9月18日(金)に全国公開される映画『さとこはいつも』より、各界著名人65名によるコメントと、コメント映像が公開された。
同作は、沖田修一監督の長編映画デビュー20周年となる完全オリジナル新作。年齢も境遇も異なる3人の「さとこ」という女性たちが、自分の人生を物語として書き始めたことから交差していく姿を描く。15歳の中井聡子を姫野花春、35歳の西田沙都子を有村架純、55歳の飯島里子を石田ひかりが演じ、トリプル主演を務める。
今回コメントを寄せたのは、役所広司、山田洋次、西田尚美、高良健吾、柄本佑、長濱ねる、岡山天音、小野花梨、磯村勇斗、前田敦子、千葉雄大、臼田あさ美、青木崇高、上白石萌歌、福徳秀介、石川慶、藤野千夜ら総勢65名。役所広司は「観客を、軽やかで前向きな気持ちにしてくれる」と魅力を語り、山田洋次は「とてもいい。沖田君の映画はいつもいいが、これは特にいい」とコメントしている。
あわせて公開されたコメント映像では、本編の一部とともに著名人たちのコメントを見ることができる。
コメント全文(敬称略/順不同)
世代の違う3人の「さとこ」。
「さとこ」1番バッターの姫野花春さん、いちいち笑えるユーモアと瑞々しい感性炸裂です。
それに続く30代、50代の「さとこ」有村さん、石田さんが愛おしい!
今作も沖田監督は我々観客を、軽やかで前向きな気持ちにしてくれる。
沖田監督、長編映画デビュー20周年、おめでとうございます!
― 役所広司/俳優久しぶりに映画で声をあげて笑った。私得しかない映画だった。観ながら、「うそだろ」と呟いた。
ありえない楽しさだった。
中学生さとこの立ち姿と塩辛の瓶の立ち姿に、クククと一人で笑う。やばいですよね。
私のお気に入りの箇所、ネブライザー、半開きの口、そして口からもくもくのケムリ、国語教師のタバコのけむり、妄想からの物語、韓ドラもどき、ハンガーの洋服が一気に落ちる、窓の外の女、トランポリン、枠からはみ出るくらい飛んでる、ネブライザーしつつの鼻声、小鳥が話す。しかもシジュウカラ。
どう考えても私得しかない映画だろ、これは。そんなことを思い巡らせながら、自分の物語を書き始めそうになる。
― 西田尚美/俳優子供が新しい気持ちを発見する時。大人が感じ取る以上のなにかがそこにはあります。
僕は沖田さんの映画を観ると、その時の子供、大人、両方の気持ちになれる気がします。
奇妙な気持ちになります。
こんな映画に出会えて良かった。
必要。そう思いました。
― 高良健吾/俳優口が半開いたり、眉間に皺がよったり、知らない人に声をかけたりするさとこ達。この3人には共通点がある。
とにかく頭の中がやかましい。とにかくよく動く。そして逞しい。生きる力に溢れている気がする。
そんな3人を見つめているのは沖田修一監督。
監督、僕は先入観からかゆる〜い映画を想像してましたが、こんな逞しさも持っていたのですね。
映画の中で3人のさとこ達は始まっていきますが、沖田監督もまた新たに始まったんだと確信しました。
― 柄本佑/俳優ずっとずっと沖田監督がいちばん好き!!
そんな沖田監督作品の中でも、「さとこ」は特に特に大好き!!!
楽しくなくても、めんどくさくても、変わらなくても、日々はちゃんと愛おしい。
心地良い風が身体を吹き抜けるようでした。
「さとこ」ありがとうありがとうありがとう…!
