりしていたんだなと気づき、ちょび反省。けどやっぱり楽しかったから、改めて、お姉さん優しく聞いてくれて、ありがとう。

こちらから見ても、完ぺきなビール

ライブを見てると、頭の中で声が大きくなる感覚、大共感!!! だよ。

晩ちゃんはその声、ライブを見てる時に限らず、日常的にずっと聞こえてる? 私はもう、常にわらわらと聞こえてて大変なんだけど、それがライブを見てると、とってもスマートに輪郭や意志をはっきり主張させてくるから、打ちのめさせられる感じです。そのときのそれは、すごい集中力で最近の出来事を思い返しては一言にまとめて、私に向かってどーん! と響かせる。するとスッキリしたように、頭の中にある大きくて高い棚の、どこかしっくりくる場所に収まっていく。そんなふうに、次から次に、一言の波を浴び受けます。ステージには演奏してる人、周りにはお客さんがたくさんいても、どこにいるよりもひとりって感じがして、なぜか心地いい。その心地よさの中では、手を上げても、リズムをとったり踊ってみたりしても、なんも、他とは関係がない気がする。私はその真実みたいな空間に気づけた時、波がぴたっと静まって、途端に感動するんだよ。その感動が、晩ちゃんの言う、うわー! に近いかな。私も気づいたらもうアンコールなことはよくあって、そこでやっとステージに立ってる人のかっこよさにはっとしたりして。それでライブが終わってから思うことは、もっと見たかった……とかになるんだな。

とは言え、毎度こんな体験ばかりではなく、時には歌っている人の鼻詰まりを心配したり、ベースを弾く指の滑らかさに見惚れたりもするよ。うわー! は、さまざまなコンディションが作用し合って生まれる奇遇だと思うから、これからもめげずにふらっとライブに行って欲しいな。晩ちゃんより少しばかりライブに行ってる気がする私から言えることは、こんなくらいかしらね。

ちょっと、話が戻るんだけど、常に声が聞こえている私は、その声について、大体人には気軽に言えないような、冷たくて、俯瞰しているようなことだったりします。誰でもあるよね、きっと。そう思っているから、必死に自分の中で納めて、なんとかしようとしているのに、たまに、なんの気なしにそれを口に出す人がいて、私はがっかり、うんざり、絶望、落ち込んでしまう。共感ってのは、人と人を結ぶのに最も容易い感情かもしれないけど、だからこそ、常にある冷静なものではなくて、たまにある歓喜なものであってほしいと、願うようにまた、落ち込んじゃう。それでこの前、晩ちゃんと飲んでる時、酔っ払ってきた私は、あーー晩ちゃんとなんかライブ行きたいって呟いたら、晩ちゃんはふふふって笑うだけだったから、もう一回同じこと呟いたら、またふふふって笑った。私は、なんやなんや、なにがふふふなんやって、気にするうちになんか私もふふふってなって、それがけっこう、面白かった。ふふふって、なんやったんやろう。そういう、分からないことに、ふと軽くなる時があるなと、最近は思ったり感じたりしてます。またまたありがとう。晩ちゃんも風邪ひかないようにね。

よく行く好きなお店で、いつも買うか迷って買っていなかった魚ポーチをついに買いました。きっかけとかは、特にない。
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