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1989年の東京で
自分が『MANCHESTER NIGHT』もしくは『MADCHESTER NIGHT』というクラブイベントをやり始めたのは1990年代初頭、もう30年以上も前になる。



その前身のイベントを始めたのが1989年、The Stone Rosesがアルバムをリリースした年だった。1989年から1991年の3年間は次から次へ新しいバンドがデビューし、数々の名曲がシングルとしてリリースされている。1989年12月にリリースされたThe Stone Rosesの”Fools Gold”、Happy Mondaysの『MADCHSTER RAVE ON EP』と”Wrote For Luck”。1990年はPrimal Screamの”Loaded”、Rideの赤(『Ride EP』)と黄色(『PLAY EP』)、My Bloody Valentineの『Glider EP』などなど、数え上げればキリがない。
毎週3回は輸入盤ショップを回りながら僕が感じていたのは「イギリスでは何かとんでもないことが起きているに違いない」ということだった。そしてそれはセカンド・サマー・オブ・ラブと呼ばれる新しいムーブメントだった。イギリスから遠く離れた東京にいた僕はそこで起きている何かを音楽から感じ取っていた。その背後にアシッドハウスがあったことは後年になって理解するのだが。
この時期はインディーバンドがダンスビートを取り入れたのと同時に、イギリス産ダンスミュージックも飛躍的に進化した。アメリカ産のアシッドハウスからイギリス国産のトラックに切り替わるのにそれほど時間はかからなかった。中でも808 State”Pacific State”のコズミックな高揚感、THE KLFの挑発的なトラック、もちろんポール・オークンフォールドとアンドリュー・ウェザオールのダンスリミックス、どれも時代の高揚感を反映している。中でもThe Shamen”Progen 91″の<I Can Move Any Mountain>というフレーズは”She Bangs The Drum”の<未来は僕のもの>と全く同じ響きを持っていた。
The Beatlesから始まったポップミュージックの進化はThe Clashの怒りとThe Smithsの知性を経てThe Stone Rosesの熱狂からOasisの勝利へと続く。その歴史の中でマンチェスターという土地が果たした役割は大きかった。アシッドハウスがもたらした変革はインディーロックを巻き込み、さまざまな形で1990年代を通して拡大し続け現在まで続いている。不安に捕らえられがちないま、もう一度希望に満ちた気持ちを思い出すことはきっと何かを変えてくれるはずだ。未来は何も決まっていないし、何よりもそれは僕らのものなのだ。最後に当時の幸福な雰囲気を象徴している曲を紹介して終わろうと思う。僕は本当にこんな感じで夢を見ていた。
それではみなさんフロアでお会いしましょう!
TOP / Buzzin’
新しい夢へようこそ
見かけほど奇妙じゃないさ
自由な乗り心地
みんなが僕を取り囲むみんな僕の周りで騒いでいる
自分でいられる場所が必要なんだ
みんな僕の周りでトリップしてる
息ができる場所が必要なんだ
みんな僕の周りでトリップしてるみんな僕の周りで騒いでいる
新しい夢へようこそ
訳詞:与田太郎
見かけほど奇妙じゃないさ
自由な乗り物
今、みんな詰めかけてるところなんだ
『MADCHESTER NIGHT』

下北沢SPREAD
1月20日(土)
open / start 16:00~
3,000円+1D
DJs : YODATARO、SUGIURUMN
Live : 下北The Smiths
80’s&90’s Indie, Indie Dance, 90’s UK House, Dance Remix
1989年から続くMADCHESTER NIGHT久しぶりの開催です!
PUNK以降最大のミュージック・ムーブメントが起きた88年、89年のイギリス、その前史から90年代のダンス・カルチャーのブレイクまでのフロア・ヒッツを網羅。35年の歳月にも色褪せることのないそれぞれの”This Is The One”を響かせます。