― 長濱ねる/俳優自分が思っているよりも、日々はもっと愉快に溢れた場所なのかも知れません。
沖田監督が描く人物たちは、いつでもみんな愛らしくて、その人生を撫ぜたくなる様な人生を生きています。
同時にこれまでに味わった事のない、妙に心地の良い「不思議さ」にも包まれました。
― 岡山天音/俳優だれのどんな人生も映画になりうる。
輝いていても、輝いていなくても
物語を書きなさい
怖がらず書きなさい
その小さな癖も物語になるのだから。
私のダサい毎日を希望で包みこんでくれた3人のさとこの愛おしくダサい日々でした。
― 小野花梨/俳優誰もが、自分だけの物語を生きている。
その物語は、ときに小説より奇妙で、ドラマよりもドラマチックだ。
そんな人生の可笑しさをまとった、ユーモア溢れるさとこに出会えたことが嬉しい。
そしてやっぱり、沖田監督の生み出すセリフは、心をくすぐる。
― 磯村勇斗/俳優それぞれのさとこが可笑しくて、愛おしくて、時々ふっと沖田監督まで浮かんでくる。
なんともたまらなかったです。なんでこんなに可愛いんだ。
『あつこはいつも』だったら、私はどんな人生を描くかな、なんて思ったり。
― 前田敦子/俳優自分の人生って、己ではなかなかに平凡だったりするけど、誰かからみたら、もしかすると、おかしみにあふれているのかもしれませんね。とりあえず、沙都子さんに共感マックスなので、どっかで会ったら一杯おごりますね笑
― 千葉雄大/俳優自分の人生を自分で紡ぐことで、成仏させていくようでした。
時折、狂気じみた様子に、思わずガハハハと笑ったかと思えば、過ぎていった日々の尊さに胸が締め付けられるような瞬間がありました。わたしたちはみんな、嘘みたいな本当の日々を生きているんだな。
― 臼田あさ美/俳優うん。
これはたしかに「さとこ」だ。
さとみ、みさとではない。
ちょうど「さとこ」だ。
― 青木崇高/俳優3人の”さとこ”たちのひたむきで逞しい息づかい。
愛おしく観入っていたら、自分へと続いている物語だと気づいた。
いつだって心をやわらかな光で満たしてくれる沖田さんの作品が、やっぱり大好きです。
― 上白石萌歌/俳優誰でも一冊なら、自分の物語は書けるかもしれない。
でも、こんなに優しくて愛おしい映画は、沖田修一監督にしか撮れない。脱帽です。
― 石川慶/映画監督沖田さんの、自由ではてしない世界を覗きみる体験。日常と小説、現実とフィクション、映画の中にある、いろんな境界が、幾重にも現れ、溶けて、重なって、三人のさとこの魅惑とともに、縦横無尽に広がっていく。
創作のワクワクが止まらない至福の時間でした。
― 瀬田なつき/映画監督沖田監督が姫野花春というとんでもない才能を発見したことが、まず事件だと思った。
姫野花春が映るたびに観客は幸せな気持ちになる。隣の席のお客さんもなっていた。
そして、「物を作ること」は「よりよく生きることだ」という読後感も最高。元気が出た。
― 豊島圭介/映画監督こういう脚本が書けたらなぁ、こういうのが書きたいんだよなぁとシーンが変わるごと変わるごと思いながら観ていたらもうエンディングでした。さとこが誰かに背中を押されるように観ている人の背中を押してくれる、自分の人生ももしかしたらいいものなのかもしれないと思わせてくれる、傑作だと思います。
― ふじきみつ彦/脚本家誰の胸の中にも豊かな物語が流れていて、言葉は、それを掬い上げるための貴重な道具だと思う。
さとこさんたちは、それぞれの言葉で、それぞれの物語をみつける。そうしてさとこさんは、さとこさんに新しく出合う。物語があふれ出す。うれしい。見守る時間も、全部うれしい。
そうだ、こうやって私は私に出会ったのだ、と物を書きはじめた頃の自分に新しく出合い直した気がした。
それにしてもみんな、なんてかわいい心を持っているのだろう。
― 東直子/歌人・作家待ってました!沖田修一最新作!
有村架純さん演じる35歳の沙都子にシビレたぜ!
仕事をこなすことだけ上手になった自称デキるオンナ。
満たされない思いと焦りと虚無感を、大仰な表情せずに見事に表現されてます。
アラフォーの痛いとこを突いてくるお芝居がお見事です。
オフビートなコメディエンヌ有村架純。
好き。ちょー好き。
― 瀧川鯉八/落語家好きなことを好きに書くのは、楽しいけれど難しい。難しいけれど、やっぱり楽しい!
はじまりはみんな小さなこと。三世代、三人の「さとこ」がそれぞれに真面目でヘンで面白い。
彼女たちが紡ぐキュートで自由な物語が、いつか小説界の〈大事件〉として、多くの読者のもとに届く日を夢見ています。
― 藤野千夜/小説家「団地のふたり」恥ずかしいという感情さえなければ、人生って思い通りに進むのかも、なんてことを考えちゃいました。「あのとき恥ずかしがったせいで」みたいな後悔は絶対にしたくないくせに、何万回もしている。
本当はもっとカッコつけたフレーズでこの映画を紹介したいけど、なんか恥ずかしいから普通の言葉で書いてます。
まぁでも「え、仕方ないじゃん」とさとこが言ってくれそうです。
― 福徳秀介/お笑い芸人・ジャルジャル鼻にネブライザーを突っ込み、不倫でドツボにハマり、焦げた煮物を食卓に出す。ままならない日常を生きる三人の「さとこ」は、人生をただ受け容れるのではなく「書き直す」。妄想の告白にダメ出しをし、記憶の裏を取り、一語を消しては深く頷く。誰に頼まれるより先に、彼女たちはみずからの作者になったのだ。ずっと笑っていたはずなのに、三人が並んで座るラストで、私はたまらず深呼吸をひとつして、涙を止めた。
― 小島朋美/ホラー好き翻訳者(あるいは『男と女とチェーンソー』訳者)退屈な人生、憂鬱な日々をぶっ飛ばすヒントが、
この映画にはぎっしり詰まっている!
大好きです!
― カツセマサヒコ/小説家とてもいい。
沖田君の映画はいつもいいが、これは特にいい。
胸がドキドキしてくる。
この素晴しい作品は大ヒットするに違いない。
― 山田洋次/映画監督あぁ、もう最高!
日々の暮らしが、すれ違う誰かが、
いくつもの小さな奇跡を生んでいる。
そんな美しい世界に生きていることを
この映画はそっと教えてくれる。
― 赤ペン瀧川/映画プレゼンターSNSとAIの時代に、なんとアナログな⋯⋯と思うが、そういう時代に「自分の物語」を書く意味はなんだろう。とりあえずペンを持って書いてみて、「これあの韓国ドラマのまんまじゃん」とツッコミ入れちゃあ書き直し、カッコつけた自分のカッコ悪さに気づきはじめたあたりから、きっとなにかが見えてくる。書くのは「有名になるため」じゃなく、「自分だけの何か」を掘り当てるため。誰もが他人の目と言葉に翻弄される時代に、これ以上の癒しはないんじゃないかなあ。
― 渥美志保/ライター/コラムニスト沖田修一監督らしい穏やかで愛おしい日常を奏でながら、姫野花春という天才コメディエンヌの発掘、笑いながら頭を抱える映画配給あるある、女性たちが物語ることへの祝福まで。こんなにも豊かなことを、さらりと同時にやってのける。なんて贅沢な映画なのだろうか。
― ISO/ライター15歳の単純さが宝石になっていくさとこ
35歳のズルさや強がりが魅力にもなるさとこ
55歳の小さな勇気が幸せへの一歩となるさとこ
みんなみんな自分だなと抱きしめてあげたくなる映画でした。
笑えるって幸せです、そんな些細な笑いでハートを温かくする沖田修一監督に乾杯。
― 伊藤さとり(映画評論家)年齢も境遇も異なる3人の「さとこ」。私に似ている人はひとりもいないのに、なぜか全員に共感できて、みんなが愛おしくなる。これぞ、自分とは違う誰かに、いつの間にか心を重ねてしまう“沖田マジック”! 笑って、うなずいて、人生はいろいろあっても大丈夫だと、前向きになれる。この幸せな楽観ムードが大好きです。
― 今 祥枝/ライター・編集者いくつになっても新しい体験は楽しいもの。書くという自己表現に魅せられた16歳の新人・姫野花春が体現する”目覚め”の喜びは、映画初主演となった彼女の演技的高揚そのもの。宝もののような新人に触発された沖田演出の自由闊達さ!
― 長内那由多/映画・海外ドラマライター創作をすることは、たぶん特別な才能じゃない。でもその出発点には、必ず“自分の気持ち”がなくちゃいけない。ものづくりの秘訣を明かしながら、あなたの背中を押してくれる、やさしくも力強い映画だ。
― 小野寺系/映画評論家冒頭、ネブライザーを鼻に挿した「さとこ」の大写しにプッと吹き出し、早くも沖田ワールドにたゆたう嬉しさでノックアウト。煩悩と本能が絡み合う人間の可笑しさが色んな角度に飛び火して、パズルを解くように頭をひねりながら、「でも結局、生きるって、こーゆーこと!」と讃えたくなったりして。
― 折田千鶴子/映画ライターこの世界は無数の“物語=人生”であふれている。3人のさとこの物語に触れたとき、あなたはきっと気づくだろう。自分の人生は思いのほか愉快なもので、思っていた以上に過酷なものなのかもしれないと。粘り気があって、くさみがあり、深いコクがある。そんな自分だけの“物語=人生”を味わいたい。そう、3人のさとこたちのように。
― 折田侑駿/文筆家衝撃の新人!その名は、姫野花春
キュートで面白くて、うまくて、切なくて、キラキラしてて大胆
見る人を幸せにできる15歳
沖田監督は、事務所の研究生からとてつもない人材を発掘した
夢をあきらめない素晴らしさ教えてくれる3女優
有村架純も石田ひかりも葛藤の中に希望を感じさせるピュアな芝居を見せてくれる
が! 姫野はそんなベテランたちに負けない圧倒的存在感なのだ
大女優になる予感すらする15歳の花春(かしゅん)を見逃すな
― 笠井信輔/フリーアナウンサー3人のさとこが、愛おしくもたくましい。
中でも姫野花春演じる聡子の、“いけてない”恋の行方が最高。
妄想という創造力によって、思い通りにならない人生を自由に突き進んでいくその姿は、
切なくも、爽快な印象を残す。
これぞまさに沖田修一ワールドの逸品だ。
― 金澤誠/映画ライターこのあたたかさはなんだろう?
ぷっと吹き出しちゃうような瞬間も、
真剣に何かに向き合う時間も、
彼女たちが傷つく姿すら愛おしい…
さとこはあなたであり、わたし。なのかもしれません。
それにしても、実力派女優お2人と並んでいきなりのトリプル主演、
しかも鼻に何かを突っ込んだ状態で登場だなんて!
姫野花春さんのオモロさとカワユさに完全ノックアウトです♡
― 河村由美/ラジオパーソナリティまさかのイカの塩辛がリレーバトンとして物語を繋ぐ、沖田監督なりの『マグノリア』
忘れかけていた「書くことの愉しさ」を思い起こさせてくれたことに感謝!
― くれい響/映画評論家学生のころ、自分がヒーローになる妄想をよくしていました。
大人になった今も、たまにします。
フィクションのような劇的な人生を送りたいと思いながら、現実はそう上手くいかないよね……とも感じていました。
『さとこはいつも』は、そんな自分を、さとこたちにそっと肯定してもらえたような映画体験でした。
書くことは、自分を見つめ、整え、もう一度歩き出すための行為なのだと思います。
まさに、あたたかな人生讃歌の映画です。
― けんご/小説紹介インフルエンサー思いがけず手にした、宝物のような映画。
『さとこはいつも』は時代を問わず誰の胸にも灯る輝きを持ちながらも、
物語を語ること、何かを書くことへの希求が広く共有される今の時代により響く。
そしてこの作品は必ずしも強い感情や明確な名前によって規定されているわけではない、
ゆるやかに影響を及ぼし合いながら、そっと隣にいるような関係性へ優しいまなざしを向け、その尊さを照らし出している。
― 児玉美月/映画批評家15歳の聡子、35歳の沙都子、55歳の里子。同一人物のようでいて、それぞれ違う人生を生きる3人の「さとこ」のどこかに、自分を見つけてしまう。そして、自分が普段やっている「書くという行為」は、どんな意味を持つのか。改めて向き合わされる。3人の「さとこ」の物語を見つめているはずが、いつの間にか自分自身の人生を見つめていた。
― 小松香里/編集者・ライター人生を生きていくことは、自分の物語を作ることだ。
だから、ほんの少しだけでもいいから、思い切って物語に出てくる言葉を変えてみれば、人生は“名作”に変わる可能性だって秘めている──
ささやかだけど、優しい、そんなヒントをこの映画は教えてくれる。
― 斉藤博昭/映画ライター僕らはいつも、思い巡らせている。物語に呼ばれてしまう。
眠いのに起きちゃって、痛いのになぜか手が動いちゃって。
どこにいても、求められなくても、書かずにはいられない。
沖田監督は創作者の日常を肯定し、心を優しく抱きしめる。
― SYO/物書き人が、何かに興味をいだき夢中になる“瞬間”を捉えた場面が好きだ。沖田修一監督の映画には、いつだってその瞬間が丁寧に描かれている。しかも今作『さとこはいつも』は、3人の“さとこ”のエピソードなので、3人分、3回もその瞬間に立ちあえる!なんという至福。沖田作品に何度も参加している撮影・芦澤明子による “さとこ”たちのクローズアップショットは力強く、燦めきに満ちていた。
― 新谷里映/映画ライター“物語”は、どこからでも始められる。
膨らむ妄想も、とっ散らかった現実も、
忘れていた夢も、全部一回整理して。
みんな、“私”な3人のさとこが、そう囁いてくれる。
― 杉谷伸子/映画コラムニスト鼻にネブライザーを挿した少女のユーモラスなファーストショットからずっと笑っていたのに、ラストシーンではなぜかぐしょぐしょに泣いていた。物語の辻褄をあえて合わせないことで魔法が生まれ、観客に「あったかもしれない自分の人生が、誰かにいい影響を与えているのかもしれない」と光を見せる。これぞ映画、これぞヒューマンコメディ。沖田監督、よくぞこんな脚本を書いてくださいました。
追記:青木柚ウォッチャーへ。これは見逃し厳禁の課題映画です!
― 須永貴子/ライター私はフツー。小説や映画のような人生とは縁がない……いや、それは違います。
あなたのフツーと世間のフツーは一致しない。だから人生は語る価値がある。
そんなことを考えながら、あったかい気持ちで観進めた。愛すべき好編!
― 相馬 学/映画ライター誰にでもある書きたい欲求。
15歳の聡子は書いて成長し、35歳の沙都子は書いて傷を癒やし、55歳の里子は書いて回顧する。
スタイルは違えど、言葉を紡ぐ音はどれも心地よく、映画なのに何故か気軽な読み物に没頭したかのようなデジタルデトックス感。
恋に仕事に子育て、人間関係のあれやこれやに疲れた人にもってこい。
― 高山亜紀/ライター物語を書きたいという欲望はどこから来るのか。ささいなきっかけで。邪な気持ちから。退屈を逃れたくて。なんであれ、書くことの魅力に囚われた人の姿を見るのは、少し怖くもあり、でもとても楽しかった。そして、一度目の衝動だけでなく、二度目のチャンスが描かれていること。それが何より嬉しかった。
― 月永理絵/ライター・編集者私たちはみんな、自分だけの物語を生きている。
何気ない毎日も、うまくいかない日でさえも、すべての瞬間を振り返ってみれば、自分の人生は案外、映画になるくらい面白い。
そんなふうに、自分が歩んできた日々を愛おしく思わせてくれる、素敵な自己肯定映画でした。
― DIZ/映画アクティビスト言葉やセリフに頼らずにストーリーも世界観も作り出せる沖田監督の新作は、「言葉」の映画。そう聞いて不安を覚えたが、言葉はむしろアクションとして画面を活気づけ、ユーモアとペーソス、冒険心に満ちた、いつもの沖田テイストが全開だった。窓にへばりつく中村優子がいい。記念の花束から花粉症もいい。何より耳鼻科のネブライザーがいい。叙情的で映画的なはずの白い煙から、沖田ワールドの笑いが立ち昇る。
― 外山真也/映画ライター同じ名前を持ちながら、違う人生を生きる本作のさとこたち。つかず離れずの距離から彼女たちの生き様を重ねることで、人には誰しも語ることのできる物語があるのだと謳いあげる。そして物語は、誰かに見られて初めて何かが始まっていく。
長編デビューから20年を迎える沖田修一監督の、作り手としての初心と矜持を垣間見た。
― 中井圭/映画解説者10代の聡子と30代の沙都子と50代の里子-。
年代も境遇も異なる3人の「さとこ」が、想いを書き綴ることで本当の自分を見出していく。
すがすがしい気持ちになれる心優しい作品だ。
― 萩尾瞳/映画評論家とても楽しんで観ました。でも同時に、どの「さとこ」に共感するかで、自分の人生がどんなところにあるのかが試されるのでは。私は「現実」の二次創作が頭の中でふくらんでいく中学生に、「これよくあるよな」と思いました。
― 萩原麻理/映画ライター年齢も境遇も違う3人の「さとこ」が、自分のための物語を紡ぐことで、人生を立て直していく。
15歳の青くて眩しい初期衝動も、35歳の不安や焦燥も、55歳の失われた時間を取り戻そうとする
決意も、そのすべてが人間らしくて愛おしい。
どんなに不格好な毎日でも自分の人生は、誰かと比べるものではなく、自分だけの物語として紡
ぎ直していけるのだと、この映画は背中を押してくれる。
映画館を出たあと、私はどんな物語を紡いでいくのだろう。
そんな問いを心へ託してくれる一本です。
― 東紗友美/映画ソムリエ「背負い水」ならぬ「背負い想像力」というのが人にはあって、一生の間に使える想像力の水瓶をそれぞれに背負って生まれてくる、と考えてみたくなった。
15歳のさとこの水瓶は、たぷたぷに豊か。学生結婚から主婦を長く勤めあげた55歳のさとこは、残り水の思わぬ多さに嬉しい驚きを得る。
35歳のさとこは、ままならない現状を自分の身に沿わせるため、水を使い果たしてしまいそう。自分の残り水をこっそり確かめたくなる映画だ。
― 町山広美/放送作家南極越冬隊員からお人好しの大学生、山で迷ったオバちゃんたちに、孤高の芸術家、そしてさかなクンまで。老若男女を問わず、様々な人間たちの生きる様を、ユーモアたっぷりに描いてきた、沖田修一監督。その視線はカジュアルに、まるで隣近所に暮らす知人を、ニコニコと眺めているかのよう。そう!沖田監督はまさに、“隣人愛”の映画作家なのだ‼
最新作『さとこはいつも』では、10代・30代・50代、3人の“さとこ”の夢の萌芽と彷徨を、その“隣人愛”で慈しむように、スクリーンに映し出す。
沖田修一20年の監督生活の、ある意味集大成!いとおかし…である。
― 松崎まこと/映画活動家・放送作家書くという行為は夾雑物の混ざった現実の身体から、純粋な写し身を取り出す行為である。紙の上に書かれた自分こそが不純物を取り除いた真実なのだ。でもそこに至るのは簡単なことではない。だから三人のさとこたちは、何度も書くことにアプローチする。より純化を目指して。きっとこれからも、何度も何度も。
― 真魚八重子/映画評論家人生は物語だ。小津安二郎は人生を「秋刀魚の味」に例えたけれど、3人の「さとこ」の人生は、ちょっとクセがあるイカの塩辛。さとこたちの物語が交差する、ユーモアと愛おしさに満ちた語り口。等身大の 人物描写など、本作には沖田監督の魅力がたっぷり詰まっている。4人目のさとこ、シンガーソングライターの柴田聡子が手掛けたサントラや、折坂悠太とデュエットする主題歌「シミレ」(しみじみ良い曲!)も映画の大切なピース。映画を観終わったあと、きっと観客は自分自身の物語を発見するはず。
― 村尾泰郎/映画・音楽評論家恋に憧れ、不倫に悩み、初恋の思い出を懐かしむ。世代も生活環境も漢字名も異なるがイカの塩辛が大好きな3人の「さとこ」は、どこにでもいる「さとこ」。そんな「さとこ」が自分の物語を言葉にすることで生まれる何か。その予感と期待に、ユーモアと優しさに包まれた映像を通して心が揺さぶられる。
