ディズニー&ピクサーの最新作『水の都のネロ』の日本公開日が2027年3月19日(金)に決定し、新たな場面写真も公開された。
同作を手掛けるのは、イタリアを舞台にした映画『あの夏のルカ』で知られるエンリコ・カサローザ監督。「水の都」ベネチアを舞台に、猫のマフィアのボス・ロッコに借金を抱える野良の黒猫・ネロが、鳩のサヴェリオらとの思いがけない友情を通じて、自分の生き方を見つめ直す物語となっている。
前作の『あの夏のルカ』は、イタリアの輝くような太陽と海、煌びやかな夏の情緒に溢れた作品だった。対して今作は、同じイタリアを舞台にしながら、これまでのピクサー作品とは一味違うダークな世界観を提示している。なぜカサローザ監督は、明るい光を描いた後に、暗い世界へとフォーカスを移したのだろうか。
その鍵となるのが、ピクサーの真骨頂とも言える「私たちが知っているはずの世界の裏側」、いわば「B面」を描き出すアプローチだ。『トイ・ストーリー』が「子供部屋のB面(おもちゃの社会)」を描き出し、『インサイド・ヘッド』が「人間の脳内のB面(感情たちの司令部システム)」を可視化したように、ピクサーは現実世界の裏側に潜む未知の生態系を解剖することで傑作を生み出してきた。
今回その舞台に選ばれたのが、世界有数の観光都市ベネチアである。華やかな観光地という「A面」に対し、カメラが向けられるのは主人公の黒猫や屋根の上の鳩といった、都市の「B面」だ。
不吉の象徴とされる黒猫はもちろん、ヨーロッパでは「空飛ぶネズミ」と揶揄される鳩もまた、歴史的建造物を汚す害鳥として嫌われてきた。つまり同作は、美しい観光都市の裏側で、華やかな社会から弾き出された厄介者たちの生態系を描き出す物語である。

さらに注目すべきは、「手描き絵画風のタッチと3DCGの融合」という新しい作画アプローチを採用していること。従来のCGにはないアナログ感をあえて残した質感もまた、華やかな「A面」ではなく、はぐれ者たちの「B面」を表現するために選ばれた必然の演出ではないだろうか。
新たな表現手法を手に入れて挑む、美しい都市の裏側の物語。「B面」をすくい上げるピクサーの伝統と、カサローザ監督の作家性が見事に重なり合うこの意欲作がどんな景色を見せてくれるのか。ぜひ劇場へと足を運びたい。
映画『水の都のネロ』

■公開日:2027年3月19日(金)日本公開
■クレジット:©2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
監督:エンリコ・カサローザ(『あの夏のルカ』)
出演:マーク・ラファロ(ネロ役)、ローレンス・フィッシュバーン(ロッコ役)
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン