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最新作まで変わらない、ヘヴィメタルの旨味を凝縮したサウンド
みうら(※):研ちゃんに会った時に、悪気はなかったけど、「なんにも変わってないわ!」って言ったら、「嬉しいっす! ヘヴィ・メタルは何も変わらないことが一番いいんです!」っていうから、そうなんだと確信した。
和嶋慎治『屈折くん』より
※みうらじゅん。本書には和嶋とみうらの対談が収録されている。
この発言が示しているように、人間椅子の音楽の特質としてもうひとつ挙げられるのが、変らないことである。偉大なるワンパターンという形容があるが、これは彼らにも当てはまる賛辞ではないか。最新作『色即是空』と、デビュー作『人間椅子』を続けて聴いても、ヘヴィメタルの旨味を凝縮したその音楽性にはいささかの揺るぎもない。
むろん、音質的にハイファイになっていたり、ドラマーのナカジマノブのプレイがアンサンブルを引き締める役割を果たしたりと、細かな変化はある。だが、サウンドの中心軸は、まったくと言っていいほどブレていない。曲の途中でテンポチェンジがあったり、変拍子が挿まれたりするのも初期から頻繁に見られたアレンジだ。