― 村山匡一郎/映画評論家心が純粋に躍ることをやればいい。「好き」っていう衝動のまま人生が動き出すと、三人のさとこの時間は美しくめぐりあう。彼女たちを貫くのは“書くこと”の歓びだ。沖田修一監督は、反復と差異のリズムを自在に操り、映画そのものを自由の祝福へと解き放つ。
― 森 直人/映画評論家祝・長編デビュー20周年。
時代がどんなに変わろうと、沖田修一が沖田修一らしい映画を変わらずに作りつづけている、ただそれだけで幸せな気持ちになる。
クスッとして、じわっと感動する、やさしくてあたたかい映画を。
― 門間雄介/ライター・編集者かっこよくなくていい、まとまってなくていい。「自分の物語」を書くという行為の、不格好さも含めての愛おしさを、沖田修一監督はまっすぐに肯定してくれる。15歳の妄想も、35歳の迷走も、55歳のささやかな抵抗も、結局は同じひとつの人生の断面。三人の「さとこ」に、自分の欠片を見つけてしまう人は多いはずだ。書くことは、生き直すことでもあるのだと思い出させてくれる映画だった。
― 山田ルキ子/映画コラムニスト常々、沖田監督のヤバさは「いじわるで愛ある観察力」と思ってきたけど、3人のさとこはその集大成。ワチャワチャした心で思わず出ちゃう本音の顔と挙動。あーあるある、恥ずかしい! でも観ちゃう! この手の脚本・演出・編集をショート動画でコント風に見せる人多いけど、長編でやるのはさすが匠の技。20周年おめでとうございます。塩辛食いたくなりました。
― よしひろまさみち/映画ライターネブライザーでびよんと伸びた鼻の穴が物語るような、沖田修一監督らしいユーモアと核
心を突いた台詞に笑い、「どのさとこも頑張れ〜」と思いながらのほほんと見ていた。そ
したら、物語が思いのほか自分の身近に着地してきて動揺した。自分の物語、書けていな
いな。とりあえず私はセロリにラブレターを書こうと思う。
― 渡邉ひかる/映画ライター3人のさとこがとにかく可愛い。アップになる度にニヤニヤしてしまうほど。沖田監督の手にかかると、子どもからお年寄りまで、かっこいい人も情けない人もみんな可愛く見えるから不思議です。まるで全体を温かい毛布でくるんだように優しい世界で、心の鎧を脱ぎ、登場人物たちを愛でて楽しみました。
― 長澤 綾/フォーラムシネマネットワーク 番組編成
映画『さとこはいつも』

2026年9月18日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
有村架純
石田ひかり 姫野花春
黒田大輔 宮部純子 泉有乃 大月美里果 小川冬晴
青木柚 川瀬陽太 島田桃依 中井友望 中村優子
細田佳央太 鳴海唯 髙田万作 古舘寛治
吉田羊 オダギリジョー 筒井道隆
監督・脚本 沖田修一
音楽 柴田聡子
主題歌 折坂悠太「シミレ (feat.柴田聡子)」
製作幹事 アミューズクリエイティブスタジオ
配給 ハピネットファントム・スタジオ 制作プロダクション オフィス・シロウズ
助成 文化庁文化芸術振興費補助金(日本映画製作支援事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会
©2026 「さとこはいつも」製作委員会
<STORY>
同級生に恋する鼻炎持ちの中学3年生・ソフト部所属の中井聡子(15歳)。姪っ子と韓国カルチャーLOVE!映画配給会社の宣伝部でバリバリ仕事しつつ、6年目になる不倫が倦怠期を迎えている西田沙都子(35歳)。子育てがひと段落、ようやく自分の時間ができた飯島里子(55歳)。三者三様、まったく違う人生を歩む【さとこ】たち・・・。それぞれに降りかかる出来事や運命的な出会いをきっかけに、自分の人生を“物語”として書き始めたとき、3人の「さとこ」たちが少しずつめぐり合っていきーー!?